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トレード上達のコツ
トレード上達のコツ
2022/9/21
トレード上達のためには自分の感情と向き合う必要があります。
自分の感情と向き合うとは、自分がいま何を感じているか? を第三者の目線から冷静に観察することを指します。
(ちぇっ! こんなことなら…もっと買っておけば良かった!)
そういうキモチを例に説明しましょう。
この場合、自分は取り逃がした利益を残念がっているわけで、トレードでお金を損する恐怖より儲けの方に注意が注がれています。もっとわかりやすい表現に直せば「欲ブタ」です。
あなたは欲ブタになっていませんか?
これを自問するだけで、最も高くつく、痛い失敗を大幅に減らすことが出来ます。
普通、個人投資家が大きく負ける場面とは相場環境が悪く市場参加者が疑心暗鬼になっている時ではありません。
強気相場の真っ只中で、みんなが儲かっていて、自分も儲けていて、(もっと!もっと!)という積極的な姿勢になっているとき、何気ないキモチで建てた、普段より大きめのポジションが、気がつけば大きくやられている……
(ま、いいか、この程度。そのうち戻るだろう)
そういう雑な考えで、短期トレードのつもりが、少し長期投資になる心の折り合いをつけるような場面で、その何でもないポジションがごっそり過去に積み上げた利益を吹き飛ばしてしまう……これが最も頻度が多い失敗です。
心の葛藤なく何となく建てたポジションほど危ないポジションはありません。
あるトレードが成功するためには(ひょっとすると負けるかも?)という逡巡、言い換えれば不安の克服が必須です。
それが無いということはあなたがリスクに注意を払っていない証拠です。
周囲の人から「そんなトレードはダメだ」というようなdisりが入ったならそのトレードは成功する確率が高いです。ウォール街ではそのような周囲の反対のことをpush backと言います。Push backは成功するトレードに欠かせません。
なぜなら、あるトレードが「お宝ポジション」になるためには、買いにくいところを買うというような居心地の悪さが絶対に必要となるからです。それに打ち克ってこそ、良い値段、良いタイミングでエントリーすることが出来るのです。
ひるがえって「みんなで買えば怖くない」式のトレードは、メンタルが弱く、経験に乏しく、投資資金が小額の投資家たちがメダカの群れのように寄り添いながら自分たちの判断を称賛、是認し合う行為に他ならず、これは気休めの域を出ません。
気休めの承認を周囲から取り付けないといけないようなトレードは危ないトレードです。
投資というものは、ひとりぼっちでやるものであり、仲良しグループで徒党を組んでやるものではありません。
何度もトレードで勝ちを積み上げると、だんだんキモチが大きくなり、一回で建てるポジションが大きくなりがちです。
大きな損は、そのようなキモチが大きくなったときに出やすいです。
したがって知らず知らずのうちに一回で建てるポジションが大きくなってしまっている場合はホームラン狙いの大振りを改め、バットを短く持ってとにかく出塁することを心がけましょう。
著者
広瀬 隆雄(ひろせたかお)
コンテクスチュアル・インベストメンツLLC マネージング・ディレクター
グローバル投資に精通している米国の投資顧問会社コンテクスチュアル・インベストメンツLLCでマネージング・ディレクターとして活躍中。
1982年 慶応大学法学部政治学科卒業。 三洋証券、SGウォーバーグ証券(現UBS証券)を経て、2003年からハンブレクト&クィスト証券(現JPモルガン証券)に在籍。