このレポートは(日本株には既に投資しているけれど、外国株式は未だ買ったことが無い)という方のために書きます。
なぜ日本株だけでは不十分か?
日本の株式市場は規模も大きく、活発に取引されており、世界の他市場と比べても遜色はありません。
でも日本株だけで投資がすべて事足りるか?といえば、残念ながら、それは十分ではないと思います。
まず世界で自由に売買できる株式のうち、日本株が占める割合は約8%に過ぎません。
MSCIオール・カントリー・ワールド指数(%、MSCI)
世界で最も大きな株式市場は米国で、世界の約半分を占めています。つまりこれから外国株式に投資を始めるなら、まずアメリカあたりから着手するのが自然なのです。
みんなが知っている銘柄が米国には沢山ある
アメリカには皆さんも日頃から慣れ親しんでいる、アップル(ティッカーシンボル:AAPL)のような優良株が存在します。
アップルの株価
(ドル、引け値ベース、コンテクスチュアル・インベストメンツ作成)
ちょっと脱線しますが、米国株では銘柄コードの代わりにティッカーシンボルという文字を使います。四ケタの数字に慣れている身からすると、すこし戸惑うかもしれませんが、すぐに慣れます。
この他、スターバックス(ティッカーシンボル:SBUX)、フェイスブック(ティッカーシンボル:FB)、ウォルト・ディズニー(ティッカーシンボル:DIS)、アマゾン・ドットコム(ティッカーシンボル:AMZN)など、お馴染みの銘柄が沢山上場されています。
米国には少子高齢化の問題は無い
アメリカは日本が直面しているような、少子高齢化の問題がありません。下は今から10年後、2025年のアメリカの年齢別人口構成です。
2025年の米国の年齢別人口 (人、US Census Bureau)
上のグラフ中、15歳から64歳までは「生産年齢」といい、働ける人を指します。アメリカの人口全体に占める生産年齢人口は63%です。一方、65歳以上は19.0%を占めています。いま最初の数字を二番目の数字で割ると3.32になります。これは65歳以上の老人1人を、生産年齢の3.32人で支える計算になります。
あとアメリカの場合0歳〜19歳までの人口が多いことも目を引きます。
一方、日本のグラフは下のようになっています。
2025年の日本の年齢別人口(人、US Census Bureau)
2025年の時点での生産年齢は全体の57.6%を占めます。そして65歳以上の人口は30.8%を占めます。すると65歳以上の老人1人を生産年齢の1.87人で支える計算になるのです。
これは若者世代の税金の負担が大きくなることを示唆していますし、現在の公的扶助の水準を、将来日本政府は維持できないかもしれないことも予想されます。その場合、シニア層は金融資産を取り崩すことで生活水準を維持すると思われます。これは日本株の売り圧力になるかも知れません。
また偏った人口構成は社会の活力を殺ぎ、成長を阻害する可能性があります。すでに慢性的な低成長の傾向はGDP成長率にも現れています。
過去20年の実質GDP成長率(%、IMF)
過去20年間の日本の年間平均成長率が0.85%であったのに対し、米国のそれは2.47%でした。
視野を広げると、ワンランク上の投資家になれる
それからこれは皆さん余り気が付かない点かも知れませんが、世界の株式市場や為替市場は米国の動向、とりわけアメリカの中央銀行である連邦準備制度理事会(FRB)の金利政策に大きく影響されます。
とりわけ日本株はドル/円の動きに敏感です。
そのことは日頃から米国株への投資を通じてFRBの動向を観察していれば、それが日本株投資の際にも役に立つことを意味します。
つまりちょっと米国に視野を広げるだけで、マーケットを突き動かしている要因が何か?という事に対する理解が深まり、結果として今迄よりずっと良い投資家になれるのです。