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「皆が欲張りなときは恐れ、皆が恐れているときは欲張りになれ!」

「皆が欲張りなときは恐れ、皆が恐れているときは欲張りになれ!」

2018/02/08

今回は、昨今の米国株式市場において投資家は、何に着眼し、行動していくべきかか述べていきたいと思います。

1 市場急落で投資家は不安に

ニューヨーク株式市場は年初から快調に飛ばしてきたのですが、長期金利の上昇を嫌気して1月29日の週から調整が始まり、2月5日にはダウ工業株価平均指数が一時−1,500ポイントの下げを見せるなど神経質な展開になっています。高値からの調整幅は瞬間−10%となり、ウォール街の定義で「調整局面」が成立しました。

投資家の不安の尺度であるVIX指数は久しぶりに急騰し、投資家の恐れを反映しています。

ウォーレン・バフェットは「皆が欲張りなときは恐れ、皆が恐れている時は欲張りになれ!」と喝破しています。さしずめ今は欲張りになるべき局面なのかもしれません。

2 米国株式のバリュエーション

S&P500指数の2018年のコンセンサス一株当たり利益(EPS)予想は現在155.7ドルです。すると現在の株価収益率は16.9倍ということになります。これは過去10年間の平均である14.2倍よりは割高ですが、最近の高値18.2倍からはザックリと下がりました。つまり米国株式市場の割高感はおおむね払拭されたと言えるのです。

2 何を買う?

株式投資で難しいのは、折角、我々の眼前にチャンスが到来しても、日頃から準備をしていなければ「何を買っていいのかわからない」ケースが多い点です。

このようなチャンスをモノにするために、個々の企業の決算発表を丹念に追いかけ、きちんと良い決算を出している企業をマークしておく必要があります。

いま、2017年第4四半期の決算発表シーズンであり、過半数の企業が決算発表を終えています。そこで今日は今回の決算発表シーズンで、特に印象に残った、素晴らしい決算を出した企業を紹介します。

■アマゾン
アマゾン(ティッカーシンボル:AMZN)の決算はEPSが予想$1.83に対し$2.19、売上高が予想598.5億ドルに対し604.5億ドルでした。売上高成長率は前年同期比+38%でした。これほど大きな会社なのに、売上高成長率はむしろ加速している印象です。地域別では北米売上高が+42%、海外売上高が+29%、アマゾン・ウェブ・サービス部門売上高が+45%でした。また営業利益は去年同期に比べて+69%でした。同社は買収したホールフーズを統合中です。また第二本社の所在地の選定に入っています。

■フェイスブック
フェイスブック(ティカーシンボル:FB)の決算はEPSが予想$1.97に対し$2.21、売上高は予想125.5億ドルに対し129.7億ドル、売上高成長率は前年同期比+47.3%でした。フェイスブックの場合もこれだけ売上規模が大きくなっているにもかかわらず、極めて高い成長率を示しています。デイリー・アクティブ・ユーザー数は前年同期比+14%の14億人、マンスリー・アクティブ・ユーザー数も+14%の21.3億人でした。同社は家族、親せき、友達のフェイスブック・アップデートを優先し、ニュースなどのユーザーに直接関係の薄いコンテンスを少し抑えることでユーザーの活性化を図る方針を打ち出しています。その関係で今後の売上高成長率に関しては少しアナリストの間から不安の声が出ています。しかし同社の場合、市場の期待をわざと抑え、実際の決算では予想を上回る数字を出すのが通例となっているので心配には及ばないと思います。

■ボーイング
ボーイング(ティッカーシンボル:BA)の決算はEPSが予想$2.88に対し$3.04、売上高が予想247.8億ドルに対し253.7億ドル、売上高成長率は前年同期比+8.9%でした。受注残は期初の4740億ドルから期末は4880億ドルへ増えています。2017年の旅客機納入実績は763機でしたが、2018年は810から815機の納入を予定しています。旅客機市場は買い替えサイクルの真只中ですし、航空会社は各社とも今業績が良いので、同社の好況はしばらく続くと予想されます。

■キャタピラー
キャタピラー(ティッカーシンボル:CAT)の決算は予想$1.78に対し$2.16、売上高は予想120.1億ドルに対し129億ドル、売上高成長率は前年同期比+34.7%でした。すべての地域、全ての製品分野で引き合いが好調でした。地域別では北米売上高が+46%、欧州中東が+38%、アジアが+22%、南米が+39%でした。特に建設機械の引き合いが好調でした。

■ダウデュポン
ダウデュポン(ティッカーシンボル:DWDP)の決算はEPSが予想67¢に対し83¢、売上高が予想194.6億ドルに対し200.7億ドル、売上高成長率は前年同期比+54.1%でした。なお売上高がものすごく伸びている理由はダウ・ケミカルとデュポンが合併した関係です。去年の両社の売上高合計との比較では+13.4%成長でした。すべての部門ならびに地域で売上高が増加しました。特に工業向け中間品(+27%)、パッケージング・特殊プラスチック(+17%)などが好調でした。地域別では欧州中東アフリカが+25%、北米が+10%でした。
ダウとデュポンの合併によるコスト削減総額は30~33億ドルを見込んでいます。また同社は合併後の三分社化のスケジュールを前倒しにすると発表しています。具体的には、まずマテリアル・サイエンス部門を2019年第1四半期に分離します。そして農業部門、スペシャルティ・プロダクツ部門を2019年6月1日までに分離します。

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著者

広瀬 隆雄(ひろせたかお)

コンテクスチュアル・インベストメンツLLC マネージング・ディレクター

グローバル投資に精通している米国の投資顧問会社コンテクスチュアル・インベストメンツLLCでマネージング・ディレクターとして活躍中。
1982年 慶応大学法学部政治学科卒業。 三洋証券、SGウォーバーグ証券(現UBS証券)を経て、2003年からハンブレクト&クィスト証券(現JPモルガン証券)に在籍。

広瀬 隆雄

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