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インデックスに投資しない限り儲かった気がしないマーケットは不吉の前兆

インデックスに投資しない限り儲かった気がしないマーケットは不吉の前兆

2021/8/26

1株価指数は新値圏だが

米国を代表する株価指数であるS&P500指数は過去最高値圏にあります。

しかし個別株に投資している皆さんは(ちっとも儲かった気がしない)と首をかしげているのではないでしょうか。

それもそのはず、小型株の多くはインデックスについてゆくことが出来ていません。

■高値圏で出やすいリーダーシップ銘柄の減少
実はいま見られているような、相場の先導役となるリーダーシップ銘柄の数がどんどん減り、ごく一部の大型株だけに指数の上昇を依存するような相場展開は高値圏で典型的に見られる現象です。

言い直せば、株価指数が新高値を更新しているのとウラハラに、もう市場全体は一足先に調整局面に入っているのだと考えることも出来るのです。

■経済成長はピークをつけた
今年の米国はGDP成長率で7%前後が出せる見込みです。しかし来年は3.3%成長くらいまで鈍化すると予想されています。これらの二つの数字の差は、実は政府が新型コロナ発生直後に打ち出した様々な経済支援プログラムが終了することに伴う減速です。ですから民間経済は来年も今年同様のモメンタムを維持できると仮定しても補助金が無くなった分、成長率の鈍化は避けられないのです。

■企業業績の成長率もピークをつけた
一方、米国企業の業績に目を転ずると第2四半期は空前の一株当たり利益(EPS)成長を記録しました。前年同期比で軽く+80%を超える成長でした。しかし今回、このように目を見張る成長が記録された一因は、去年の第2四半期は外出禁止令で皆が家でじっとしていた反動という側面があります。前年比較が容易すぎるので目覚ましい成長を達成できたものの来期以降はだんだん前年比較が苦しくなります。そんなわけで企業業績の成長率も第2四半期がピークだったと見るべきでしょう。

1連邦準備制度理事会からの支援も絞り込みへ

加えて米国の中央銀行である連邦準備制度理事会(FRB)はこの秋からテーパーを開始すると見られています。テーパーとは、現在行われている債券買い入れプログラムの規模を縮小することを指します。現行では毎月米国財務省証券を800億ドルと住宅抵当証券を400億ドル、合計1200億ドルの債券をFRBは購入しています。イメージ的にはたとえば:

財務省証券購入額

住宅抵当証券購入額

2021年9

800億ドル

400億ドル

2021年10

700億ドル

350億ドル

2021年11

600億ドル

300億ドル

2021年12

500億ドル

250億ドル

2022年1

400億ドル

200億ドル

2022年2

300億ドル

150億ドル

2022年3

200億ドル

100億ドル

2022年4

100億ドル

50億ドル

2022年5

0

0

こんな風に徐々に減らしてゆくことがテーパーなのです。なお上の表はあくまでも皆さんがイメージしやすいようにテキトーに示したマンガであって予想ではありません。ただ大事なポイントとしては:

たぶん債券購入額がゼロになった後で、いよいよフェデラルファンズ・レートの引き上げに着手するだろう
すると何月から減額が開始される? ということが重要になる
さらに毎月、幾らの金額で減額するか? によってテーパー終了月が予想できる

などのことに気がつくと思うのです。だからテーパーの発表があった際にはそれらのポイントに注目してください。なおテーパーが来るということになると一度はそれに敬意を表するカタチで相場は下げると思います。

39月は鬼門

さて、最後のポイントなのですが、例年のジンクスとして「9月は相場が安い」という法則があることが知られています。

私は「相場に効くものならガマの油だろうが星占いだろうが何でも利用する!」方針です。S&P500の月次パフォーマンスも、とても当たる確率が高いので、当然、参考にしています。

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著者

広瀬 隆雄(ひろせたかお)

コンテクスチュアル・インベストメンツLLC マネージング・ディレクター

グローバル投資に精通している米国の投資顧問会社コンテクスチュアル・インベストメンツLLCでマネージング・ディレクターとして活躍中。
1982年 慶応大学法学部政治学科卒業。 三洋証券、SGウォーバーグ証券(現UBS証券)を経て、2003年からハンブレクト&クィスト証券(現JPモルガン証券)に在籍。

広瀬 隆雄

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