米国株式市場でゲーム小売りのゲームストップ(GME)の株価が急騰し話題になっています。27日の取引終了時点での株価は347.5米ドルです。昨年末時点では18.8米ドル程度でしたので、1カ月足らずの間に株価が約18.5倍に上昇したことになります。ゲームストップに空売りを仕掛けていたヘッジファンドに対抗して個人投資家が株価を押し上げたと言われていますが、単純に株式を買っただけではこのようなことはなかなか起こりえません。
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ゲームストップ株急騰の経緯と仕組み
下図は昨年12月からのゲームストップ株の値動きと出来高を表したものです。1/14以降に出来高を伴って株価が大きく上昇し、22日以降にさらにその勢いを強めています。26日における同株の売買代金は180億米ドル(約1兆9千億円)と東証全体の売買代金に匹敵する取引となりました。
今回ゲームストップ株が急騰した要因としては、個人投資家が協調してゲームストップを買い上げたことが要因と見られています。空売りを得意とするファンドがゲームストップに空売りを仕掛けたことに対し、SNS等で連携をした個人投資家がゲームストップ株を一斉に買い付けました。ただ、いくら投資大国米国で個人投資家が協調したとはいえ個別株を買い付けただけでは、東証全体に匹敵する規模まで売買代金が膨らむことはなかったでしょう。実は投資家は個別株だけではなく、ゲームストップ株を対象とするコールオプション、しかも相場水準よりもはるかに高い権利行使価格(ファー・アウト・オブ・ザ・マネー)のコールオプションを買い付けていたようです。
下図はコールオプションの価格をイメージ化したものです。オプションの価格は現物株と違い曲線で表されます。そのため、参照原資産価格(株価等)が権利行使価格を下回っているときには参照原資産価格が変化してもオプション価格の変化額は小さいですが、参照原資産価格が上昇するほどに同じ変化額でもオプション価格の変化額は大きくなり、権利行使価格を大きく上回れば参照原資産価格の変化額にオプション価格の変化額が近付いていきます。この参照原資産価格の値動きに対するオプション価格の感応度を専門用語で「デルタ」といい、コールオプションの場合デルタは0〜1の間を推移します(プットオプションの場合は-1〜0)。ちなみに現物株やFX等のデルタは1に固定されています。
また、オプションを買い付ける人がいるということは反対側には売っている人がいるということです。多くのケースでは金融機関等の業者が売り手になっていると考えられます。ただし、売り手側はただオプションを売っているわけではなく、一方でヘッジを行っています。現物株を対象としたコールオプションを売った場合は、その現物株を市場等で買い付け、株価上昇のリスクを相殺しています。
ただし、権利行使価格にまだまだ到達していないコールオプションは、相場水準が大きく変わらない限り権利行使価格に到達しない=ゼロになる可能性が高いため、コールオプションを少量売りつけたとしてもすぐに現物株を買い付けてヘッジをするようなことはないと考えられます。ただし、ゲームストップ株に関しては、コールオプションが大量に買われたため、売り手側は現物株を買い付ける必要に迫られたと考えられます。
現物株を買い付けるということは当然株価上昇につながります。加えて、個人投資家がゲームストップ株を大量に買い付けたことで株価が上昇しました。そうなるとオプションのデルタも上昇し、オプションの売り手はさらなるヘッジが必要になり、現物株を買い付けます。その結果、さらに株価が上昇し、デルタが上昇し、さらなるヘッジが必要になり・・・という連鎖反応がおき、今回のようにゲームストップの株価が急騰する事態になったと考えられます。
日本株でも同様の事態は起きる?
今回ゲームストップ株で起きたような株価の急変は日本株市場でも起きるのでしょうか。個人的には起こりえないと考えられます。というのも、日本では米国のように個別株オプション市場が普及していないのがその要因です。国内では個別株オプションを取り扱っている証券会社が少なく、米国のように多くの投資家が個別株オプションを取引できる環境ではありません。
実質的に個別株オプションと同様の経済効果をもつeワラントは小口化されているのに加え、eワラントは有価証券のためオプションと違い取引可能数量に上限があります。したがって、取引量が急拡大しても、ヘッジに必要な株数は限定的で、株価を大きく押し上げるには至らないと考えられます。
ただし、eワラントを活用することで、今回オプションを買い付けた米国の個人投資家のような経済効果を狙うことはできます。過去には株価の急騰で300倍を超えるような価格上昇を記録したケースもありました(参考:1カ月で100倍超えも!?2021年投資の新たな手段)。今回のケースを参考に、投資に臨む上での飛び道具としてオプションやeワラントの活用を検討してみることを検討してみると良いでしょう。
(念のため付言しますと、上記は筆者の個人的な見解であり、eワラント証券の見解ではありません。)
eワラント証券 多田 幸大
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