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2024-12-10 17:54:07

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2021年の投資戦略

2021年の投資戦略

2020/12/25

広瀬の着眼点

12021年の投資戦略

今回は今年最後のレポートとなりますので来年の見通しと投資戦略について書きます。

まずS&P500指数ですが2021年は1年間で+3%を見込んでいます。2月ならびに8月~10月に急落局面が来ると予想します。それ以外は堅調だと考えています。

セクター的には旅行・レジャー関連株、消費循環株は1~3月にかけて苦境に立つと思います。また2020年春に新型コロナが最初に問題化した時、スーパーマーケットのような「巣篭り/買い出し」に関連するウォルマート(ティッカーシンボル:WMT)、クローガー(ティッカーシンボル:KR)、ダラーゼネラル(ティッカーシンボル:DG)などの銘柄が買い進まれたわけですが、それらは前年比較が苦しくなると予想します。

アマゾン(ティッカーシンボル:AMZN)、ショッピファイ(ティッカーシンボル:SHOP)、エッツィー(ティッカーシンボル:ETSY)などのネット通販の銘柄は市民が外出を控えたことで大きく恩恵をこうむったのですが、今年はその反動で第2四半期以降前年比較が苦しくなることが予想されます。

為替は弱冠ドル安に振れ、2021年のどこかで1ドル=100円を試しに行く展開を予想しています。

連邦準備制度理事会は2021年を通じて1回も利上げしないと予想します。つまり現行の政策金利0〜0.25%が堅持されるという予想です。

物色の流れですが2021年前半は2020年同様、IPOが活況を呈すると考えています。ロブロックス、ストライプ、マーケタ、フリップカート、コインベース、バンブル、ロビンフッド、アファームなどの有名な企業がIPOを準備中だと報道されています。

2021年のIPOはフィンテック企業が多い点がとりわけ目を惹きます。しかもクレジットカードの周辺の技術に関し革新的なアプローチを提案する企業が多く、これまでのビザ(ティッカーシンボル:V)、マスターカード(ティッカーシンボル:MA)のデュオポリー(二社独占)が脅かされる可能性があります。

もうひとつの特徴としてビットコインに代表される暗号通貨を取り扱うコインベース、ロビンフッドなどの金融サービス企業がIPOすることを狙っている点も見逃せません。これまで一般の投資家が暗号通貨をトレードする場合、専門の仮想通貨取引所を利用するケースが多かったのですが、ロビンフッドの場合、通常のネット証券のビジネスと仮想通貨取引所のビジネスを兼業しています。既に上場されているスクエア(ティッカーシンボル:SQ)やペイパル(ティッカーシンボル:PYPL)も仮想通貨を扱い始めており、利用者の裾野を広げることに大いに寄与しています。

このように2021年のIPO予備軍は毛並みの良い企業がぎっしり詰まっており、ワクワクさせられます。

その反面、急成長株とそれ以外の株の間でのバリュエーション格差がとても大きくなっている点も見逃せません。別の言い方をすればIPO市場は過熱気味だということです。米国の株式市場は極端に割高なセクターと極端に割安なセクターにハッキリ二分されており、ほんのちょっとしたセンチメントの変化で急にグロース株の魅力が色褪せ、バリュー株へのシフトが起こらないとも限りません。

そのひとつの鍵を握るのは街角景気だと思います。いま、米国では新型コロナ第三波が襲っており怖くて街に出れないような日々が続いています。つまり景況感は再び暗転しているのです。2021年前半は、そのような鬱々とした日々が続くと覚悟した方が良いでしょう。

しかしファイザー(ティッカーシンボル:PFE)とバイオンテック(ティッカーシンボル:BNTX)が開発した新型コロナワクチン、ならびにモデルナ(ティッカーシンボル:MRNA)が開発した新型コロナワクチンが相次いで米国食品医薬品局(FDA)から緊急使用承認を獲得したことで2021年の5月くらいまでにはいよいよ一般市民にもワクチンが回ってくると思われます。そして秋口には、いわゆる集団免疫の状態が成立することも夢ではありません。

新型コロナウイルスの不安から市民が開放されたなら、人々は大挙して街に繰り出すかもしれません。折から過去1年近くに渡って消費者は借金を返済し貯金を増やすというカタチで家計の立て直しに取り組んできたせいで、消費者の懐は暖かく、2021年の秋はちょっとしたパーティー・ムードになることが予想されます。

その場合、これまで酷く痛めつけられてきた航空会社、ホテル、レジャー関連株などが見直されることが予想されます。

以上をまとめると2021年は株価指数的には上昇幅に不満の残る年になるかも知れないけれど、前半と後半では相場の柱になるセクターが大きく入れ替わり、トレーディング妙味のある年が期待できるということです。

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著者

広瀬 隆雄(ひろせたかお)

コンテクスチュアル・インベストメンツLLC マネージング・ディレクター

グローバル投資に精通している米国の投資顧問会社コンテクスチュアル・インベストメンツLLCでマネージング・ディレクターとして活躍中。
1982年 慶応大学法学部政治学科卒業。 三洋証券、SGウォーバーグ証券(現UBS証券)を経て、2003年からハンブレクト&クィスト証券(現JPモルガン証券)に在籍。

広瀬 隆雄

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