米国株は絶好調だが
このところ米国株は絶好調です。先週はダウ工業株価平均指数、S&P500指数、ナスダック総合指数の主要三指数が揃って新高値を取りました。
しかし秋にかけてマーケットが調整する局面があると思うので、ここから先は用心した方が良いでしょう。
利喰えるものは利喰い、キャッシュ比率を高め、10月頃に再び買い出動できる準備をしておいてください。
米国経済の概観
米国経済の状況は全体として良好です。
米国のGDP(%、前期比、季節調整後、年率、セントルイスFRBのデータをもとにコンテクスチュアル・インベストメンツが作成)
7月の非農業部門雇用者数は+25.5万人と予想を上回りました。
非農業部門雇用者数(千人、米国労働省統計局のデータをもとにコンテクスチュアル・インベストメンツが作成)
7月の平均時給も+8¢と強かったです。これは前年比に直すと+2.6%です。
アメリカの中央銀行である米国連邦準備制度理事会(FRB)は、とりわけ平均時給の動きに注意を払うことが知られています。なぜなら賃金は、一度上がりはじめるとクセになるからです。
言い直せば、FRBはそろそろ利上げを考えなくてはいけない局面にさしかかっているということです。
金利政策
アメリカの政策金利はフェデラルファンズ・レートと呼ばれるもので、現在は0.50%です。リーマンショックのあった2008年以降、異常に低い政策金利が維持されてきたことが下のチャートからわかります。
フェデラルファンズ・レート(%、セントルイスFRBのデータをもとにコンテクスチュアル・インベストメンツが作成)
8月25日~27日までの間、ワイオミング州ジャクソンホールでFRBのシンポジウムが開催されます。そこで今後の金利政策に対し新しい方針が出るか注目したいです。
市場参加者は、「年内の利上げ可能性は1回」と織り込んでいます。「12月に利上げされる」という線が最有力です。
前回、FRBが利上げをしたのは2015年の12月でしたが、それに際しては、半年前の夏から「利上げします」という意向を市場に伝えることが始まりました。
今回も12月に利上げするのなら、そろそろその意向をシグナルする必要があるのです。
株式のバリュエーション
S&P500指数は現在、過去12ヵ月の利益に基づいた株価収益率に基づき18.5倍で取引されています。過去10年間の平均は16倍ですので、割安感はありません。
現在は市中金利がとても低く、運用難なので、株式が少し買われ過ぎになっても仕方ないでしょう。
ただ現在の高いバリュエーション(株価評価)は、あくまでも利上げが無いということを前提にしています。
したがって今後利上げのシグナルがFRBから発せられはじめると、マーケットはギクシャクした動きになることが予想されます。