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いまは米国株を買う好機
いまは米国株を買う好機
2023/2/28
景気が意外に強く株式は軟調
2月に入って雇用統計、消費者物価指数、生産者物価指数、小売売上高、コアPCEインフレなどの経済指標はいずれも強い数字だったことを受けて(これでは連邦準備制度理事会はタカ派のスタンスを変更できないぞ!)と市場参加者が感じ、米国株は売り先行となっています。
先物市場は3回の利上げを織り込んでいる
これを受けて米国の政策金利であるフェデラルファンズの先物の市場は3月、5月、6月の連邦公開市場委員会(FOMC)でそれぞれ0.25%の利上げが繰り返され、最終的にフェデラルファンズ・レートは5.25〜5.50%に到達することを織り込みました。このピークのレートのことをターミナル・レートと呼びます。
ターミナル・レートで5.25〜5.50%という水準は去年の12月に経済予想サマリー(SEP)の中で示されたFRBメンバーのコンセンサス予想である5.1%より若干高い水準です。ただ、「予想が大きく外れた!」と目くじらを立てるほどの誤差でも無いと思います。
市場関係者は(そろそろ打ち止めか?)ということを期待していただけに今回の展開にはガッカリしました。
しかし政策金利は実体経済にじわじわと累積的に効いてくるものです。いまは利上げサイクルの最終局面にさしかかっているわけで、この程度の着地点のズレはむしろ当然と受け止めるべきでしょう。
投資家は弱気一色だが……
このところの下げで市場参加者は弱気一色ですが、過去の経験則はむしろこの局面では積極的に買い向かうべきだということを示唆しています。
下は1950年以降のS&P500指数の平均月次パフォーマンスを示していますが、例年、3月4月はパフォーマンスが良いことが読み取れます。
次に大統領選挙との絡みで言えば、来年、すなわち2024年は大統領選挙の年です。その前年、つまり今年はPre-election yearと呼ばれ、株式市場が好調になることが多いことが知られています。とりわけ3月は突出してパフォーマンスが良いことが経験則的に知られています。
それらのことを考え合わせると、いま米国株に対して弱気になるのは得策ではありません。
思い出して頂ければ去年の2月24日はロシアがウクライナに突然侵攻し、エネルギー価格の先高観が台頭しました。
あれからまる1年、現在のエネルギー価格はその当時よりむしろ安くなっています。
それは何を意味するか? と言えば、4月・5月くらいからは物価関係の統計の前年比較が容易になるということです。
いま消費者物価は沈静化の速度が鈍り(すわ物価は高止まりするか?)ということが懸念されているけれど、今後はむしろ前年比較が楽勝になるわけですから無駄に慌てるには及びません。
今週、来週あたりが株を仕込む好機だと思います。
著者
広瀬 隆雄(ひろせたかお)
コンテクスチュアル・インベストメンツLLC マネージング・ディレクター
グローバル投資に精通している米国の投資顧問会社コンテクスチュアル・インベストメンツLLCでマネージング・ディレクターとして活躍中。
1982年 慶応大学法学部政治学科卒業。 三洋証券、SGウォーバーグ証券(現UBS証券)を経て、2003年からハンブレクト&クィスト証券(現JPモルガン証券)に在籍。