マーケット > レポート > 広瀬の外国株式・海外ETFデビュー講座 > 1月の最初の5立会日はプラスだった
1月の最初の5立会日はプラスだった
1月の最初の5立会日はプラスだった
2023/1/11
ウォール街では「1月の最初の5立会日がプラスなら、その年の株式市場はプラスで終わることが多い」と言われています。今年の場合、新年の5立会日を終えてS&P500指数は+1.36%でした。
新年最初の5立会日がプラスなら83%の確率で通年でも高い
1950年以降S&P500指数が最初の5立会日でプラスを記録したケースは47回あります。そのうち39回は1年間を通じて相場が高かったです。確率にすれば83%です。そしてその47回の平均上昇幅は+14.0%でした。
このことから今年もそれなりに良いパフォーマンスを期待できると思います。
■大統領選挙サイクルの3年目はマーケットが強い
アノマリーの話を続ければ今年は大統領選挙サイクルの(=新しい大統領が就任してから)3年目にあたります。過去の経験則では3年目は4年ごとの大統領選挙サイクルで最も株式市場のパフォーマンスが良い年として知られています。
■大統領選挙サイクル2年目がベアマーケットだった場合、次の年は相場が高い
さらにその前の年(=つまり今回の場合は2022年がそれに当たるのですけれど)に株式市場がベアマーケット(=高値から20%の調整)を記録した場合は、大統領サイクル3年目の平均パフォーマンスは+20.3%になるという統計があります。
去年は実際にS&P500指数がベアマーケット圏に入ったのでこれに当てはまります。
■2023年は利上げ打ち止めとなる公算が大である
去年は連邦準備制度理事会(FRB)が矢継ぎ早に利上げを繰り返した関係で株式がその逆風の中で上がってゆくシナリオは考えにくかったです。
それに比べて今年は春先にも利上げが打ち止めになるという観測が支配的なため、アゲンストの風が止むことが期待されます。
このように今年は株式市場に対して建設的になれる材料が多いです。
企業業績はアゲンストの風
さて、これらへの反論として今年は景気後退(リセッション)に見舞われるリスクが高いので、企業業績には余り多くを期待できないという点があります。
2022年のS&P500指数のEPSは今の時点では$220.32が予想されています。これから第4四半期決算の決算発表シーズンに突入するので、その内容次第では数字がかなり動くかも知れません。
一方、現時点での2023年のコンセンサスEPS予想は$230.03となっています。つまり2022年から2023年にかけてEPSは+4.4%しか上がらないのです。
ただ金利が重要か? それとも業績が重要か? と訊かれれば、相場全体に対してより大きな影響を与えるのは普通金利なので今年も金利の動向を重点的に観察してゆくことが大事だと思います。
著者
広瀬 隆雄(ひろせたかお)
コンテクスチュアル・インベストメンツLLC マネージング・ディレクター
グローバル投資に精通している米国の投資顧問会社コンテクスチュアル・インベストメンツLLCでマネージング・ディレクターとして活躍中。
1982年 慶応大学法学部政治学科卒業。 三洋証券、SGウォーバーグ証券(現UBS証券)を経て、2003年からハンブレクト&クィスト証券(現JPモルガン証券)に在籍。