相場が上がるか下がるかだけを予想して投資するのが一般的かもしれませんが、オプション取引やオプション取引を小口化したeワラントを活用すると、相場の上げ下げではなく、初心者でも小さな金額から相場が大きく変動するかどうかに着目した投資戦略を実践することができます。
eワラントとは?
そもそもワラントってなに?3,000円程の少額から始められる「eワラントの魅力」をご紹介いたします。
相場の方向性ではなくボラティリティの拡大を狙った取引
eワラントにはレバレッジ(てこの効果)がありますので、相場観が当たれば大きな利益を狙うことができます。その一方で最大損失は投資金額までに限定されているので、相場観が当たらなかった場合にも損失が膨らみ続けて投資金額以上の損失が発生することはありません。
このeワラントの特長を活かすと、相場が上がるか下がるかではなく、相場の変動性(ボラティリティ)が高まるかどうかを収益の源泉とする投資戦略が可能です。ちょっと難しそうに思えますが、実践方法はシンプルです。相場水準以上の権利行使価格のコール型eワラントと、相場水準以下の権利行使価格のプット型eワラントを両方買い付けるだけです。相場が上下どちらかに大きく動くと、片方の上昇が片方の下落を相殺し、トータルで数%の収益の獲得を狙うことができます。
コール型とプット型の復習
図1はコール型eワラントの、図2はプット型eワラントの損益イメージです。eワラントを買うときの価格とeワラントを売るときの価格には価格差があり、eワラントを買ったときには価格差の分だけ含み損が発生します。図1や図2のイメージにあるように「現在の相場水準」において、満期前の損益はマイナス、つまり損失となっていることが分かります。
コール型eワラントは相場が大きく上昇すればするほど価格が上昇し、含み益の発生が見込めますが、買付時から時間が経過するほど利益は得にくくなります。仮に「現在の相場水準」から相場が動かず、そのまま満期日を迎えるとeワラントの投資金額の全額が損失となります。プット型は相場が大きく下落すればするほど価格が上昇し、含み益の発生が見込めますが、コール型eワラントと同様に買付時から時間が経過するほど利益は得にくくなります。
したがって、eワラントの取引で大きな利益を狙うには、相場の上げ、下げという方向性に加えて、eワラントの対象となっている相場が大きく変動しそうなタイミングを狙うことになります。とはいっても、相場の方向性と相場が大きく変動しそうなタイミングの両方を予想するのは難しい、という方もいらっしゃるでしょう。コール型とプット型の両建て戦略は、相場の方向性は予想しなくてよく、相場の変動性の拡大だけを狙う、いわば「ボラティリティを買う」戦略が可能なのです。
図1:コール型の損益イメージ
図2:プット型の損益イメージ
eワラント初心者でも取り組みやすい両建て戦略
両建て戦略を実践するには、コール型eワラントとプット型eワラントを両方、同じくらいの投資金額になるように買うだけです。極端な例ですが、仮に相場が急騰してコール型eワラントが+105%(2.05倍)、プット型eワラントが-99%となった場合はトータルで見れば+6%となり、逆に相場が急落してコール型eワラントが-99%、プット型eワラントが+105%(2.05倍)となった場合はトータルで見れば+6%となります(数値は解説のための例であり、将来の投資成果を保証するものではありません)。
このように大きな収益の獲得はあきらめなくてはなりませんが、相場がどちらかに大きく動けば数%程度の収益が見込めます。これはeワラントが-100%を超えてマイナスになることはない特長を活かした戦略です。
実際に選ぶ銘柄のポイントしては、相場が動きそうなイベント(重要な経済指標や金融政策の発表、選挙などの政治イベント)の直前のタイミングで、満期までの残存期間が短いコール型eワラントとプット型eワラントを選びます。権利行使価格は買付時の相場水準に近いものを選ぶのが基本です。
両建てならコール型eワラントもプット型eワラントも同じ権利行使価格のものが望ましいですが、買付時の相場に近い権利行使価格のコール型eワラントとプット型eワラントが存在しない場合には、次善の策として、コール型eワラントは相場よりも若干上の権利行使価格、プット型eワラントは相場よりも若干下の権利行使価格で両建てポジションを構築します。
イベント終了後に両方とも売却するのが基本です。リスクとしては予想に反して相場がどちらにも大きく動かなかった場合であり、この場合は損失となります。
図3:合成ポジションの損益イメージ
(念のため付言しますと、上記は筆者の個人的な見解であり、eワラント証券の見解ではありません。)
eワラント証券 投資情報室長 小野田 慎(おのだ まこと)
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