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大統領選挙まであと三ヵ月 過去の経験則を整理

大統領選挙まであと三ヵ月
過去の経験則を整理

2020/7/28

1大統領選挙まであと三ヵ月

今年の大統領選挙の本投票は11月3日です。すると8月3日が「残り90日」のカウントダウンが始まる日ということになります。

最後の90日の相場と大統領選挙

過去の経験則では大統領選挙までの最後の90日の期間でS&P500が下落すると現職大統領が敗北し、上昇すると現職大統領が勝つと言われています。

このことは1944年以降の大統領選挙の年のS&P500のパフォーマンスを示したチャートでも確認できます。現職大統領が敗北するシナリオ(灰色)では、8月に相場が天井を付け、10月まで下落していることがわかります。

もちろん今年がどうなるか? は未だわかりません。しかし形勢としてはトランプ大統領が不利だと思います。

2不況で勝った現職大統領はいない

その理由なのですが、大統領の任期の最後の2年で米国経済が不況に陥った場合、現職大統領で再選された人は過去にいないのです。

つまり有権者は「不景気は大統領のせいだ!」と考えるわけです。

今年の場合6月9日に全米経済研究所(NBER)が「アメリカは2月からリセッションに入った」と宣言しています。

NBERは超党派・非営利の研究機関でアメリカ経済が正式にリセッション入りしたかどうかを判定する組織です。

NBERは2020年2月が景気拡大のピークだったと判定する根拠として、雇用、生産をはじめとする幅広い景気指標を利用しました。そして新型コロナウイルスで自宅待機になった労働者は実際には働いてないにもかかわらずお給料は振り込まれていた等、特殊事情も判定の際に考慮に入れました。

なおNBERがリセッションと呼ぶ場合、経済活動が数か月下落することが大前提となります。しかしリセッションと判定する際には、たんに期間だけではなく、どのくらい急激に経済活動が緊縮したか?というような要因も考慮します。今回は2月に景気がピークをつけて未だ日が浅いのですが、それでも「リセッション入りした」と判定した理由は経済活動の緊縮がとりわけ急激だったからです。

有権者投票意向調査

実際、有権者投票意向調査の結果を見てもトランプ大統領は形勢不利です。

大統領選挙の結果を予測する賭け事(ベッティング)のサイトでも民主党のバイデン候補が勝つというシナリオに賭ける人が増えています。

3マーケットは悪いニュースをいち早く織り込む

さて、投資戦略なのですがマーケットは悪いニュースをいち早く織り込む習性があります。するともし今年トランプ大統領が負けるのであれば株式市場は9月・10月頃にギクシャクすることが予想されます。

言い直せば「今年、いちばん危ない局面が来る」というわけです。

逆にもしここからトランプ大統領が人気を盛り返すことに成功し、再選されるというシナリオになればマーケットは調整せず一本調子で上昇するということが考えられます。

どちらのシナリオになるかに注目したいと思います。

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著者

広瀬 隆雄(ひろせたかお)

コンテクスチュアル・インベストメンツLLC マネージング・ディレクター

グローバル投資に精通している米国の投資顧問会社コンテクスチュアル・インベストメンツLLCでマネージング・ディレクターとして活躍中。
1982年 慶応大学法学部政治学科卒業。 三洋証券、SGウォーバーグ証券(現UBS証券)を経て、2003年からハンブレクト&クィスト証券(現JPモルガン証券)に在籍。

広瀬 隆雄

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