これまで世界経済の成長を先導してきた中国と米国の両大国間で通商問題が発生してから間もなく1年が経とうとしています。これまで両政府高官による協議が重ねられてきましたが、未だ解決の目処は立っていません。その影響は大きく、21日に発表された中国の2018年第3四半期のGDP成長率は前年同期比でプラス6.4%と、金融危機後の2009年第4四半期以来となる低い成長率を記録しました。いよいよ中国経済の成長鈍化が鮮明になってきました。
一方、かつてBRICsの一角として中国と並び称されたインドは、依然7%を上回るGDP成長率を記録しており、変動はあれど経済は上向きの様相を保っています。特に、2014年の誕生したモディ政権は、『モディノミクス』とも呼ばれる経済政策を推し進め、いまだ世界中の企業家・投資家の注目を集めています。
年初から波乱の続く日本株市場ですが、相場が大きく下げた局面では中長期的にインドの経済成長の恩恵を受けると考えられる銘柄への投資を考えてもよいかもしれません。ただし、2019年にはインド市場を大きく左右するイベントも控えていますので、そのリスクについても考えておきましょう。

![]() | BRICsの勝ち組・インド |
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かつてBRICsと称され、世界中の注目を集めた4カ国ですが、ブラジルは2014年4−6月期からマイナス成長に入り、ロシアも2015年1−3月期からマイナス成長に入りました。ブラジルではインフレーション(物価上昇)、景気後退、ジカ熱に悩まされ、ロシアでは原油価格の低迷が経済に大きな影を落としました。いずれもマイナス成長は脱したものの、直近のGDP成長率は0%〜2%台前半と期待されたほどの経済成長を果たせないでいます。両国に比べ、中国は相対的に高い成長率を示してはいましたが、前述の通り直近の成長率は6.4%(前年同期比)と以前に比べて成長鈍化の兆しが現れています。また、シャドーバンキングや国有企業の債務問題など、政府発表に現れていないリスク要因が山積しています。米中貿易摩擦の影響を鑑みても、実体経済は数字以上に悪化しているかもしれません。

そんな中でインドは相対的に高い成長率を維持しています。インドの成長エンジンとなっているのは、人口動態です。インドは世界第2位の人口(約13億人)を抱えていますが、出生率は中国に比べて高く、2025年前後には中国を抜いて世界第1位の人口大国になると予想されています。人口の増加に伴う内需中心の経済成長が期待されます。また、豊富な労働力を求めて外資系企業の進出も進んでいます。特に2014年に成立したモディ政権は積極的に外資を誘致し、多くの企業がインドへの直接投資を増やしました。

![]() | インド関連銘柄と2019年のリスク要因 |
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高成長が続くインド市場に投資をしようと考えるのであれば、インドの企業に中長期的なスタンスで直接投資するのも一手ですが、日本からの投資を考えた場合、インドの個別企業を調べて実際に投資するのは困難と言えるでしょう。そこで日本の企業でインドに進出している企業、または今後ビジネスを拡大させる可能性がある企業に投資するという手段もあります。
具体的なインド関連の日本株としては次の銘柄などが挙げられます。これらの銘柄の中にはeワラントの対象原資産にもなっているものもあるので現物株の代わりにコール型eワラントで少額から投資、ということも可能です。
コード | 銘柄名 | 概要 |
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4613 | 関西ペイント | インド国内の自動車生産台数の増加や建築分野において塗料需要の拡大続く |
5332 | TOTO | モディ政権は農村部でのトイレ設置を推進 |
6367 | ダイキン | インドのエアコン市場で首位 |
6305 | 日立建機 | 建設機械のシェアでインド首位 |
6501 | 日立 | 高速鉄道やデジタル分野で積極進出 |
6758 | ソニー | インドのスポーツ専門チャンネル買収でコンテンツ事業に本格進出 |
6954 | ファナック | 来日時にモディ首相が直接訪問 |
7269 | スズキ | 同社の子会社マルチ・スズキはインドの自動車市場で首位 |
8031 | 三井物産 | インドで鉄道工事490億円受注 |
8113 | ユニ・チャーム | 出生数増加で紙おむつ需要が高まる |
9984 | ソフトバンクG | インドのEC企業に出資、大規模太陽光発電で合弁会社を設立 |
NFLX | ネットフリックス | インドを重点拠点に据え、現地向けオリジナル番組を制作 |
ただし、好調に見えるインド市場ですが、2019年は政治リスクの高まりに警戒をしておいたほうがよいでしょう。
2019年春にインドでは総選挙が行われますが、その前哨戦と位置づけられていた5州の州議会選(12月11日投開票)において、モディ首相率いる与党インド人民党(BJP)は全ての州で敗北しました。これまで強い経済成長を武器に支持を拡大してきたモディ政権でしたが、その恩恵が十分に行き渡っていないことで有権者が離反したと見られています。
前哨戦の結果を見る限りですと、本番の総選挙でもBJPは苦戦を強いられる可能性が高いでしょう。前述の通りモディ首相は外資優遇を含む積極的な経済政策を推進してきましたので、仮に退陣となれば、インド関連株にとっては下落要因となるかもしれません。総選挙に備えて、プット型eワラントでリスクヘッジを考えてみてもよいかもしれません。
![]() | 今回のコールくん、プットくんの注目銘柄 |
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コールくんが選ぶ〜注目銘柄
ビリングシステム(3623)はネット決済で金融機関とは以前から連携関係にあるけど、最近ではスマートフォン決済事業も行っていて、業績は好調だね。いわゆるキャッシュレス関連株の1つだよ。ビリングシステムの株価は今週に入って下げているけど、上昇トレンドの押し目と考えることもできるかもしれないね。株価が反発すると想定するなら、コール型eワラントで反発局面を取って行きたいところだね。
権利行使価格を超えてくれば大きな値上がりが期待できるかもしれないと思って選んだよ。
1〜2週間程度の短期勝負だよ。
3.5円を目標価格とするよ。
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プットくんが選ぶ〜注目銘柄
OPECやロシアなどによる減産決定を受けて原油価格は急速に値を戻しているけど、このところ色々な期間が世界経済の後退見通しを打ち出してきているよ。今後さらに景気後退が鮮明になれば、需要減が意識されて原油価格は下落に転じるかもしれないね。
中長期的な下落を見込んで満期がやや長い銘柄を選んだよ。
2月末までを目安としているよ。
原油が45米ドルまで下落すれば、2円程度で売却できる試算だよ。
- ※あくまでも現在の市場動向から推測した目安であり、将来の運用成果等を保証するものではありません。
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