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今月末の連邦公開市場委員会でいよいよ利下げ局面が始まる
今月末の連邦公開市場委員会でいよいよ利下げ局面が始まる
2019/7/29
7月30・31日の両日に渡りワシントンDCで米国の政策金利を討議する連邦公開市場委員会(FOMC)が開催されます。
本日は米国のマーケット環境について3つの着眼点からご説明いたします。
FOMCの予想
7月30・31日の両日に渡りワシントンDCで米国の政策金利を討議する連邦公開市場委員会(FOMC)が開催されます。
米国の政策金利はフェデラルファンズ・レート(略してFFレート)です。現行のFFレートは2.5%です。
今回のミーティングでは0.25%の利下げによりFFレートが2.25%になると市場参加者の多くが予想しています。
FFレートには先物があり、それはデリバティブ取引所CMEに上場されています。その取引価格から逆算し、市場関係者がどのくらいの確率で利下げを織り込んでいるのかを計算する方法があります。下のチャートがそれです。
これを見ると直近(2019年7月25日)では78.6%の確率でFFレートが2.25%になることが織り込まれていることがわかります。
これはかなり強いコンセンサスだと言えるでしょう。
「予防は治療に勝る」
このように市場参加者の多くが0.25%の利下げを予想している最大の理由は、前回のFOMCでジェローム・パウエル議長が「予防は治療に勝る」と語り、経済が悪くなる前に機先を制するカタチで利下げに踏み切ることをほのめかしたからです。
この場合、予防の意味を込めた利下げなのだから、利下げ幅は0.25%でじゅうぶんだという考えが投資家の間にあるのです。
慌てているオーラを出さないよう気をつける必要がある
もし一気に0.50%、あるいは1.00%利下げしなければいけないようなケースでは、それはもう予防ではありません。その場合、連邦準備制度理事会(FRB)が慌てているという印象を投資家に与えてしまうリスクがあります。
従って、0.25%という小さな利下げ幅の方が0.50%より好感されると思います。
実際、過去の利下げ局面を見ると今回と同じ「予防的な利下げ」だった1995年のケースが0.25%刻みでした。そのときの株式市場のパフォーマンスは良かったです。
これに対して、それ以外の利下げ局面では「つるべ落とし」に政策金利が下がっているのが上のチャートから読み取れます。
1990年、2000年、2007年のケースでは、いずれも株式市場は急落しました。だからザックリした利下げは、かえって株式市場にとってはマイナスだということを覚えておいてください。
ソフトランディング→再加速がメインシナリオ
1995年のケースに戻ると、あのときは政策金利が6%から5.25%まで下がりました。つまり利下げ幅は極めて小さかったのです。その後、米国の経済はいわゆるソフトランディングし、再び勢いづきました。
米国経済の現状を見ると、景気にはそれほどかげりは見えていません。中国や欧州はスローダウンが著しいけれど、それはアメリカには未だ波及していないのです。
したがって今予防的な利下げを行えば、景気は短い調整の後、再び勢いを取り戻す可能性が高いと思います。
著者
広瀬 隆雄(ひろせたかお)
コンテクスチュアル・インベストメンツLLC マネージング・ディレクター
グローバル投資に精通している米国の投資顧問会社コンテクスチュアル・インベストメンツLLCでマネージング・ディレクターとして活躍中。
1982年 慶応大学法学部政治学科卒業。 三洋証券、SGウォーバーグ証券(現UBS証券)を経て、2003年からハンブレクト&クィスト証券(現JPモルガン証券)に在籍。