2月2日に発表された1月の雇用統計において予想を上回る労働市場の改善が明らかとなったことは、市場関係者にとってFRBによる早期の利上げを想起させることとなりました。その結果、米長期金利が急激に上昇し、それを嫌気した投資家の売りで株式相場が大きく下落したことはご記憶のとおりだと思います。
2月の雇用統計は3月9日(金)の日本時間22:30に発表される予定です。前回の急落の記憶が鮮明なまま迎える次回発表に向けて、市場関係者は相当の警戒感をもって臨むことになるでしょう。また、同日はメジャーSQ、日銀の政策金利発表と重要なイベントが重複しており、相場の転換点となる日になるかもしれません。
そこで、今コラムでは米国の労働市場について改めて確認しておくとともに、雇用統計をイベントとした投資戦略をご紹介したいと思います。雇用統計など大きなイベントを控えたこの機会に是非eワラントのお取引をご検討ください!
米国の労働市場を取り巻く現況 |
リーマンショック後の2009年10月に10.0%とピークをつけた米国の失業率は、堅調な経済成長の中で減少を続け、2017年1月時点で4.1%と完全雇用に近い状況に達しています(図1)。9日に公表される2月の雇用統計では、非農業部門雇用者数が前月比+19万人、失業率が1月同様の4.1%と予想されています。ただし、前述の通り完全雇用に近い状況であることや、季節要因、同指標が頻繁に訂正されることを鑑みると、雇用者数に多少のぶれが出たとしても相場に与える影響は限定されるかもしれません。
より注目を集める可能性が高いのが賃金です。FRBが目標とする2%のインフレ率を達成するためには、前年比3%程度賃金上昇が必要とされています。米国の賃金は右肩上がりに上昇を続けていますが、1月の雇用統計では前年同月比で2.9%と、目標達成に必要な水準に近づいたということになりました(図2)。賃金の上昇率が安定して3%に近い水準またはそれを上回る水準を維持していることが明らかとなれば、インフレ率の上昇が鮮明となり、過度のインフレを抑制するためにFRBの利上げペースが上昇する可能性があります。
雇用統計を投資機会とするなら |
雇用統計で公表される内容やそれを受けて市場がどのように反応するかを事前に予想することは難しく、また、場合によっては急騰・急落を伴う可能性もあるため、追証や強制ロスカットを伴う可能性があるFXや先物はポジションをいったん解消しておいたほうがよいでしょう。
相場の急騰・急落があると考えるのであれば、雇用統計の発表前にeワラントを買い付けておくという投資戦略が有効となるかもしれません。eワラントはレバレッジが効いているので、雇用統計の発表後に相場が予想どおりの方向に大きく動いた場合には大きなリターンが得られる可能性がある一方、証拠金取引ではないので予想が外れても追証を請求されることはありません。また、強制ロスカットもないので、相場が急変しても自動的に損失が確定することもありません。ただし、投資元本が0になる可能性はありますので資金は管理可能な範囲内に留めておいたほうがよいでしょう。
eワラントで雇用統計を利用したイベント投資を試すのであれば、以下のような手順で銘柄を選んでみると良いでしょう。
@対象原資産
対象となる相場としては米ドルが第一候補となるでしょう。米ドルと長期金利は強い相関があることが知られており、米国の金利動向に影響を与えることの多い雇用統計では最も影響を受けやすい相場の1つと言えるかもしれません。ただし、昨年末以降、米ドル対円相場と長期金利の相関が崩れている点には注意が必要です(図3)。また、前回同様に株式相場が急変すると予想するのであれば、日経平均やダウを対象としたeワラントも候補になります。
Aコールorプットor両建て
投資となる相場の上昇を予想するのであればコールを、下落を予想するのであればプットを選びます。イベントを利用して短期投資をする場合には、満期までの残存期間が1ヶ月を切っていて、コールの場合は権利行使価格が相場水準よりもやや高い(プットの場合はやや低い)銘柄を選びます。予想通り相場の上昇(プットの場合は下落)があれば大きなリターンが得られる可能性はありますが、予想が外れたり、あまり動かなかった場合には損失が発生する恐れのあるハイリスク・ハイリターンの投資になります。
一方で、前述のように、雇用統計の結果やその後の市場の反応を予想するのは難しいという場合、満期日が等しく、権利行使価格が相場水準に近いコールとプットを両方とも買付けるという戦略も可能です。相場が大きく動けば、上昇した銘柄の利益が下落した銘柄の損失と相殺して、合計数%の利益を狙えるという投資戦略です。相場の動きが小幅に留まった場合は損失となります。
2月27日現在であれば以下のような銘柄が候補になります。イベント直前の相場水準に合わせて銘柄をご検討ください。
コール
米ドルリンク債 コール 第899回
日経平均 コール 第1137回
ダウ・ジョーンズ工業株価平均 コール 第367回
プット
米ドルリンク債 プット 第782回
日経平均 プット 第887回
今回のコールくん、プットくんの注目銘柄 |
コールくんが選ぶ〜注目銘柄
がん免疫薬オプジーボで知られる小野薬品工業は、薬価半減の影響が懸念されていたけど、減益幅が縮小したことが株式市場には好感されているようだね。株価は指数の下落にも関わらず上昇基調が続いているよ。
権利行使価格が低いので、他のコール型eワラントよりも相対的に価格変動リスクは小さめだよ。とはいっても、レバレッジ(実効ギアリング)で見れば3〜4倍ほどあるから、現物株よりもリターンは期待できるかもしれないね。
満期保有も考えたいところだね。
10円を目標とするよ。
- ※あくまでも現在の市場動向から推測した目安であり、将来の運用成果等を保証するものではありません。
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小野薬 コール 第37回
トリケミカル コール 第4回
- ※コメント作成時、eワラントホームページのアクセス状況に基づきます。
プットくんが選ぶ〜注目銘柄
2月前半に発表した決算以降、JTの株価は下落トレンドにあるよ。今回の減益は一時的ではあるけど、引き続きタバコの増税や受動喫煙防止法案など、国内タバコ販売には引き続き苦戦が続きそうな状況だね。
比較的満期が長めの銘柄を選んだよ。単価もさほど高くなく4000円程度から相場に参加できるよ。
2週間程度のうちに反発を確認したら手仕舞い売りをしたいところだね。
5円を目標売却価格とするよ。
- ※あくまでも現在の市場動向から推測した目安であり、将来の運用成果等を保証するものではありません。
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- ※コメント作成時、eワラントホームページのアクセス状況に基づきます。
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