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2024-12-10 17:37:41

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新型コロナワクチンの注射が、やっと捗りはじめた 景気・長期金利に対する影響に注意

新型コロナワクチンの注射が、
やっと捗りはじめた
景気・長期金利に対する影響に注意

2021/1/19

1新型コロナワクチンの生産・投与の状況

今週、JPモルガン・チェース(ティッカーシンボル:JPM)の主催でヘルスケア・カンファレンスが開催されています。その関係でヘルスケア関係のニュースが沢山出ています。

その中で最も注目されているのは「一体、新型コロナワクチンの供給見通しは、どうなっている?」ということです。

バイオンテック(ティッカーシンボル:BNTX)は「今年20億ドース、すなわち10億人分のワクチンを生産できる」とコメントしました。これはこれまでの予想を上回るペースです。

一方、がっかりさせられる遅々としたペースでのワクチンの注射のほうも、やっとリズムを掴み始めた観があります。1月11日(月)は1日だけで125万人が新型コロナワクチンの投与を受けました。これでこれまでに新型コロナワクチンを投与された人の数は927万人になりました。

米国政府はこれまで医療関係者ならびに老人ホームに入居している人だけに限定していた新型コロナワクチンの配布を「65歳以上で既往症のある人」にも拡大すると発表しました。

さらにこれまでは1回目の注射を受けた人が2回目の注射を必ず受けられるよう、2回目分を温存する用心深い配布方法を改め、一気になるべく多くの人に注射するため温存しているワクチンも放出すると発表しました。

そのような判断に至った背景として、ファイザー(ティッカーシンボル:PFE)の工場でのワクチン生産がとても順調なので、どんどん追加の在庫が確保できる見通しになったからです。

こうした一連の進展は医療関係者がホッと胸を撫で下ろす展開だと評価できると思います。

1月第一週頃は(こんな遅いペースでは……到底集団免疫など到底達成できないのでは?)という懸念の声が聞こえていました。いまでもそういう不安は残っているのですが、最前線でワクチンの注射をしている医療関係者はだんだん要領を心得てきて、サクサク仕事が捗るようになってきました。

だから1月11日の1日の記録を更新できるようなペースを今後も維持できれば、半年後には集団免疫のメドがつくかもしれません。

いまは「どれだけアメリカ国民の協力を得られる?」、つまりワクチン投与の拒絶者がどのくらい出るか? がむしろ問題になりつつあります。

これに関しては1日あたり4千人の死者が出ているのでワクチン注射を真剣に検討するアメリカ人が増えているように思います。

1投資戦略

投資戦略なのですが、現時点では意見を変更していません。

1月20日のバイデン大統領就任式は新型コロナの影響で重苦しい雰囲気になると思います。

米国市民は外出を控え、リモートワークを継続しています。リモートワーク関連の企業は引き続き好景気だと思います。ショッピングモールに行くことを米国民は控えていますのでネット通販の各社は相変わらず繁盛しているはずです。

だから2021年の前半は未だそれらの銘柄の好調は続くと思われます。

問題は長期金利です。

長期金利が上昇しはじめればバリュエーションの高いハイパー・グロース株は売られやすいです。ワクチンの注射が捗り、街角景気に明るさが見えて来たら、そのあたりからハイパー・グロース株が苦戦することが大いに予想されます。

これと対照的に旅行、レジャー、外食などの「リア充」銘柄が、ある時点で投資家から見直される可能性があります。

いまはこれらの企業の業績はものすごく悪いです。カーニバル(ティッカーシンボル:CCL)は一旦再開したクルーズ船の運航を再び中止、さらに先日、予定されていた運行再開を先延ばしすると発表しました。事業再開のメドが立たず第4四半期だけで19億ドルもの赤字を垂れ流しているわけです。

長短金利差の拡大は銀行株にとってフォローの風になります。下は10年債利回りから2年債利回りを引き算した「差」のチャートです。

このチャートが上に行くほど銀行の利ザヤは拡大すると考える事が出来ます。

シティグループ(ティッカーシンボル:C)、バンクオブアメリカ(ティッカーシンボル:BAC)、ウエルズファーゴ(ティッカーシンボル:WFC)などが関連銘柄になります。

これから米国は決算発表シーズンに入ってゆくわけですけれど、ネット企業、在宅勤務関連銘柄の決算はすこぶる良いと予想されます。反対に「リア充」銘柄の決算はボロボロになると予想されます。

どんなにネット企業の決算が良くても、長期金利がどんどん上昇するシナリオではそれらの株を買い上がりにくいと思います。

「リア充」銘柄の業績は恐ろしいほど悪いけど、倒産リスクに目をつぶり、鼻をつまみながらそれらの銘柄の安値を拾わないといけない局面がいずれ来るかもしれません。

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著者

広瀬 隆雄(ひろせたかお)

コンテクスチュアル・インベストメンツLLC マネージング・ディレクター

グローバル投資に精通している米国の投資顧問会社コンテクスチュアル・インベストメンツLLCでマネージング・ディレクターとして活躍中。
1982年 慶応大学法学部政治学科卒業。 三洋証券、SGウォーバーグ証券(現UBS証券)を経て、2003年からハンブレクト&クィスト証券(現JPモルガン証券)に在籍。

広瀬 隆雄

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