インド株指数が4/3(月)、4/5(水)と終値ベースで最高値を更新して好調です。「トランプ相場」で米国の長期金利が上昇したことによる資金流出懸念、高額紙幣廃止による経済の混乱で、昨年末にかけては大きく調整しました。しかし、17年に入ってモディ首相による経済改革への期待が高まり、海外機関投資家の買い越しが拡大しています。相場はまだ序の口である可能性が高いと考えられるため、「今週の注目ETF」として取り上げます。
図表1 インド株関連のETF
取引 | コード | 銘柄 |
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EPI | ウィズダムツリー インド アーニングスF(EPI) | |
SCIF | ヴァンエック ベクトル インド小型株 ETF(SCIF) | |
INDL | DirexionデイリーMSCIインド株ブル3倍ETF(INDL) | |
02836 | iS SP BSE インド(02836) | |
03015 | db x CNXニフティ(03015) |
※SBI証券が作成
インドの株式市場が注目を集める理由は、以下の2点です。
【買い材料1】高額紙幣廃止に伴う経済の混乱が収束しつつある
【買い材料2】モディ首相の与党インド人民党(BJP)が地方選挙で勝利して政権基盤の強化が窺がえる
昨年11/8に発表された高額紙幣廃止は以下の2点が目的で、前向きに評価できるものです。
(1)紙幣の交換を強制することでブラックマネーをあぶり出し、汚職、脱税、不正蓄財などインド経済発展の足かせとなっている問題にメスを入れる
(2)銀行口座を持たない多くの国民に口座開設を促し、現金経済からの脱却によって経済の効率化を進める
ただ、発表から4時間後に使えなくするというドラスチックなやり方に衝撃が走って、経済の混乱が長引く可能性、モディ首相に対する支持が落ちてしまう可能性が懸念されました。
しかし、16年10-12月期のGDPは前年同期比7.0%増と予想外に堅調となり、2〜3月に行われた5州の地方選のうち、2州でBJPが議席の8割を獲得、他の2州でも連立で与党を確保して、上記のようにその懸念が払しょくされてきました。改めてインドの経済改革への期待が高まって、海外機関投資家の資金が流入しています(図表2)。
さらに足もとでは、以下の政策の関連4法案が3月29日に議会を通過して7月1日の導入に向けて進んでいることから、経済取引の効率化、税務処理負担の軽減による企業業績への恩恵が期待されています。
【買い材料3】全国一律の物品サービス税(GST)導入による経済の効率化
2014年5月に首相に就任した当初、モディ氏の経済改革への期待が高まりましたが、様々な障害で改革は実際にはなかなか進みませんでした。しかし、高額紙幣の即時廃止というある意味リスキーな政策を実行しても国民の支持が維持されたことで、モディ首相に対する市場の信頼感が高まっていると見られます。
インドの17年GDP成長率は前年比7.0%増の高水準が予想され、SENSEX指数採用企業のEPSは17年に27%増、18年に18%増が見込まれています(Bloombergコンセンサス)。SENSEX指数の予想PERは今期基準で17.5倍、来期基準で14.8倍です。相場はまだ序の口である可能性が高そうです(図表3)。
尚、図表1にご紹介したインド株関連のETFは、それぞれ以下の指数への連動を目指します。
○ウィズダムツリー インド アーニングスF(EPI)・・・ウィズダムツリー社が算出する、企業業績に基づいて銘柄の組入れ比率をウェイト付けした「ウィズダムツリー インド・アーニングス・インデックス」。
○ヴァンエック ベクトル インド小型株 ETF(SCIF)・・・インドの小型株が組入れられた「Market Vectors India Small-Cap Index」。
○DirexionデイリーMSCIインド株ブル3倍ETF(INDL)・・・「MSCIインド株指数」の300%のパフォーマンスへの連動を目指す。
○iS SP BSE インド(02836)・・・インドの「SENSEX指数」。
○db x CNXニフティ(03015)・・・インドの代表的な上場企業50社を組入れた「CNX Nifty指数」。
図表2 海外投資家が売り越しから買い越しに転じる
注:インド株式に対する海外投資家のネット売買動向です。
※BloombergデータをもとにSBI証券が作成
図表3 インド株は高値更新、通貨も上昇基調
※BloombergデータをもとにSBI証券が作成