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長短金利差「0」でマーケットや経済はどうなる?

長短金利差「0」でマーケットや経済はどうなる?

2019/3/26

先週、米国の10年債利回りから三ヵ月物Tビル利回りを引き算した差が「0」以下になりました。普通、このように長短金利差が「0」以下になったときはリセッション(景気後退)の前兆だと言われます。
そこで今日はこの問題について解説します。

広瀬の着眼点

1利回りについて

一般に債券にはクーポンがあり、金利が付いています。つまり投資家から資金を預かる代わりに利子を払うわけです。通常なら償還期限が短い債券ほど利回りは低く、償還期限が長い債券ほど利回りが高いです。

しかし投資家が長期に渡ってインフレは低いと判断し、さらに(今のうちに安心な長期債を買うことで利回りを確保しておこう)と考えた場合、長期債の人気が高まりそれが高値まで買い進まれ、その結果として利回りが低下するという現象が起こる場合があります。

現在がまさしくそのような状態です。

みなさんに理解して頂きたいことは「債券価格が上昇すればするほど債券利回りは低下する」ということです。

2現在の状況

余りに長期債にばかり投資家の買いが集中したことで、長期債の利回りと短期債の利回りは全く同一になってしまいました。

下は米国の10年債利回りから三ヵ月物Tビル利回りを引き算した差のチャートです。

3月22日に10年債利回り−三ヵ月物Tビル利回りが−0.013になりました。

<過去の経験則>
そこで過去にこれがマイナスになった例を見ると、

という感じでした。なお1998年は一瞬金利差がマイナスになった後で持ち直し、再び2000年7月にマイナスに転じています。

従って1998年9月を基準に考えると株式のピークは23か月後、景気後退入りは30か月後ということになりますが、2000年7月を基準に考えると株式のピークは1か月後、景気後退入りは8か月後でした。

2見極めが必要

いずれにせよ今は10年債利回り−三ヵ月物Tビル利回りがしっかりマイナス圏にとどまり続けるかどうかを見届ける必要があるように思います。また1998年のように「瞬間風速」でマイナスになったけど、すぐプラスに戻る可能性もあるからです。

<株は「即、売り!」とは限らない>
もうひとつの考察として金利差がマイナスになったからといって、すぐ「株は売り!」にはなってないという点に注目したいと思います。言い換えればかなり長いリードタイムがあるということです。

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著者

広瀬 隆雄(ひろせたかお)

コンテクスチュアル・インベストメンツLLC マネージング・ディレクター

グローバル投資に精通している米国の投資顧問会社コンテクスチュアル・インベストメンツLLCでマネージング・ディレクターとして活躍中。
1982年 慶応大学法学部政治学科卒業。 三洋証券、SGウォーバーグ証券(現UBS証券)を経て、2003年からハンブレクト&クィスト証券(現JPモルガン証券)に在籍。

広瀬 隆雄

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