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いますぐ投資を始めた方が良い理由
いますぐ投資を始めた方が良い理由
2019/5/28
よく「投資はなるべく若いうちから始めた方が良い」ということが言われます。
でも初心者ほど(いま投資して大丈夫だろうか?)と不安が先に立ちます。
たとえば今なら米中貿易戦争が新聞を賑わしていますし、アメリカの場合、10年以上も景気拡大が続いてきたので(いつ次の景気後退が来てもおかしくない)と不安に感じてしまうからです。
それらは正当な懸念であり、私はそれらの不安材料を軽視しているわけでは決してありません。
しかしいつかは意を決して投資を開始しなければいけないし、もしそうするのなら、早いほうが良いです。
その理由は「複利」という原理が働くからです。
複利とは?
複利とは、あなたが投資した元手(元本)だけでなく、投資して得た利子に関しても、2年目からは利子が付くという現象を指します。
そういう言い方でわからなければ、「利子が利子を呼ぶ」と覚えてください。
仮に100万円の投資に対し5%の利子が付くならば1年後は105万円になります。
2年目はこの105万円からスタートするわけですから1年目と同じく5%の利子がつけば110.25万円になります。
じわじわ元手が大きくなっているのが実感できますか?
<積み立て>
この複利のパワーに毎年キッチリ積み立てる習慣を掛け合わせると、とてもパワフルな投資成果が得られます。具体的にはiDeCo(イデコ)などの制度を利用する手があります。
いま仮に50万円を向こう30年に渡って積み立てるケースを考えてみましょう。アメリカの代表的株価指数であるS&P500指数は過去50年(1968年1月1日から2018年12月31日まで)年平均成長率で9.83%を記録しました。これはキャピタルゲインに配当のインカムゲインを加味した数字です。
するといま皆さんがとりあえず50万円、今年積み立てるとして、来年以降も毎年50万円、その口座におカネを追加してゆくとします。投資対象はS&P500指数です。これを向こう30年間に渡って続ければ30年後、あなたの積み立てたおカネは9580万円になっている計算となります。もう少しで「億り人」ですよね?
これが「複利+積み立て」のパワーなのです。
しかしあなたが積み立てをすぐ始めることをこまねいて、10年後にそれを始めたとします。すると20年間しか積み立てませんので、投資結果は3411万円にしかなりません。
さらに短く、10年だけ積み立てたとすればたったの996万円です。
このようになるべく長く継続して積み立てるということは決定的に重要なことなのです。
若い人ほどグロースを重視せよ
もうひとつ重要なことは「グロース(成長)を重視した投資をする」ということです。
我々は「安全第一」ということを直ぐ考えます。
たしかに投資元本の安全ということは重要です。しかし安全を強調する余り、リターンが不十分な投資対象を選んでしまうとテキパキ資産を増やすことが出来なくなってしまいます。
たとえば上の例でS&P500指数(9.83%)の代わりに毎年のリターンを米国の短期債のリターンに近い2%と仮定すれば30年かけて積み立てても投資結果は2160万円にしかなりません。
折角、早く積み立てるという大変良い習慣を若いときから実行に移しても、投資対象が保守的過ぎたら、満足な結果を得られないのです!
まとめ
ここまでの話をまとめます。「複利」の原理と「積み立て」の習慣を掛け合わせたとき、その成果はとてもパワフルなものになります。「億り人」も夢ではありません。
しかし、なるべく早く投資を始めなければ、投資期間が短くなってしまい、投資成果も小さくなります。
投資先の商品を選ぶ際、若い人ほど株価指数に連動するファンドのような、グロース志向の投資対象を選ぶべきです。
なぜなら元本の安全にこだわるあまりリターンの低い投資対象を選んでしまうと、すぐ横に急行列車が停まっているのに、わざわざ鈍行列車を選ぶようなことになってしまうからです。
著者
広瀬 隆雄(ひろせたかお)
コンテクスチュアル・インベストメンツLLC マネージング・ディレクター
グローバル投資に精通している米国の投資顧問会社コンテクスチュアル・インベストメンツLLCでマネージング・ディレクターとして活躍中。
1982年 慶応大学法学部政治学科卒業。 三洋証券、SGウォーバーグ証券(現UBS証券)を経て、2003年からハンブレクト&クィスト証券(現JPモルガン証券)に在籍。