米アップルは6月22日、今年の世界開発者会議(WWDC)を初めてオンラインで開催しました。パソコン「Mac(マック)」や「iOS」対応製品のアップデートなどについて多くのメディアが伝えています。会議の中で公表された注目点の1つとして、マックに関して自社設計CPU(中央演算処理装置)である「Apple Silicon」に移行していく方針であるということが挙げられます。
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「Apple Silicon」移行の影響は?
具体的には、自社設計CPUを20年末までに発売するMacの新製品の一部に搭載、約2年かけて全機種を切り替える流れのようです。「Apple Silicon」はArmアーキテクチャをベースにしたもののようですので、英Armホールディングスを傘下に収めるソフトバンクグループ<9984>には、投資家の関心が集まるかもしれません。一方で、「Apple Silicon」への移行に伴い、これまでアップルにCPUを独占供給してきたインテルとの提携は解消されるようです。もっとも内製化の動きについてはこれまでも幾度かメディアが伝えており、発表後のインテル株価変動の影響は限定的でした。
アップルはマックのCPUを内製化することにより、年間20億ドル(約2155億円)ものコストを抑制することができるとの試算があるようです。今後は浮いた資金を研究開発費などへ活用することができるようになります。
その他、最新「iOS14」においては、音声人工知能(AI)「Siri」を使って、会話を他言語に変換する「翻訳」アプリが標準搭載されていますので、翻訳機を手掛けている企業にとっては、脅威になるでしょう。正式リリースは今秋になるようですが、「Apple Watch」「Apple TV」ついても、OSを更新する計画のようですので、今秋に向けてアップル関連銘柄への注目度は高まりやすいでしょう。
ハイテク株を取り巻く環境
新型コロナウイルス感染拡大の影響から遅れていた前期決算は概ね発表されましたが、今期計画については依然として未定としている企業が多く、投資環境は決して良いわけではありません。ただし、その中でもハイテク企業は相対的に強気な見通しを出してきており、特に次世代通信網「5G」に関しては成長見通しを立てています。5Gの成長期待と合わせてアップルの5G次世代機への関心も次第に高まってくると考えられる中、成長期待の大きいハイテク企業への関心は今後も続くことになるかもしれません。
また、新型コロナウイルス感染症を抑え込めていないことや第二波への警戒感から足元の出来高は減少傾向にあり、22日の東証1部の出来高は10億株を下回り、売買代金についても2兆円を下回る状況です。一方で、各国の金融緩和政策によって低金利による過剰流動性の流れになっており、米ナスダック指数が最高値を更新しているように、過剰流動性ながらも物色範囲に広がりがみられず、結果、成長期待の大きい銘柄に資金が集中する傾向にあると考えられます。
乖離拡大に伴うバリュー株へのリバランス的な動きは局所であると考えられますが、物色対象が長期的にシフトするとは考えづらく、割高感を警戒しつつもハイテク株を含むグロース株優位の状況が今後も続く可能性はあると考えられます。
投資に活かすなら
特定の銘柄に引っ張られやすい日経平均株価は日本の株式市場全体の指数とは言い難いですが、225銘柄で構成された株式ポートフォリオとして見なすと、いわゆる大型グロース(成長)株ポートフォリオと見なすことができます(※)。一方で、東証一部上場株式で構成されるTOPIXはグロース株とバリュー(割安)株をブレンドした株式ポートフォリオとみなすことができるでしょう。(グロース(成長)株とバリュー(割安)株の判定はPBRなど、株価の割安指標で評価されるのが一般的です。)
そこで、ハイテク株などのグロース株優位の相場が今後も続くと考えるのであれば、以下のような投資戦略が考えられます。
・日経225コールオプション、又は日経平均株価を対象とするコール型eワラントを買う。
・日経225CFD、又は日経225先物を買い建てる。TOPIX先物を同時に売り建てて相場全体の影響を相殺するのも一案。
・グロース株・ハイテク株の現物株式を買う。TOPIX先物を同時に売り建てて相場全体の影響を相殺するのも一案。
例えば以下のような銘柄が挙げられます
・東京エレクトロン(8035)
・村田製作所(6981)
・TDK(6762)
・アンリツ(6754)
・キーエンス(6861)
(念のため付言しますと、上記は筆者の個人的な見解であり、eワラント証券の見解ではありません。)
eワラント証券 投資情報室長 多田 幸大
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