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2019年の投資戦略
2019年の投資戦略
2018/12/27
今日は2019年の投資戦略について書きます。
米国株式市場が弱気相場入り
これを書いているのは2018年12月24日のクリスマスイヴです。今日のニューヨーク株式市場の立会で米国を代表する株価指数であるS&P500指数は10月の高値から−20%以上の下落になりました。
アメリカでは弱気相場(Bear Market)は「高値から−20%下げること」と定義されています。つまりクリスマスイヴの立会を持って米国の株式市場は弱気相場入りしたのです。
弱気相場の記録
1957年にS&P500指数がデビューして以来、過去にS&P500指数が高値から−20%以上さげたケース、言い直せば弱気相場になったケースは11回ありました。
弱気相場における平均下落率は−33.34%でした。そして弱気相場は平均して12.2ヵ月続きました。
おなじ期間、アメリカでは9回の景気後退(リセッション)がありました。このうち景気後退の直前に弱気相場が起こり、結果として株式市場がリセッションの早期警戒シグナルを発した例は7回でした。
つまり弱気相場は景気後退のシグナルとしてかなり信頼性が高いのです。
<過去の弱気相場からの教訓>
過去の弱気相場の平均下落率は−33.34%です。現在、S&P500指数は高値から−20%をわずかに超えたばかりなので未だ下値を覚悟したほうがいいでしょう。これが教訓の第一点です。
次に弱気相場は平均して12.2ヵ月続きました。今回の弱気相場の起点を10月3日とすれば未だ3ヵ月しか経っていません。したがってグズグズした相場がとうぶんの間続くと覚悟した方がいいでしょう。これが教訓の第二点です。
さらに弱気相場のリセッション早期警戒シグナルとしての信頼性はかなり高いので、2019年にはかなりの確率でアメリカは景気後退が訪れると覚悟した方がいいでしょう。これが教訓の第三点です。
運用方針はどうあるべきか?
さて、本題の「2019年の運用方針はどうあるべきか?」ですが、上のようなことから考えて、2019年は「守り」に徹した運用を心がけた方が良いと思います。
具体的にはポートフォリオの中に占めるキャッシュ比率を普段よりも多目にすることが必須です。
次に景気後退に強いセクターを中心に組み入れることが重要です。これは歯磨き粉やソーダ水のように不景気でも消費量が殆ど変らない商品分野を指し、「ディフェンシブ銘柄」と呼ばれることもあります。
逆に避けるべきセクターは工業、ハイテク、消費循環、金融、住宅関連などです。
なお下値リスクは2019年前半のほうが後半より大きいと思います。したがって年初は特に慎重な運用を心がけてください。
弱気相場では時々「強気のわな(Bull trap)」と呼ばれる「相場が底打ちした!」と感じさせる局面が現れます。その殆どは、いわゆる「ダマシ」であり、慌てて飛びついた後にまた下げ、それを繰り返すことで投資家はだんだん体力を消耗してしまうのです。
だから「投資資本の温存」を常に念頭に置いて無謀なトレードは避けてください。
著者
広瀬 隆雄(ひろせたかお)
コンテクスチュアル・インベストメンツLLC マネージング・ディレクター
グローバル投資に精通している米国の投資顧問会社コンテクスチュアル・インベストメンツLLCでマネージング・ディレクターとして活躍中。
1982年 慶応大学法学部政治学科卒業。 三洋証券、SGウォーバーグ証券(現UBS証券)を経て、2003年からハンブレクト&クィスト証券(現JPモルガン証券)に在籍。