直近の米ドル対円相場を見てみると、7月中旬につけた113円台をピークにやや円高ドル安方向に進んでいます。米国と中国・欧州との貿易摩擦問題が激化していることや米国がイランへの経済制裁再開を計画していることなどの外部要因、及び日銀の金融政策修正が小幅に留まったことが原因と考えられます。
一方、為替相場に影響を与える投機筋、その相場観を知るためのデータとして有名なシカゴの投機筋ポジションにも数週間前から変化が起こっています。4月以降、中立状態を保っていた投機家のポジションが6月中旬以降大きく米ドル買い(円売り)に転じました。今後の為替相場の動向を予想する上で、シカゴの通貨先物取引における投機筋のポジションに注目しておくのもよいかもしれません。
本レポートではシカゴの投機筋のポジションについて、直近と過去20年の動向から、今後の米ドル対円相場のシナリオについて紹介しています。
直近の投機筋の動向と米ドル対円相場の推移 |
通貨先物の投機筋のポジションはCFTC(全米先物取引委員会)のホームページで毎週更新されています。投機筋の他に実需筋も主要な取引参加者ではありますが、米ドル対円相場については投機筋のポジションの動向と為替相場の連動性が高いと考えられます。一般的に、投機筋の円売りポジションが積みあがっている時期は米ドル対円相場は円安に、円買いポジションが積みあがっている時期は円高になる傾向があると言われています。
下の図は2016年1月から2018年7月までの米ドル対円相場と投機筋のポジションの動向です。実際に、2016年の円買いポジションが積みあがっている時期においては1ドル=120円程度の円安であった米ドル対円相場が一時100円を割り込む水準まで円高が進行していたことがわかります。一方で、投機筋の円売りポジションが積みあがった2017年から2018年3月においては、2016年の水準と比較してやや円安は進んでいるものの、上値は重い状態が続きました。
直近の投機筋のポジションを見ると、2018年4月ごろから円売りにも円買いにも偏りがない中立的なポジションが続いていましたが、6月の中旬以降再び円売りポジションが積み重なっていることが分かります。これは6月に行われたFOMCにおいて利上げが決定されたこと、及び2018年中に残り1〜2回の利上げが見込まれていることが要因かもしれません。
過去の投機筋ポジションのトレンドから今後の投資戦略を考える |
下の図は過去20年間の米ドル対円相場と投機筋のポジションの関係を示したものです。
今回同様、ポジションに顕著な傾きが見られていた時期としては、@2005年から2007年、A2013年から2015年、B前述の2017年が目立ちます。これらの時期は、ポジションの一方的な傾きが1年から数年単位の間続き、緩やかに円安ドル高が進んだ時期といえそうです。
一方で、C1998年から2001年、D2010年から2012年にも一時ポジションが円売りに偏った時期がありましたが、これらはすぐにポジションが解消され、短期的に円高が進行した時期といえそうです。
以上のことから次のシナリオを想定することができるでしょう。
・シナリオと投資戦略1
中長期的(半年から数年)に円安の進行が進む。このシナリオを想定する場合、満期日がなるべく先になっている米ドル高型(米ドルリンク債コール)を買い付け、満期日の1ヵ月ほど手前で手仕舞い売りします。
米ドル高型(米ドルリンク債コール)の一覧
・シナリオと投資戦略2
短期的(目先1週間から1ヵ月ほど)に大きく円高に振れる。このシナリオを想定する場合、権利行使価格が相場水準に近い米ドル安型(米ドルリンク債プット)を買付け、1週間から1ヵ月で手仕舞い売りをします。
米ドル安型(米ドルリンク債プット)の一覧
今回のコールくん、プットくんの注目銘柄 |
コールくんが選ぶ〜注目銘柄
リクルートが2012年に買収したIndeed、及びそれをコアとするリクルートのHRテクノロジー事業は大きく成長を遂げているね。また、同社は米国で求人企業のレビューサイトを運営するグラスドア(Glassdoor)の買収合意を発表しているよ。求人情報の質(Glassdoor)と量(Indeed)をもって堅調な米国経済の中で更なる収益拡大が期待されるね。
権利行使価格が低く、満期まで期間がある銘柄で中長期的な上昇を狙いたいね。
2〜3ヵ月で一旦手仕舞いを検討したいところだね。
16円を目標価格とするよ。
- ※あくまでも現在の市場動向から推測した目安であり、将来の運用成果等を保証するものではありません。
この銘柄を見た方が他に見た銘柄
スクエニHD コール 第55回
村田製 コール 第131回
- ※コメント作成時、eワラントホームページのアクセス状況に基づきます。
プットくんが選ぶ〜注目銘柄
米中貿易摩擦やイラン制裁再開の話が出てきているけど、以前から言われている話であって特段材料視はされないと思っているよ。しかし、7日午前9時30分時点において、日経平均が22,500円付近で上値が重くなってきているのが気になるね。7月上旬からの上昇トレンドを継続させるには力不足かもしれないね。22,000円付近への下落に転ずる可能性を想定してこのプットを選択したよ。
こちらも権利行使価格が相場水準より低いので、本当に下落が起きれば大きな上昇が期待できそうだね。
1〜2週間が目安だよ。
1.1円を目標価格に設定するよ。
- ※あくまでも現在の市場動向から推測した目安であり、将来の運用成果等を保証するものではありません。
日経平均 プット 第921回
日経平均マイナス3倍 第32回
- ※コメント作成時、eワラントホームページのアクセス状況に基づきます。
eワラントが10年以上投資家に支持されているワケ
eワラントの関連コンテンツ
eワラントを極める!(毎週第1営業日更新)
ご注意事項
- SBI証券を通したマーケットメーカー(eワラント・インターナショナル)との相対取引になります。
- 配当や株主優待の権利は発生しません。
- 未成年口座のお客さまのeワラント取引のお申し込みは受付いたしておりません。
リスクについて
eワラント(カバードワラント)は、対象原資産である株式・株価指数、投資証券(REIT)、預託証券、国債先物、通貨(リンク債)、コモディティ(リンク債)の価格変動、時間経過(一部の銘柄を除き、一般に時間経過とともに価格が下落する)や為替相場(対象原資産が国外のものの場合)など様々な要因が価格に影響を与えるので、投資元本の保証はなく、投資元本のすべてを失うおそれがあるリスクが高い有価証券です。また、対象原資産に直接投資するよりも、一般に価格変動の割合が大きくなります(ただし、eワラントの価格が極端に低い場合には、対象原資産の値動きにほとんど反応しない場合があります)。
ニアピンeワラント(カバードワラント)は、対象原資産である株価指数や為替相場の変動や、時間経過(同日内を含む)など様々な要因が価格に影響を与えるので、元本の保証はなく投資元本のすべてを失うおそれがあるリスクが高い有価証券です。また、対象原資産に直接投資するよりも、一般に価格変動の割合が大きくなります。最大受取可能額は1ワラント当たり100円に設定され、満期参照原資産価格がピン価格から一定価格以上乖離した場合は満期時に価格がゼロになります。同一満期日を持つ全ての種類のニアピンeワラントを購入しても、投資金額の全てを回収することができない可能性があります。
トラッカーeワラント(カバードワラント)は、対象原資産である株価指数、通貨(リンク債)、コモディティ(リンク債)の価格変動や為替相場(対象原資産が国外のものの場合)など様々な要因が価格に影響を与える有価証券です。このため、投資元本の保証がなく、損失が生じる恐れがあります。トラッカーeワラントの価格は、eワラントに比べると一般に対象原資産の価格により近い動きをします(ただし、レバレッジトラッカーは同方向または逆方向に増幅されたような値動きとなります)が、任意の二時点間において対象原資産の価格に連動するものではありません。また、金利水準、満期日までの予想受取配当金及び対象原資産の貸株料等の変動によって、対象原資産に対する投資収益率の前提が変化した場合には、トラッカーeワラントの価格も影響を受けます。
さらに、取引時間内であっても取引が停止されることがあります。
お客様の購入価格と売却価格には価格差(売却スプレッド)があります。
詳細は、最新の外国証券情報をご参照ください。