新型コロナウイルスの影響は企業のみならず、家計への影響も大きいと考えられます。例えば、米国の失業保険の申請者数は米国でロックダウンの動きが出た3月中旬以降に大きく上昇しています。また、4月の米国失業率は14.7%と、史上最低水準を推移していた2月までから大きく上昇しています。
仕事がなくなり収入が減った世帯では、ローンの支払いが滞り、いずれはデフォルト(債務不履行)が多発する可能性があるかもしれません。もしそうなるとローン商品の売り手である金融機関の信用不安につながる可能性も否定できません。
eワラントとは?
そもそもワラントってなに?3,000円程の少額から始められる「eワラントの魅力」をご紹介いたします。
米国の家計債務は過去最大を更新
ニューヨーク連銀が5月5日に公表した2020年第1四半期の米国の家計における負債残高は14.30兆米ドルとなり、データを取得できる2003年以降で過去最大の負債残高を記録した前2019年第4四半期(14.15兆米ドル)を上回りました。内訳(図1)を見てみると、モーゲージ・ローン(9.71兆米ドル)、自動車ローン(1.34兆米ドル)、学生ローン(1.54兆米ドル)が2003年以降で最大となりました。
一方でクレジットカードの利用残高は前四半期から340億ドルほど減少しています。前四半期から減少するのは1年ぶりで、減少幅はリーマンショック期を超えて、2003年以降で最大となっています。新型コロナウイルスの影響で外出が制限される中、消費行動が大きく減速したことが要因と考えられます。
家計の負債残高の内訳として一番大きいモーゲージ・ローンは2008年第3四半期に9.29兆米ドルを記録しています。モーゲージ・ローンといえば2007年から2008年に表面化したサブプライム問題です。これは債務返済能力の低い層(サブプライム)向けのローンの焦げ付きでした。当時は不動産価格の上昇を背景にサブプライム向けの不動産を担保とするモーゲージ・ローンが積み上がっていましたが、不動産価格の下落によってモーゲージ・ローンの延滞や債務不履行が増え、株価の下落を伴い金融危機に発展していきました。
新型コロナウイルスの影響を受けて、米国の不動産市況もやや悪化しつつあります。リーマンショック前の水準を上回る不動産ローンが積みあがった今、収入の低下と不動産価格の下落が同時発生すれば、リーマンショック期以上の問題を引き起こす可能性を孕んでいるとも言えるかもしれません。
差押え件数とローンの延滞状況 次回発表に注目
サブプライムローン問題においては、差し押さえられた不動産の換金売りが市況を悪化させたと思われますので、差し押え件数も見てみましょう(図2)。件数は低い水準にとどまっておりまだ問題はなさそうですが、前年同期比はプラスに転じています。傾向を見ると今後差し押さえ件数は増えていくものと思われます。
ローンの返済の不履行の前にはローン返済の延滞があるだろう、ということでローン延滞状況について見たのが図3です。直近数年において債務不履行の割合はあまり変化がありませんが、120日以上の延滞は減少傾向が続いているようです。その傾向は新型コロナウイルスの影響が見られ始めた2020年第1四半期も変わっていません。少なくとも公表されている資料上では、延滞という点でまだ問題があるようには見えません。
ただし、延滞状況については「30日以上」の延滞をしたものについてしかカウントがされていないことには注意が必要です。例えば、ニューヨーク州で外出制限が始まったのは3月22日からですので、それ以降に収入が急減し、ローンの支払いが遅れるようになったものは第1四半期末時点にはカウントされていません。
一部解除され始めているとはいえ、いまだ外出制限は続いており、現在では上記資料よりも多くの延滞が発生していると思われます。第2四半期の家計債務の状況は8月に公表される予定ですので、改めてチェックをしてみる必要があるでしょう。
(念のため付言しますと、上記は筆者の個人的な見解であり、eワラント証券の見解ではありません。)
eワラント証券 投資情報室長 多田 幸大
eワラントの関連コンテンツ
ちょっとe(イー)銘柄の見つけかた
ご注意事項
- eワラント、ニアピンeワラントおよびトラッカーeワラントは取引時間内であっても取引が停止されることがある等、リスクがあります。詳しい情報はホームページの「手数料及びリスク説明:必ずお読み下さい」をご参照下さい。
- 本資料は情報の提供を目的としており、本資料によって何らかの行動を勧誘するものではありません。本資料は信頼できると思われる情報に基づいて作成されておりますが、当社は本資料が正確、完全あるいは/且つ最新のものである事を表明するものではなく、またその責任も負いません。尚、当社及び当社の関連会社、役員、社員その他本資料の作成に携わった関係者が本資料に記された企業の証券または(オプションなどの)派生商品の買い持ちや売り持ち、及び売買を時として行うことがあり得ます。本資料に掲載されている内容の著作権は、原則としてeワラント証券に帰属します。事前に当社の書面による許可なく、本文の一部または全部を第三者へ再配布することを禁じます。
- eワラント(カバードワラント)は、対象原資産である株式(上場投資信託等を含む)・株価指数、預託証券、通貨(リンク債)、コモディティ(リンク債)の価格変動、時間経過(一部の銘柄を除き、一般に時間経過とともに価格が下落する)や為替相場(対象原資産が国外のものの場合)など様々な要因が価格に影響を与えるので、投資元本の保証はなく、投資元本のすべてを失うおそれがあるリスクが高い有価証券です。また、対象原資産に直接投資するよりも、一般に価格変動の割合が大きくなります(ただし、eワラントの価格が極端に低い場合には、対象原資産の値動きにほとんど反応しない場合があります)。
- ニアピンeワラント(カバードワラント)は、対象原資産である株価指数や為替相場の変動や、時間経過(同日内を含む)など様々な要因が価格に影響を与えるので、元本の保証はなく投資元本のすべてを失うおそれがあるリスクが高い有価証券です。また、対象原資産に直接投資するよりも、一般に価格変動の割合が大きくなります。最大受取可能額は1ワラント当たり100円に設定され、満期参照原資産価格がピン価格から一定価格以上乖離した場合は満期時に価格がゼロになります。同一満期日を持つ全ての種類のニアピンeワラントを購入しても、投資金額の全てを回収することができない可能性があります。
- トラッカーeワラント(カバードワラント)は、対象原資産である株価指数、通貨(リンク債)、コモディティ(リンク債)の価格変動や為替相場(対象原資産が国外のものの場合)など様々な要因が価格に影響を与える有価証券です。このため、投資元本の保証がなく、損失が生じる恐れがあります。トラッカーeワラントの価格は、eワラントに比べると一般に対象原資産の価格により近い動きをします(ただし、レバレッジトラッカーは同方向または逆方向に増幅されたような値動きとなります)が、任意の二時点間において対象原資産の価格に連動するものではありません。また、金利水準、満期日までの予想受取配当金及び対象原資産の貸株料等の変動によって、対象原資産に対する投資収益率の前提が変化した場合には、トラッカーeワラントの価格も影響を受けます。さらに、取引時間内であっても取引が停止されることがあります。詳細は、最新の外国証券情報をご参照ください。
- SBI証券におけるカバードワラント取引手数料は無料です。また、お客様の購入価格と売却価格には価格差(売買スプレッド)があります。トラッカーeワラントの購入価格には年率で計算された管理コストが予め織り込まれています。管理コストは、計算時点におけるマーケット・メーカーのヘッジコスト(金利水準、ヘッジ対象の流動性、資金調達コスト等を含む)の予想に基づいて設定され、銘柄および購入時点によって異なる可能性があります。
商号等 / eワラント証券株式会社
金融商品取引業者 関東財務局長(金商)第2526号
加入協会 / 日本証券業協会
提供:eワラント証券