5月25日に首都圏や北海道の緊急事態宣言が解除されたのに続き、6月1日に東京都は「新型コロナウイルス感染症を乗り越えるためのロードマップ」におけるステップ2に移行し、商業施設や劇場、運動施設(スポーツジム)などに対する休業要請が解除されました。ステップ2への移行直後の2日には東京で感染状況が再び悪化し始めていることを警戒する「東京アラート」が発動されるなど、いまだ予断を許さない状況ですが、段階的に経済及び社会活動が再開され始めています。これらを好感する動きは株式市場においても続いており、日経平均は先週からさらに上げ幅を広げ、3日(終値)時点では22,613円と、コロナショックの下落幅の8割以上を戻しています。
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上昇をけん引したのは海外勢?
市場環境面では、経済活動再開への期待が直近の株式市場の上昇要因となったことは間違いないでしょうが、需給面で株式市場を押し上げたのは海外投資家であると考えられます。下図は東京証券取引所が公開している「投資主体別売買動向」より、海外投資家の売買差額と日経平均の推移を表したものです。海外投資家売買動向は現物株と先物(225先物、225mini先物、TOPIX先物、TOPIX mini先物、JPX400先物、マザーズ指数先物)の売買代金の合計です(海外投資家売買動向は5月3週目(18日〜22日)、日経平均の6月1週目は3日まで)。

5月28日に公開された5月第3週の海外投資家による売買は、現物株と先物の合計で3,863億円の買越しで、15週ぶりに買越しに転じました。5月4週以降のデータは本稿執筆時点ではまだ公開されてはいませんが、日本株市場の上げ幅を見る限り、引き続き買越し基調は続いている可能性は高いと考えられます。
海外投資家が買いに転じた理由としては、@2月後半以降に大きく売越していたこと、A個人投資家と日銀を中心とした買いで想定以上の速度で日本株市場が戻したこと、B目先にSQ(特別清算指数)算出日(6月12日)が迫っていることなどが複合的に影響して、買い戻しに迫られたのではないかと推測できます。
過去の事例に学ぶ
引き続き海外投資家の買越し基調が続くのだとすれば、需給面から日本株市場にはプラス要因となりそうです。ではこの買越し基調はいつまで続くのでしょうか。過去の事例を踏まえて検討してみたいと思います。
過去に今回のケースと同様に海外の売越しが10週以上継続したケースとしては2018年前半が挙げられます。

同期間の前後は米国の景気が拡大する中、FRBは前回の金融危機時より拡大していたバランスシートの縮小を始め、政策金利の引き上げを行っていた時期でした。引締めを始めたとはいえ、依然緩和的な金融政策の影響と安定的な経済成長で米国株価は緩やかに上昇を続けていましたが、2018年2月上旬に発表された雇用統計が市場予想を上回る内容だったことから、早期の利上げが予想されたことを受けて株価は下落し、株式市場の変動性の拡大を伴って「売りが売りを呼ぶ」展開となりました(VIXショック)。
さらに3月に入り、トランプ米大統領が中国製の鉄鋼・アルミ製品に関税を課すことを決定したことに対し、中国が報復関税を課す意向を示しました。二大国の通商問題は世界中に影響を与え、日本株市場にも波及、日経平均は一時20,347円の年初来安値をつけました。
VIXショックに先んじて1月第2週から日本株・先物を売り越していた海外投資家は、この間も売り越しを続け3月第4週までの12週間連続で売越しを続けていました。
一方、4月に入ると海外投資家は買越しに転じ、4月第1週から5月3週までの7週連続で買越しとなりました。その間、日本株市場は上昇を続け、5月21日には23,000円の大台を回復しています。海外勢の買いの影響力の表れとも考えられるでしょう。
今回も買越しは続くか?
今回も同様の動き方をすると考えれば、日本株市場はまだ上値を追う展開となるのかもしれません。
とはいえ、2018年のケースと今回とでは経済環境は大きく異なっています。2018年時は前述の通り世界的に雇用環境は非常によく、特に米国の失業率は史上最低水準を推移していました。一方、現在はロックダウン(都市封鎖)の影響で雇用環境は大きく悪化しており、4月時点で14.7%に急上昇しています(5月は20%前後と予想されています)。また、VIXショックや米中通商問題においては国内企業のサプライチェーンに影響は比較的軽微に留まったのに対し、今回は世界中で工場が操業停止に陥る事態となっており、国内企業への影響は必至です。
投資に活かすのであれば、海外投資家の買越し継続を意識して日本株市場の上昇を狙いつつ、売越しに転じた時の対策を考えておくのが良いでしょう。例えば、先物やCFDの買いポジションとプットオプションやプット型eワラントで相場の下落に対する保険をかけておく(プロテクティブ・プット)ことなどが考えられます。
(念のため付言しますと、上記は筆者の個人的な見解であり、eワラント証券の見解ではありません。)
eワラント証券 投資情報室長 多田 幸大
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