東証1部に上場銘柄している銘柄がいくつあるか、みなさんご存じでしょうか。答えは2,160銘柄(うち外国株1銘柄、2020年2月25日時点)です。企業が東証1部に上場するメリットは、企業の知名度・信頼が上がることや、資金調達が円滑に行えるようになることなどが挙げられます。東証1部上場による大きな影響といえば、東証株価指数(TOPIX)の構成銘柄に採用されることでしょう。多くの機関投資家がTOPIX連動型のインデックス運用を行っているため、構成銘柄になると大量の買い需要が発生することになります。ただ、市場ではこのTOPIXを見直す動きが進んでいるようです。
東証は市場再編を検討 |
日本取引所グループ傘下の東京証券取引所(東証)は2018年10月、上場市場のあり方を検討する有識者懇談会を設置すると発表しました。東証は現在、一般投資家向けの市場を、東証1部、東証2部、マザーズ、JASDAQ(スタンダード・グロース)の4つに区分しています。この区分については、新興企業の上場先としてマザーズとJASDAQが混在すること、東証2部との区別がわかりづらいこと、東証1部の企業数が他の3市場と比較して多すぎることなどが以前から指摘されていました。懇談会では市場区分の再編などについて検討が行われていましたが、取引所の在り方は市場そのものの在り方に直結するとして、金融庁の金融審議会で議論が進められることになりました。
金融審議会は約半年で6回にわたる会合を開催、昨年末には審議の結果をとりまとめた報告書を発表しました。報告書では、市場を「プライム市場」、「スタンダード市場」、「グロース市場」(仮称)の3つに再編することや市場区分とTOPIXの切り離しを行うことなどが検討されたとしています。
TOPIXの見直しについては、浮動株の定義を用いて計算される「流通時価総額(浮動株時価総額)」を基準として、プライム市場を中心にスタンダード市場などからも選定できるようにすることが考えられるとしています。ただ、報告書では「マーケットに影響を与えないよう、連続性の確保に十分留意するとともに、十分な移行期間を設ける必要がある」としており、除外銘柄となっても数年かけて組み入れ比率を低下させるようですので、直ちに影響が出るというわけではなさそうです。となると、当面はTOPIX組み入れによる買い需要が続くと仮定して、東証1部への上場動向を考えてみるのが面白そうです。
1部への上場意欲は衰えたのか? |
再編への議論が始まった当初は、東証2部やマザーズ、JASDAQの企業が東証1部への市場変更が進むとの意見がありました。現在は東証1部に直接上場する基準に対して、2部やマザーズ、JASDAQからの市場変更の場合は緩和された基準が適用されているため、先んじて東証1部へ市場変更することで、最上位のプライム市場入りを狙うというのです。
しかし、実際は東証1部への市場変更を見送る企業が増えたようです。図1は、2015年から2019年までに東証1部への市場変更を行った企業の数を比較したものです。2015年から2018年までは70件超の市場変更があったのに対して、2019年は51件と例年から3割ほど減ったことがわかります。
減少の理由としては議論の長期化に伴う先行き不透明感などが挙げられます。ただ、報告書はあくまで検討された内容を取りまとめただけで、各市場の明確な上場基準等は明らかになっていません。現時点で東証1部に市場変更しても、プライム市場の新基準を満たすことが出来ず、スタンダード市場に落ちてしまう可能性を嫌った新興企業が市場変更申請を見送ったとの報道もありました。では、実際はどの市場の企業が変更を行っていたのでしょうか。図1に元々の市場の内訳を加えたものが図2になります。
図2を見ると東証2部からの市場変更が目立って減っていることがわかります。マザーズやJASDAQから東証2部へ市場変更後、ほとんど間を空けずに東証1部に市場変更を行う例もあるため一概には言えませんが、上場基準の変更を警戒しているのは新興企業というより、現時点で1部との境目に近い東証2部の上位企業なのではないでしょうか。
成長著しい新興企業であれば、現時点でプライム市場の上場基準を満たしていなくとも将来的には基準を満たす可能性は十分にあります。こうした企業は今後も東証1部への市場変更を積極的に進めていくと考えられます。2020年も新興企業の東証1部への上場ペースが落ちないと仮定するのであれば、新興企業の動向に注目した投資または新興株バスケットへの投資が選択肢に入りそうです。
また、20日にはプライム市場の上場基準を満たさない東証1部上場企業にも、当面の間残留できる猶予期間を設ける方針とも報じられました。プライム市場の上場基準や猶予期間が明確になった場合には、緩和基準が維持される期間に現れるであろう「駆け込み昇格」に期待するのも面白いかもしれません。
今回のコールくん、プットくんの注目銘柄 |
コールくんが選ぶ〜注目銘柄
新興株バスケット…と言いたいところだけど満期日が近い銘柄しかなかったので、JASDAQの時価総額上位からワークマンを選んだよ。
満期日の遠い銘柄を選んだよ。
1カ月くらいを想定しているよ。
3円台での売却を目標としているよ。
- ※あくまでも現在の市場動向から推測した目安であり、将来の運用成果等を保証するものではありません。
小糸製作所 コール 23回
パン・パシフィック・インターナショナルホールディングス コール 20回
SUBARU コール 89回
スズキ コール 45回
- ※コメント作成時、eワラントホームページのアクセス状況に基づきます。
プットくんが選ぶ〜注目銘柄
中国の鉄筋在庫が過去最大となったと伝わっているよ。新型肺炎の感染拡大で、生産を上回るペースでの需要減が続いているみたいだね。中韓の過剰供給で厳しい鉄鋼業界だけど、環境の更なる悪化が懸念されそうだね。
権利行使価格が近い銘柄を選んだよ。
2週間くらいを想定しているよ。
4円台での売却が目標だよ。
- ※あくまでも現在の市場動向から推測した目安であり、将来の運用成果等を保証するものではありません。
富士フイルムホールディングス コール 80回
住友不動産 プット 105回
東レ プット 105回
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