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インフレ退治は大詰めに 景気の足腰は強い
インフレ退治は大詰めに 景気の足腰は強い
2023/7/28
連邦公開市場委員会
7月26日に閉会した連邦公開市場委員会(FOMC)では大方の市場参加者が予想した通り0.25%の利上げが発表されました。
これで米国の政策金利であるフェデラルファンズ・レートは5.25〜5.50%になりました。
パウエル議長は記者会見の中で「現在のフェデラルファンズ・レートは十分に引締め的である」という見解を打ち出しました。
また6月の消費者物価指数が3.0%まで下がってきたこともあり、あとは食品・エネルギーなどを除いたコア・インフレさえ下がってくればFRBのインフレ退治の仕事は大詰めを迎えているという手ごたえが感じられました。
次のFOMCは9月20日で、あと8週間あります。その間に雇用統計が2回、物価統計が2回発表されるので、次の政策金利を決めるにあたって参考に出来るデータポイントが多いです。
いずれにせよこれまでのところ米国経済は度重なる利上げによる失速という事態には至っていないということです。
景気が底堅いのであれば投資戦略はどうなる?
今回のFOMC後の記者会見では米国の景気の足腰が強いことがハッキリと認識されました。
そうなのであれば食品、薬品、公益、飲料、ヘルスケアなど、不況に強いとされているディフェンシブ株の出番はあまり無いように思います。
逆に市況株、消費循環株のグループの中から投資先を模索することになります。
しかしこのグループの中でも良い株とそうでない株の明暗が現れているように思います。
一例として専門店や量販店は中国発の超ファストファッションのアプリが米国市場を席捲していることもあり劣勢です。
次に旅行関係ですが、いまは好況の絶頂にあるけれど、クレジットカード会社の直近のデータなどを見れば旅行フィーバーにやや陰りが見え始めています。
するとそれら以外のグループから銘柄を選定してゆく必要があります。
景気が強い局面で恩恵を受ける典型的なセクターのひとつがエネルギーです。石油・天然ガスのグループはロシアがウクライナに攻め込んだ直後にエネルギーの供給不安から人気化しましたが、その後、人気が離散しており、休養十分です。
素材のグループも中国経済がスランプに陥っていることを嫌気され、投資家から顧みられていません。
中国を除く新興国、フロンティアマーケットもいち早くインフレ退治が完了し、いまとても景気が良くなっています。
そのようなグループの中から投資先を選びたいと思います。
著者
広瀬 隆雄(ひろせたかお)
コンテクスチュアル・インベストメンツLLC マネージング・ディレクター
グローバル投資に精通している米国の投資顧問会社コンテクスチュアル・インベストメンツLLCでマネージング・ディレクターとして活躍中。
1982年 慶応大学法学部政治学科卒業。 三洋証券、SGウォーバーグ証券(現UBS証券)を経て、2003年からハンブレクト&クィスト証券(現JPモルガン証券)に在籍。