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米国株式市場は波乱含みの展開に
米国株式市場は波乱含みの展開に
2020/9/24
米国株式市場は波乱含みの展開に
米国株式市場が9月に入ってから崩れています。下はS&P500指数のチャートです。
米国の大統領選挙のジンクスとして「大統領選挙の直前3ヵ月のS&P500指数がマイナスだった場合、現職大統領は負ける」というのがあります。
今回は本投票日が11月3日なのでその三ヵ月前、8月3日の終値3294.61が鍵を握る数字になります。従って今後S&P500指数が大統領選挙に向けてこの水準より下に行くか? それとも上に行くか? に注目してください。
もし下に行く場合は民主党のジョー・バイデンが優勢ということになります。
有権者投票意向調査
最新の有権者投票意向調査を見るとバイデンがリードしています。
賭け事のサイト(ベッティング・サイト)における両候補の勝率は次のようになっています。
こちらもバイデンが有利となっています。
今後の株価のシナリオ
今後の株価のシナリオですが、もしバイデンが勝つのであれば9月に続き10月も株式市場が低迷する可能性が高いです。
しかし、その場合でも10月の最終週(10月26日)にはマーケットは底入れし、11月3日の選挙当日、そしてその後にかけても相場は高くなるというのが過去の経験則になっています。
新型コロナ・ワクチンについて
今年の10月相場の予測をさらに難しくしている要因として新型コロナ・ワクチンがあります。
いまワクチン開発レースの先頭を走っているワクチンは第三相臨床試験の大詰めにさしかかっており、今週いっぱいで被験者に対する第2回目の注射が終わる見込みです。
そこから新型コロナの潜伏期間である2週間を経たのち、すなわち10月12日(月)のコロンブス・デー(=債券市場のみが休場です)明けあたりから、ワクチンが予防に効いているかどうか? の判定ができるようになります。
もし明らかにワクチンが効いているのであれば米国食品医薬品局(FDA)は10月中にも緊急使用承認(EUA)を出すと思われます。
もしワクチンの効き目がいまひとつの場合、「ワクチンを打たなかった人より少なくとも50%感染リスクを軽減できること!」というのが承認の足きり基準となります。
それを見極めるためにはある程度時間をかけて、実際に何パーセントの被験者が感染したかを統計的にきちんと割り出す必要が出ます。すると11月から12月くらいまで判定が遅れる可能性もあります。
いずれにせよFDAからの「新型コロナ・ワクチン承認!」のニュースが後になればなるほど合格線スレスレの、きわどい判定になるわけですから株式市場は動揺するかもしれません。
「ワクチン全滅!」というのもじゅうぶん考えうるシナリオです。
したがって頭から(承認されるに決まっている!)と決め付けない方が良いです。
まとめ
大統領選挙は予断を許さない展開となっています。トランプ、バイデン、どちらのシナリオでも対応できるようにポートフォリオを準備しておく必要があると思います。もし目先株式市場がズルズル下がるようなら、それはトランプ敗北濃厚を示唆し、10月最終週くらいまでマーケットが軟調になることを覚悟すべきでしょう。ワクチンのニュースが飛び込んでくるのも大体、そのタイミングになると思うので、くれぐれも注意が必要です。
著者
広瀬 隆雄(ひろせたかお)
コンテクスチュアル・インベストメンツLLC マネージング・ディレクター
グローバル投資に精通している米国の投資顧問会社コンテクスチュアル・インベストメンツLLCでマネージング・ディレクターとして活躍中。
1982年 慶応大学法学部政治学科卒業。 三洋証券、SGウォーバーグ証券(現UBS証券)を経て、2003年からハンブレクト&クィスト証券(現JPモルガン証券)に在籍。