マーケット > レポート > 広瀬の外国株式・海外ETFデビュー講座 > FOMCの結果と今後の政策金利の予想
FOMCの結果と今後の政策金利の予想
FOMCの結果と今後の政策金利の予想
2019/12/13
12月11日(水)、今年最後の連邦公開市場委員会(FOMC)が閉幕しました。そこで今日はFOMCの結果と今後の政策金利の予想について書きます。
FOMC
まずFOMCですが現行の政策金利1.75%が維持されました。米国経済の現況に関しては、とても満足していることがシグナルされました。
連邦準備制度理事会は7・9・10月の3回のFOMCでそれぞれ0.25%利下げし、前回のFOMCの際に「利下げは打ち止めにする」というシグナルを出しました。それが出たばかりなので今回は大方の市場参加者が政策金利は現行のままで維持されるだろうと予想していました。そしてFOMCの結果もそれに一致するものでした。
声明文の中からは「経済の先行きに関する不確実性が残っている」という文言だけが削除されました。
FRBは量的引締め政策を続けていたのですが、これは7月に利下げの方針を打ち出した時に量的引締め政策をストップすることが発表され、現在、FRBのバランスシートは4兆ドルの規模を維持しています。
9月に起きた短期市場における金融ひっ迫感を是正するため、FRBは10月に600億ドル相当の短期トレジャリー・ビルを購入しました。なおこれはFRBの金融政策がきちんと米国の政策金利であるフェデラルファンズ・レートに反映されることを保証するための措置であり、新たな量的緩和政策(QE)ではありませんし、600億ドル相当の短期トレジャリー・ビルの購入はマクロ経済に対して与える影響はゼロだとFRBでは考えています。
1995年との類似点、相違点
さて、今回の記者会見でもパウエル議長は再び1995年の金利政策と現在の手綱さばきが似ている点に言及しました。
しかしこれまでのFOMC記者会見と今回の相違点として「なるほど現在の政策金利の手綱さばきは95年と似ている。しかし政策金利を現行のままで維持する期間は、ひょっとすると今回の方が長いかもしれない」と語り、95年、98年のケースでは結局、その後、利上げしたのと違うシナリオになるかもしれない可能性を示唆しました。
このコメントを市場参加者は好感しています。
今回のほうが政策金利を現行のまま据え置く期間が長くなるかもしれない理由として「今回は構造的に低インフレがガッチリと定着してしまっている。だから今回の方が利上げの緊急性は低い」ことが挙げられました。
ちなみに95年は株式を買うタイミングとしては絶好でした。
まとめ
今年最後のFOMCはノー・サプライズでした。政策金利は現行の1.75%のままでとうぶん据え置かれるということが繰り返し説明されました。これは株式市場にとってプラスだと思います。1995年との類似性に関してですが、1995年は株式を買うのに絶好のタイミングでした。
今回もそうなるかもしれません。
著者
広瀬 隆雄(ひろせたかお)
コンテクスチュアル・インベストメンツLLC マネージング・ディレクター
グローバル投資に精通している米国の投資顧問会社コンテクスチュアル・インベストメンツLLCでマネージング・ディレクターとして活躍中。
1982年 慶応大学法学部政治学科卒業。 三洋証券、SGウォーバーグ証券(現UBS証券)を経て、2003年からハンブレクト&クィスト証券(現JPモルガン証券)に在籍。