7月末から本格化していた4-6月期決算の発表も8月13日でほぼ一巡します。足元では、商船三井(9104)や日本郵船(9101)などは上方修正と増配が好感され上昇を見せる一方、好調な業績にも関わらず大きく売られる銘柄も出ています。とはいえ、一本調子で上昇・下落を続ける銘柄はそう多くありません。eワラントの対象原資産で、7月26日以降に決算を発表した111銘柄のうち、発表の翌日から5営業日連続で上昇・下落(終値ベース)したのは23銘柄と、5分の1程度に留まりました。発表を受けて上昇・下落を見せた銘柄の多くは戻りを見せているのです。大きな値上がりをした相場はその後値下がりし、過去に値下がりした相場はその後値上がりするという現象をリターンリバーサルと言います。この現象を利用して、大きく値上がりした相場に対してはプット型eワラント、大きく下落した相場に対してはコール型eワラントで収益を狙う投資戦略も考えられるでしょう。
eワラントとは?
そもそもワラントってなに?3,000円程の少額から始められる「eワラントの魅力」をご紹介いたします。
■リターンリバーサルの例
リターンリバーサルの背景には投資家の過剰反応があると考えられます。決算のような情報を過度に評価・懸念することで合理的と考えられる価格から大きく乖離した後、適正な価格に収れんしていく過程をリターンリバーサルと言うことがあります。
図はファナック(6954)の過去3か月日足のチャートです。6月の工作機械受注の内容から国内外での工作機械需要の回復が意識されたことで7月中旬にかけて同社株価は一時28,000円台をつけました。ただ、足元では新型コロナウイルスの感染拡大による世界経済の減速懸念などから軟化した全体相場に引きずられる格好でレンジをやや切り下げていました。こうしたなか、7月29日の大引け後に22年3月期第1四半期決算を発表すると同時に、業績予想の上方修正を発表、通期営業利益見通しを従来予想の1,484億円から1,944億円と30%近く引き上げました。一見好材料と思われる情報でしたが、上方修正後の数値が市場予想と同水準だったためサプライズに乏しく、翌30日の同社株は反落しました。

決算発表前後の動きを見てみると、期待感などから発表直前に株価は上昇したものの、発表翌日には失望売りから急反落、さらに翌営業日には売られすぎと見た買いが入り反発と過度な動きを修正するような動きが続いています。
■リターンリバーサルを狙うなら?
決算発表後、大きく上昇・下落した相場が逆方向への調整をみせるリターンリバーサルが発生すると仮定するならば、発表後に株価が下落傾向にある株式を対象とするコール型eワラントを買っておく、または、上昇傾向にある株式を対象とするプット型eワラントを買っておくことで、リターンリバーサルによる収益獲得が期待できるかもしれません。eワラントの対象となっている日本株について、決算発表日の終値を起点として5営業日後の値上がりと値下がりの上位10銘柄を抽出しました。
【表1】値上がり10銘柄
順位 | 変動率 | 証券コード | 銘柄名 |
---|---|---|---|
1位 | 21.9% | 9104 | 商船三井 |
2位 | 11.1% | 6367 | ダイキン工業 |
3位 | 10.6% | 5401 | 日本製鉄 |
4位 | 9.2% | 6724 | セイコーエプソン |
5位 | 9.0% | 6857 | アドバンテスト |
6位 | 7.8% | 5938 | LIXIL |
7位 | 7.1% | 2802 | 味の素 |
8位 | 7.0% | 7741 | HOYA |
9位 | 6.9% | 6861 | キーエンス |
10位 | 6.1% | 6645 | オムロン |
出所:リフィニティブよりeワラント証券作成
本資料は情報の提供を目的としており、本資料による何らかの行動を勧誘するものではなく、将来の投資成果を保証するものでもありません。 本資料は信頼できると思われる情報に基づいて作成されておりますが、eワラント証券はその正確性、完全性に関する責任を負いません。ご利用に際しては、ご自身の判断にてお願いします。ここに示した内容は、本資料作成日現在のものです。
【表2】値下がり10銘柄
順位 | 変動率 | 証券コード | 銘柄名 |
---|---|---|---|
1位 | -9.5% | 6702 | 富士通 |
2位 | -8.7% | 8002 | 丸紅 |
3位 | -8.4% | 6762 | TDK |
4位 | -8.4% | 4751 | サイバーエージェント |
5位 | -7.1% | 7261 | マツダ |
6位 | -5.9% | 6471 | 日本精工 |
7位 | -5.8% | 6594 | 日本電産 |
8位 | -5.3% | 5802 | 住友電気工業 |
9位 | -5.0% | 6305 | 日立建機 |
10位 | -4.8% | 9983 | ファーストリテイリング |
出所:リフィニティブよりeワラント証券作成
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ここで注意したいのが、リターンリバーサルは必ず起こるわけではないということです。決算発表後5営業日連続で上昇・下落を続けた銘柄が2割程度あったように、大きな巻き戻しもなく上昇・下落を続ける銘柄も存在します。リターンリバーサルが見込めそうにない場合には損切りを行う、あるいは最大損失が投資元本に留まる損失限定型のeワラントを用いるなどすることで損失を抑えていくことが重要になります。
(念のため付言しますと、上記は筆者の個人的な見解であり、eワラント証券の見解ではありません。)
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商号等 / eワラント証券株式会社
金融商品取引業者 関東財務局長(金商)第2526号
加入協会 / 日本証券業協会、一般社団法人 日本暗号資産取引業協会
提供:eワラント証券