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FRBは年末までに政策金利を1.9%へ持ってゆくことをほのめかした
FRBは年末までに政策金利を1.9%へ
持ってゆくことをほのめかした
2022/3/22
連邦公開市場委員会
3月16日の連邦公開市場委員会(FOMC)で、米国の政策金利であるフェデラルファンズ・レート(略してFFレート)が0.25%引き上げられ、0.25〜0.50%とすることが発表されました。加えて連邦準備制度の総資産の圧縮(=いわゆるQT)も早ければ5月くらいから着手したい意向が示されました。
FOMC声明文とともに発表された経済予想サマリーによれば、FRBメンバーのコンセンサスは2022年末のFFレートで1.9%であることが判明しました。
これは言いかえれば今年予定されている残り6回のFOMCで毎回0.25%の利上げがあることを示唆する数値です。
市場参加者がFRBの示したこのシナリオを額面通り受け入れることはフェドファンズ・フューチャーズの価格から逆算される利上げ確率の数字にも表れています。
FOMC後の数値(橙色)はFFレートで2.00〜2.25%のところが最多値になっています。つまり経済予想サマリーのコンセンサス1.9%にサヤ寄せしているわけです。
株式市場に対し建設的になるべき局面
このようにFRBメンバーが考えていることと市場参加者が考えていることが接近することは今後の政策金利の軌跡に関し不確実性が減ったことを示唆し、その分、投資家は安心して株式を買ってゆく下地が出来たという風にも言えます。
もちろん株式を巡る不確実性が今回のFOMCで全て除去されたわけではありません。
まず戦争でエネルギー価格ならびに穀物価格が大きく変動しています。経営者は先行きに対する不透明感から新規の設備投資を絞り込む、雇用の拡大を控えるなどの防衛的なスタンスを取るリスクがあります。
つまりいまは経済の先行きに関して大きな振れ幅を残しながら、それでも少なくともそれに対するFRBの処方箋に関する限り「年内は粛々と毎回のFOMCのたびに0.25%の利上げを行ってゆく」というアプローチが妥当な線だというコンセンサスが醸成されたというわけです。
それを株式市場のイメージに翻訳するならば、千鳥足で一進一退を繰り返しながら方向性としては年末にかけて年初来±0%の水準までゆっくり戻してゆくような相場と言えるかもしれません。
著者
広瀬 隆雄(ひろせたかお)
コンテクスチュアル・インベストメンツLLC マネージング・ディレクター
グローバル投資に精通している米国の投資顧問会社コンテクスチュアル・インベストメンツLLCでマネージング・ディレクターとして活躍中。
1982年 慶応大学法学部政治学科卒業。 三洋証券、SGウォーバーグ証券(現UBS証券)を経て、2003年からハンブレクト&クィスト証券(現JPモルガン証券)に在籍。