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引締め政策の出口戦略が次の連邦公開市場委員会で模索される
引締め政策の出口戦略が
次の連邦公開市場委員会で模索される
2022/10/28
引締め政策の幕引きが真剣に検討され始めた
いまアメリカの中央銀行である連邦準備制度理事会(FRB)は金融の引締めを行っています。
米国の政策金利はフェデラルファンズレートですが、これまで3回連続で0.75%という大幅な利上げを敢行しました。11月2日の連邦公開市場委員会(FOMC)でも今一度0.75%の利上げが行われることはほぼ確実です。
しかし「その後、どうする?」ということに今注目が集まっており11月2日のFOMCでも引締め政策の出口戦略が討議の中心になると思われます。
具体的には二つのシナリオが考えられます。
ひとつは「12月から利上げのペースを0.50%へ減速し、来年最初のFOMCでは0.25%に下げる」というものです。
これに対して「年内いっぱいは0.75%という大幅な利上げを続ける代わり、来年はもう利上げしない」という考えもあります。
どちらのシナリオも「利上げを前倒しするか、しないか?」の差でしかなく、結局のところ「着地点は4.5%あたり」という点では意見の一致を見ています。
言い換えればこれは手仕舞い方法に関する些細なポイントに過ぎず、大筋として「そろそろ終わりにする」という事に関してはコンセンサスが出来ているということです。
株式市場は「利上げ完了!」を歓迎すると思います。ここへきて俄かに米国株が元気になっているのはそのような事に対する期待が原因です。
株式ストラテジー
利上げの打ち止めは株式にとりプラスです。12月の末までにS&P500が今年の高値から安値までの下げ幅の半値戻しの水準、つまり4,200くらいまで上昇するというのはじゅうぶんに考えられるシナリオです。
来年に入っても株式市場は引き続き堅調と予想します。
それではどのセクターを買う? ということですが、このところのドル高で輸出比率の高い企業の決算は悪いです。したがって今個別銘柄に投資することはリスクが高いです。
そこで安全なやり方は、株式市場をまるごと買うようなETFでお茶を濁すという手法だと思います。
いずれFRBが利上げの終了をシグナルすれば、その時点で為替はドル安に振れると考えるのが自然です。それは米国の輸出企業の業績にとって支援材料です。言い直せばこれまで逆風だった企業業績に順風が吹き始める時期は近いということです。
まとめ
まとめるとFRBが引締め政策の出口戦略を打ち出せば1)金利面でも逆風がフォローの風に変わるし、2)業績面でも逆風がフォローの風に変わります。そのことは株式のバリュエーションにとって大変良いことです。
いま米国の株式市場は向こう12か月の利益に対して16倍程度で取引されており、割高感はありません。
じっくりと腰を落ち着けて株式投資に取り組んで行ける環境が、あと少しで到来しようとしているのです。
著者
広瀬 隆雄(ひろせたかお)
コンテクスチュアル・インベストメンツLLC マネージング・ディレクター
グローバル投資に精通している米国の投資顧問会社コンテクスチュアル・インベストメンツLLCでマネージング・ディレクターとして活躍中。
1982年 慶応大学法学部政治学科卒業。 三洋証券、SGウォーバーグ証券(現UBS証券)を経て、2003年からハンブレクト&クィスト証券(現JPモルガン証券)に在籍。