海外勢のクリスマス休暇の影響もあり、直近の日本株相場は値動きも売買代金も乏しい状況が続いています。同様の展開が続くのであれば、日経平均は現在の水準と大きく変わらないまま大納会を迎える公算が高いと思われます。年末年始は今年の相場を振り返りつつ、来るべき新年の投資戦略を考えてみるのもよいでしょう。
ただ、米国市場ではテールリスクへの警戒感を表す指標が年初来高値をつけています。安心して年末年始を過ごすためにもリスクへの備えはしっかりしておきたいところです。
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恐怖指数の状況は?
市場参加者が認識する不確実性の指標としては、満期の短いオプションから算出されたインプライド・ボラティリティ(短期IV)がよく用いられています。特に、シカゴ・オプション取引所(CBOE)が算出している米国株価(S&P500)の短期IVであるVIXは恐怖指数とも呼ばれ、市場の先行きに対するセンチメントとしてその動きは注目されています。
VIXは、通常時には概ね10〜20の範囲内を推移しますが、直近の相場の先行きに不安が生じた時には大きく上昇する特徴があります。近年ですと、2015年夏に中国人民元の切り下げが起こった際に40を超える値をつけたほか、2016年の英国国民投票や米国大統領選挙の際にも大きく上昇しています。
2019年はというと、2018年末の相場急落を受けてVIXは高い状況から始まりました。その後は低下傾向にありましたが、米国の追加関税発動を受けて5月、8月に再び急騰しました。現在は12ポイント台を推移しており、ここ1年の水準から見るとやや低い状況にあります。
図中からもわかるように、VIXは中期的に上昇と下落を繰り返しています。特に、VIXは相場が下落するときに大きく上昇する傾向があります。
以上の点を考慮すると、ボラティリティが低いうちに、権利行使価格が相場水準に近い(ニア・ザ・マネーの)プットオプションやプット型eワラントを買い付けておくことで、近い将来訪れるかもしれない相場下落を投資機会に変えることができるかもしれません。ボラティリティはオプションやeワラントの価格計算にも用いられているので、ボラティリティの上昇を伴う相場下落が起こった場合、相場下落に伴う価値の上昇に加え、ボラティリティの上昇に伴う価値の上昇を併せた大きな投資効果が期待できるかもしれません。
テールリスクを告げるSKEW指数
VIXは市場参加者が認識する目先の価格変動リスクの大きさを示していますが、どれくらいの価格変動が起こるのかという認識の偏りは十分に反映されていません。特に「テールリスク(又はファット・テールリスク)」と呼ばれる、起こる可能性は低いが起きれば大きな影響を受けるリスクを市場がどのように評価しているのかはVIXでは十分に図ることはできません。
その「偏り」を計る指標のひとつがVIX指数と同じくCBOEが算出しているSKEW指数です。SKEW指数はS&P500オプション市場のデータ(アウト・オブ・ザ・マネー(権利行使価格に未達の状態)のオプション価格)から算出したリスク指標のひとつで、株価急落というテールリスクを示す指数と考えられています。SKEW指数は100を基準とし、それよりも指数の値が大きければ米国株価の大暴落に備えている市場参加者が多い(=アウト・オブ・ザ・マネーのプットの需要が高い)ということをあらわします。
2019年のSKEW指数は米中貿易摩擦の影響に関わらず比較的安定して推移していましたが、12月19日に150.14ポイントという高い水準を記録しました。これは2016年の米国大統領選挙前の水準(141.18)を超え、同年の英国総選挙時の水準(153.66)に匹敵する値です。年末から年始にかけて米国株式市場が大きく下落するかもしれないという相場観を持っている投資家が多いということを表すのかもしれません。思えば、2019年初のフラッシュ・クラッシュや2016年の中国発の株安のように、年始に相場が調整を迎えることが散見されてきましたので、その経験が警戒感へとつながっているのかもしれません。
海外勢の相場観を参考にするのであれば、年内のうちにプットオプションやプット型eワラントを買い付けておくことが考えられます。ここで警戒するのは相場の大幅な下落となりますので、相場水準よりも権利行使価格が低い(アウト・オブ・ザ・マネーの)プットオプションやプット型eワラントが投資候補となります。このような銘柄は、相場水準が大きく変わらなければ価値がゼロとなってしまう可能性が高いですが、相対的に安く購入でき、想定通り相場の急落があれば大きく価値が上昇する可能性があります。年末年始の掛け捨ての保険として使ってみるのも一手でしょう。
(念のため付言しますと、上記は筆者の個人的な見解であり、eワラント証券の見解ではありません。)
eワラント証券 投資情報室長 多田 幸大
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