重要な政治日程、金融政策や経済指標の発表は、日程が決まっているので市場の反応についてシナリオを立てやすく、予想が的中すれば大きな収益を期待できるかもしれません。本レポートでは、2018年末にかけて予定されている相場を大きく動かすかもしれないイベントスケジュールを確認し、その中でも特に注目しておきたいイベント及び投資アイディアについて紹介しています。
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2018年10月から12月までの主なイベント
10月から12月までの主な政治・政策金利等の発表イベントは下表の通りです。注目のイベントは米国の為替報告書、中間選挙に加え、英国のEU離脱交渉でしょう。
10月15日前後 |
為替報告書の公表 |
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10月18日 |
EU首脳会議 |
10月25日 |
ECB政策金利発表 |
10月31日 |
日銀金融政策発表 |
11月6日 |
米国中間選挙 |
11月8日 |
FOMC政策金利発表 |
12月13日 |
ECB政策金利発表 |
12月19日 |
FOMC政策金利発表 |
12月20日 |
日銀金融政策発表 |
主な注目イベントと投資アイディア
米為替報告書の公表(10月15日前後)
9月下旬の日米首脳会談ではトランプ大統領が求めてきた2国間協議に応じることで、懸念であった自動車に対する追加関税を回避できました。しかし、通商政策だけではなく輸出業全般に影響する通貨政策にも警戒が必要であり、10月中旬に公表される半期毎の為替報告書は注目です。米財務省は対米貿易黒字が大きい日本や中国などを通貨政策における監視対象としており、4月の報告書では日本円に関して実質実効為替レートで見て2017年は過去20年の平均をおよそ25%下落したと指摘していました。
過去にも米国はドル安誘導を政治主導で行っています。1985年のプラザ合意は米国のレーガン政権が貿易赤字を是正するため、当時、米国、英国、西ドイツ、フランス、日本で為替相場に協調介入し、為替レートをドル安に誘導することに合意したものです。10月中旬の為替報告書とその後のトランプ大統領の発言には注意をしておいたほうが良さそうです。
投資戦略としては10月10日あたりから米ドル安型(米ドルリンク債プット)eワラントを円高・米ドル安に備えて保有しておくことが考えられます。為替レートに敏感な自動車株や機械株のプット型eワラントでもよいでしょう。
EU首脳会議(10月18日)
英国のEU離脱(ブレグジット)に関して離脱協定と将来の通商関係の枠組みを示す政治宣言について合意の目標とされているイベントです。しかし、9月30日から10月3日までに行われた与党保守党の党大会ではメイ首相の離脱方針について与党内でも批判が出ており、18日のEU首脳会議での合意ができるのか不確定な状況です。英国は2019年の3月にEUを離脱することになっており、合意無しで離脱を迎えた場合の経済的な影響は少なからず大きいと思われます。トヨタ自動車は英国が合意無しで離脱した場合に英国での生産を一時的に休止するとの方針を示し、パナソニックも英国からオランダに拠点を移す方針という報道もありました。
投資戦略としてはEU首脳会議直前まで英ポンド高のトレンドであれば英ポンド安型(英ポンドリンク債プット)を買い、EU首脳会議後に売却することを考えます。
なお、英国のEU離脱には2020年末までの移行期間が設けられていることから、EU首脳会議で短期的にポンド安となっても反発することが考えられますので、大きな英ポンドの下落があれば英ポンド高型(英ポンドリンク債コール)を買って反発を狙うのも一案かもしれません。
米国中間選挙(11月6日)
今年最大の政治イベントと言えるでしょう。想定されるシナリオは次の通りです。株高を予想するなら、11月6日の日本時間に日経平均株価、NYダウ平均株価、米ドルなどを対象とするコール型eワラントを買っておきます。株安を予想するならプット型を買います。
上院又は下院で民主党が過半数を獲得し、ねじれ状態 ⇒ 株、米ドルは小動き、又は下落?
共和党が両院で過半数を維持し、トランプ大統領が承認される形に ⇒ 株高、米ドル高?
民主党が両院で過半数を獲得し、減税や規制緩和措置の巻き戻し ⇒ 株安、米ドル安?
中間選挙の結果で相場が大きく動く可能性がありますが、相場が動く方向は予想しにくいイベントです。そこで前述のコール型eワラントとプット型eワラントを両方とも買う両建て戦略も有効かもしれません。コール型又はプット型のどちらかが大きく上昇することで、もう片方の下落を相殺します。eワラントは何倍にも上昇することがある一方で、最大損失は投資元本までに限定されているため、コール型とプット型の両建てでトータルで若干の利益を狙う戦略が可能です。両建て戦略のリスクとしては相場が予想に反して相場が動かずに時間だけが経過した場合にコール型もプット型も下落するということがあります。
(念のため付言しますと、上記は筆者の個人的な見解であり、eワラント証券の見解ではありません。)
eワラント証券 投資情報室長 小野田 慎(おのだ まこと)
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