多くの売買においては相場がこれから「上がるか」「下がるか」を予想するのに対して、ニアピンeワラント(以下「ニアピン」)を用いた投資では「いくらくらいになるか」というように水準を予想します。ニアピンを活用することで、相場が上にも下にも値動きしない局面でも利益を狙うことができます。
ニアピンには、権利行使価格ではなく「ピン価格」が設定されています。あらかじめ設定された満期日に、投資対象が「いくらくらい」になっているかを予想して銘柄を選びます。例えば、「満期日に日経平均が16,000円程度になっていそうだ。」と予想するなら、日経平均を対象原資産とする、ピン価格が16,000円のニアピンを購入します。
ニアピンの対象原資産は「日経平均」と「米ドル対円相場」の2つのみです。「日経平均」を投資対象とするニアピンは、満期日の日経平均の価格がピン価格の前後250円未満におさまれば、「米ドル対円相場」を投資対象とするニアピンは、満期日の米ドル円相場の水準がピン価格の前後2円未満におさまれば、受取金額が発生します。
本レポートでは、ニアピンを活用した投資法と注意点を掲載しておりますので、eワラント投資にお役立てください。

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ニアピンのしくみ |
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コールやプットは満期保有を前提とせず、利食いや損切りをしっかり行うのがポイントとなりますが、ニアピンは満期保有を前提とした投資も有効と考えられます。ニアピンは満期日の日経平均または米ドル対円相場を予想して、その予想に近いピン価格の銘柄を購入する他のeワラントとは異なるeワラントです。
下の例の銘柄は、対象原資産が日経平均、ピン価格が16,000円、満期日が2016年6月8日です。つまり、「2016年6月8日時点で日経平均の価格が16,000円程度になっていそうだ。」と予想する場合には、この銘柄を購入します。なお、r250というのは満期日に受取金が発生するレンジを示しています。
ニアピンはコールやプットと同様に、満期日の前でも売却をして損益を確定させることができます。ただし、満期前の買取は満期日の前営業日の15時までとなります。

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ニアピン活用法と満期日の受取金額 |
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将来の相場にぴったりのピン価格を当てるのは難しいものです。そこで今回はニアピンを応用して勝率を上げる方法を紹介します。本稿執筆時点(2016年5月9日時点)で2016年6月8日が満期となっているニアピンがありますので、これを活用した事例を紹介します。なお、以下の価格情報は本稿執筆時点のものです。
例えば、満期日の日経平均が16,000円超16,500円未満のレンジに収まることを想定するならば、
A:ピン価格16,000円 売気配 9.51円を1000ワラント
B:ピン価格16,500円 売気配 11.66円を1000ワラント
を購入して満期まで待ちます。合計投資金額は21,170円となります。
A、Bそれぞれの満期受取金は満期日の日経平均によって次の通りとなります。
日経平均ニアピン:(100円 − ピン価格と満期参照原資産価格の乖離額 × 0.4 )× 保有ワラント数
なお、米ドルニアピンの場合は次の通りです。
米ドルニアピン: (100円 − ピン価格と満期参照原資産価格の乖離額 × 50 )× 保有ワラント数
日経平均株価(円) |
15,500 |
15,750 |
16,000 |
16,250 |
16,500 |
16,750 |
17,000 |
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Aの受取金(円) |
0 |
50,000 |
100,000 |
50,000 |
0 |
0 |
0 |
Bの受取金(円) |
0 |
0 |
0 |
50,000 |
100,000 |
50,000 |
0 |
受取金合計(円) |
0 |
50,000 |
100,000 |
100,000 |
100,000 |
50,000 |
0 |
損益(円) |
-21,170 |
28,830 |
78,830 |
78,830 |
78,830 |
28,830 |
-21,170 |

合計投資金額は21,170円ですので、満期の受取金額が21,170円超となれば利益が発生します。この例では2銘柄に投資することを紹介しましたが、上下のピン価格のニアピンを追加購入して幅を広くすることもできます。ただし、受取金発生の可能性が高まる一方で購入にかかる元手の資金も増えるので、得られる利益は低下します。仮に同一満期日を持つ全ての種類のニアピンを購入しても、一般に投資金額の全てを回収することはできない可能性がある点には注意が必要です。
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今回のコールくん、プットくんの注目銘柄 |
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コールくんが選ぶ〜注目銘柄
今月上旬まで行われていた北京モーターショーでは中国が電気自動車の普及促進を目指しているのが印象的だったね。電気自動車といえばリチウムイオン電池だけど、注目銘柄に挙げたダブル・スコープは特にリチウムイオン二次電池用セパレータの製造・販売を手掛けている会社だよ。同社は中国や韓国のバッテリーメーカーとのパイプが強いので、中国での電気自動車生産が伸びるほど同社の業績アップが期待できそうだね。
コールは3銘柄あるけれども一番権利行使価格が低い銘柄にしたよ。レバレッジが低いので現物株式を小額で買っているような印象だね。
満期日の1ヵ月くらい前、7月末までかな。
14.50円前後で利食い売りを目標にしたいね。
- ※あくまでも目安であり、将来の運用成果等を保証するものではありません。
富士通コール149回
富士通コール153回
ダブル・スコープコール2回
ダブル・スコープコール3回
安川電機コール20回
- ※コメント作成時、eワラントホームページのアクセス状況に基づきます。

プットくんが選ぶ〜注目銘柄
市場の期待とは裏腹に日銀が追加の金融緩和を見送ったことで、円高傾向はさらに強まっているね。政府は為替介入を示唆してるけど、少なくとも今月26日、27日のサミットが終わるまでは実行できないのでは?って思っているよ。もし為替介入したら日本がサミットで議題にしたい点が為替相場の話題に変えられてしまうかもしれないからね。米ドルが徐々に下落することを想定して米ドル安型(米ドルリンク債プット)に決めたよ。
満期までの期間が長い銘柄で価格変動リスクを抑えつつ、権利行使価格が現在の為替水準に近くてレバレッジが比較的大きい銘柄を選んだよ。
2週間〜1ヵ月程度
5.0円前後が目標だよ。
- ※あくまでも目安であり、将来の運用成果等を保証するものではありません。
米ドル ドル安(プット)型 563回
米ドル ドル安(プット)型 578回
米ドル ドル安(プット)型 583回
米ドル ドル安(プット)型 584回
米ドル ドル安(プット)型 589回
- ※コメント作成時、eワラントホームページのアクセス状況に基づきます。
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リスクについて
eワラント(カバードワラント)は、対象原資産である株式・株価指数、投資証券(REIT)、預託証券、国債先物、通貨(リンク債)、コモディティ(リンク債)の価格変動、時間経過(一部の銘柄を除き、一般に時間経過とともに価格が下落する)や為替相場(対象原資産が国外のものの場合)など様々な要因が価格に影響を与えるので、投資元本の保証はなく、投資元本のすべてを失うおそれがあるリスクが高い有価証券です。また、対象原資産に直接投資するよりも、一般に価格変動の割合が大きくなります(ただし、eワラントの価格が極端に低い場合には、対象原資産の値動きにほとんど反応しない場合があります)。
ニアピンeワラント(カバードワラント)は、対象原資産である株価指数や為替相場の変動や、時間経過(同日内を含む)など様々な要因が価格に影響を与えるので、元本の保証はなく投資元本のすべてを失うおそれがあるリスクが高い有価証券です。また、対象原資産に直接投資するよりも、一般に価格変動の割合が大きくなります。最大受取可能額は1ワラント当たり100円に設定され、満期参照原資産価格がピン価格から一定価格以上乖離した場合は満期時に価格がゼロになります。同一満期日を持つ全ての種類のニアピンeワラントを購入しても、投資金額の全てを回収することができない可能性があります。
トラッカーeワラント(カバードワラント)は、対象原資産である株価指数、通貨(リンク債)、コモディティ(リンク債)の価格変動や為替相場(対象原資産が国外のものの場合)など様々な要因が価格に影響を与える有価証券です。このため、投資元本の保証がなく、損失が生じる恐れがあります。トラッカーeワラントの価格は、eワラントに比べると一般に対象原資産の価格により近い動きをします(ただし、レバレッジトラッカーは同方向または逆方向に増幅されたような値動きとなります)が、任意の二時点間において対象原資産の価格に連動するものではありません。また、金利水準、満期日までの予想受取配当金及び対象原資産の貸株料等の変動によって、対象原資産に対する投資収益率の前提が変化した場合には、トラッカーeワラントの価格も影響を受けます。
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