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新興国、資源株に注目!

新興国、資源株に注目!

2017/09/01

私は「新興国株式や資源株は、もっと注目されていい」と考えています。

1 テーマの賞味期間は5年!

その理由なのですが、まず「相場のテーマは、大体、賞味期間が5年くらいしかない」という経験則によります。
いま米国や日本の個人投資家に最も人気がある投資対象といえば、「FANG」に代表されるネット株でしょう。
FANGとは、FacebookAmazonNetflixGoogle(=アルファベット)の頭文字を取ったものです。
大体、こういう略称が投資家にあまねく知れ渡ると、相場は終わりに近いです。
今回のネット株のブームの起点をどこに求めるか? という問題は、人によっていろいろ意見があると思います。
私は、2012年のFacebookの新規株式公開(IPO)が重要なキッカケになったと思います。この大型IPOが来るということがわかっていたので、ネット株の相場はそれより少し先から始まりました。
いまは2017年ですから、ネット株相場は、かれこれ5年以上続いているのです。

2 過去に注目された主なテーマは?

日本株のバブル(1985年~1999年)

さて、歴史をひも解くと、日本株バブルは1985年の「プラザ合意」にさかのぼることが出来ると思います。
当時はアメリカの貿易赤字が雪だるま式に大きくなっていて、「このままではドルに不安が出る」という危機感がありました。そこでゆっくり、しかし着実にドル安を演出し、アメリカの輸出競争力を取り戻す合意が取り交わされたのです。
日本の立場からすれば、それは円高を呑むことに強制的に合意させられたわけですから、日銀は景気が腰折れしてしまわないかと、ずいぶん心配しました。
そこで金利をなるべく低くおさえる政策に出たのです。
ドル安、金利安、そして原油安の状況は「トリプル・メリット」と称され、これが相場のテーマになりました。
日本株のバブルは、そのような環境の中で醸成されていったのです。
しかし1990年になると、相場は反落しました。この間、大体、5年だったのです。

ドットコム・バブル(1995年~2000年)

アメリカでは1995年にインターネットのブラウザーの会社、ネットスケープがIPOされました。ブラウザーは、テクノロジーに詳しくない一般の市民でも簡単にインターネットを楽しめるキッカケを作った技術です。
これを契機にアメリカではネット関連企業のIPOが続々と登場し、いわゆるドットコム・バブルが起こります。
そのドットコム・バブルは2000年に突然、終焉しました。つまりここでもテーマは5年間しか持たなかったのです。

住宅ブーム(2002年~2007年)

9/11同時多発テロ事件が起きたのは2001年です。連邦準備制度理事会(FRB)はアメリカが大不況に陥らないように、超低金利政策を敷きます。折から実業界はドットコム・バブルが弾けた直後だったので、企業収益に関しては多くを望めない状況でした。
そこで投資資金は住宅へと向かったのです。
この環境の中で住宅抵当証券の市場ではいろいろなイノベーションを生かし、これまでにないアグレッシブさで資金調達が行われました。そしてそれが信用力の劣る借り手でも、ホイホイとおカネを借りて、マイホームが持てるような状況を生んだのです。この「借りなきゃ、損!」という風潮が、いわゆるサブプライム・バブルです。
このサブプライム・バブルは2007年頃から変調をきたし、翌年には経営の行き詰ったベア・スターンズがJPモルガン・チェースに救済され、2008年9月のリーマン・ブラザーズの倒産へとつながったのです。これがリーマン・ショックです。

BRICsブーム(2003年~2011年)

さて、アメリカでサブプライム・バブルが起きている頃、海外では新興国の成長性が注目を浴びました。ゴールドマン・サックスが、ブラジル、ロシア、インド、中国の頭文字を取ってBRICsと名付け、これらの国の株式がブームになりました。
BRICsブームは北京オリンピックのあった2008年に一旦、区切りを迎えます。つまりここでもブームの賞味期間は5年だったのです。
しかしリーマン・ショックが起きた後、中国政府は超大型の財政出動を発表し、中国経済の救済に走りました。その関係で、新興国は再び息を吹き返し、インフラストラクチャ・ブームは2011年まで続きます。これは深刻な過剰設備と債務をこしらえる原因となり、禍根を残しました。

3 なぜ新興国、資源株に注目するのか?

さて、その後、新興国や資源株は5年間の下げ相場を経験しました。いまではBRICsという言葉は死語になっていますし、資源株に注目する投資家もきわめて少ないです。
しかしこれらの市場は、実は2016年に大底をつけており、今年は新しい上昇トレンドの1年目です。
もしFANGのブームが終わるのであれば、現在、そこに集中している世界の投資資金は、新しい投資先を求め始めると思われます。

一般にアメリカの投資家はドル安局面では海外投資、とりわけ新興国に注目することで知られています。
現在はドル安なので新興国は注目されやすい局面と言えるでしょう。

つぎにコモディティ価格ですが、中国の政府系企業の過剰設備の問題が、ゆっくりと解消に向かっているのも心強いです。これを反映して最近は銅や鉄鉱石などの工業コモディティの価格がしっかりしています。

さて、このようなトレンドで恩恵をこうむる投資対象としてまず挙げられるのが、新興国のETFだと思います。ざっと思いつくところを挙げると、iシェアーズMSCIブラジル・キャップトETF(ティッカーシンボル:EWZ)iシェアーズMSCI南アフリカETF(ティッカーシンボル:EZA)ヴァンエック・ベクトル・ロシアETF(ティッカーシンボル:RSX)ヴァンエック・ベクトル中国AMC A株ETF(ティッカーシンボル:PEK)などがあります。

また個別の資源株も良いと思います。具体的にはリオ・ティント(ティッカーシンボル:RIO)ベダンタ(ティッカーシンボル:VEDL)ヴァーレ(ティッカーシンボル:VALE)メケル(ティッカーシンボル:MTL)などです。これらはいずれも米国に上場されています。

もちろん現地株を買う方法もあります。たとえばロシアではノリリスク・ニッケル(MICEXコード:GMKN)カマズ(MICEXコード:KMAZ)セヴェルスタリ鉄鋼(MICEXコード:CHMF)マグニトゴルスク鉄鋼(MICEXコード:MAGN)などがあります。

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著者

広瀬 隆雄(ひろせたかお)

コンテクスチュアル・インベストメンツLLC マネージング・ディレクター

グローバル投資に精通している米国の投資顧問会社コンテクスチュアル・インベストメンツLLCでマネージング・ディレクターとして活躍中。
1982年 慶応大学法学部政治学科卒業。 三洋証券、SGウォーバーグ証券(現UBS証券)を経て、2003年からハンブレクト&クィスト証券(現JPモルガン証券)に在籍。

広瀬 隆雄

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