12月13日の米連邦公開市場委員会(FOMC)において、米連邦準備理事会(FRB)は政策金利の誘導目標を1.25%〜1.50%に引き上げました。米国株は引き続き史上最高値を更新していますが、株価に向かい風と考えられる追加利上げに加え、FRBのバランスシート縮小が10月から始まっており、いわゆる金融引き締め策が本格化しています。本稿では米国経済の現状を4つの図で大まかに確認するとともに、取引戦略について紹介しています。
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失業率
図1は米国の失業率と失業率の5ヵ月の移動平均、NYダウ平均株価の月次データです。移動平均は失業率が上昇傾向にあるのか、低下傾向にあるのかを見るために表示しています。失業率と株価の関係をみると、失業率が低下傾向にあるときは株価は上昇傾向にありますが、失業率の低下傾向が止まる、移動平均が横ばいになるとその後に米国株が下落しています。失業率の動向は米国株下落の前兆として役に立ちそうです。
11月の失業率は4.1%、10月の失業率は4.1%と横ばい傾向が続いています。1月に発表される12月の失業率が4.1%以上ですと、要警戒といえるでしょう。一方で4.0%以下ですと、景気拡大は継続中と見ることもできそうです。
図1:米国失業率とNYダウ平均株価(1989年12月以降)

出所:ロイターよりeワラント証券投資情報室作成
在庫循環
図2は米国企業の在庫と出荷の関係を示したものです。この図では縦軸に在庫の前年同月比を、横軸に出荷の前年同月比を表示しています。短期的な景気循環としてはこの在庫循環図を反時計回りに回ると考えられます。今年は図中の青い線で、10月までのデータを反映しています。10月時点では右上、つまり、景気拡大期にあることが分かります。来年には景気拡大期から景気拡大期終盤に移行するかもしれません。
図2:米国の在庫循環(2012年以降)

出所:ロイターよりeワラント証券投資情報室作成
新車販売台数
図3は米国の新車販売台数です。今年は8月まで新車販売台数は減少傾向にありましたが、秋以降は回復しています。これは、自動車メーカーが自動車ディーラーへの奨励金によって販売促進を行ったためと考えられます。これは自動車メーカーの減益要因となりました。自動車ローン債務の増加や延滞が増えつつある状況を踏まえると、新車販売台数はピークアウトしているかもしれません。長期的な視点で過去を振り返ると新車販売台数がピークアウトすると株価もピークアウトする傾向がありました。
図3:米国新車販売台数(直近24ヵ月、万台、季節調整済み年換算)

出所:ロイターよりeワラント証券投資情報室作成
新築住宅販売件数
図4は米国の新築一戸建て住宅販売件数です。データは10月までを反映していますが、直近は増加傾向にあります。ハリケーン被害による復興需要も影響しているとみられます。新車販売台数と同様に、長期的な視点で過去を振り返ると株価の調整に先行してピークアウトする傾向があります。来年も増加傾向が続くのか注意したいところです。
図4:米国新築一戸建て住宅販売件数(直近24ヵ月、万件、季節調整済み年率換算)

出所:ロイターよりeワラント証券投資情報室作成
以上をまとめると現状の米国経済は、失業率や在庫循環で見るとピークに近いものの、まだピークアウトはしていないように思えます。新車販売台数で見れば既にピークアウトの可能性がありますが、堅調な住宅販売は好材料です。全体としては景気拡大期にあると考えられます。FRBは来年も金融引き締め策を推進していくと考えられますが、金融引き締め策が米国経済と株式相場の重石となるリスクは高いと言えるかもしれません。
NYダウ平均株価はeワラントの対象原資産にもなっています。米国株式市場の天井が近いことを前提とするならば、満期日までの期間がなるべく短く、かつ、権利行使価格がなるべく低いコール型eワラントを満期保有して天井までの上昇局面を狙うのと同時に、権利行使価格が低めで価格が低いプット型eワラントを急な下落に備える保険として保有しておく戦略も有効かもしれません。この場合、プット型は投資元本の全てを失う可能性が高くなりますので、掛け捨ての保険のようなイメージとなります。
NYダウ平均株価を対象とするeワラント一覧
(念のため付言しますと、上記は筆者の個人的な見解であり、eワラント証券の見解ではありません。)
eワラント証券 投資情報室長 小野田 慎(おのだ まこと)
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