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予想外の好景気で売られているディフェンシブ株に妙味

予想外の好景気で売られているディフェンシブ株に妙味

2023/9/27

米国経済の足腰は意外に強いです。9月20日に閉会した連邦公開市場委員会(FOMC)で19人の連邦準備制度メンバーへのアンケートを集計した経済予想サマリー(SEP)が示されたのですが、2023年末のGDP予想は6月の調査でのコンセンサス予想1%が今回は2.1%へジャンプしていました。つまり誰も予想してなかった好景気が続いているのです。

そもそもエコノミストたちが景気の息切れを予想した理由は米国の政策金利であるフェデラルファンズ・レートが2022年以降グイグイ引き上げられたからです。

そうしなければいけなくなった理由は新型コロナが終息し、経済が再開した際、サプライチェーンのボトルネックが生じたことが原因です。それはインフレを招来しました。

2022年の6月にはインフレは前年比+9%にも達しました。幸い、度重なる利上げが功を奏して現在インフレは3%台に下がってきています。

しかしここへきてサウジアラビアが国有石油会社の株式をサウジ国内市場に売り出す計画を発表し、それをやりやすくするため原油の減産による原油高の演出が始まりました。

折角エネルギー価格の鎮静化でインフレが一旦は収まったにも関わらず、こうして再び原油価格が上昇し始めるのであればインフレに弱い長期債は売られます。債券価格が下落すると債券利回りは上昇します。ここへきて米国10年債利回りが上昇のピッチを速めているのはこのような理由によります。

とりわけ10年債利回りで4.5%という水準は心理的にひとつの節目であり、ここを超えて利回りが上昇するようであれば金利上昇に歯止めが効かなくなるという不安が出ます。

最近、株式市場が軟調なのはこれが原因です。

さて、これからどうする? ということですが、今はたまたま経済が一番強く、そして長期金利の上昇が一番手に負えない風に見えるピークだと思われます。

その理由として企業の求人数はかなり減ってきています。いままでは求職者の「売り手市場」だったのですが、採用する側、採用される側のバランスはかなり取れてきたと言えるでしょう。

それはとりもなおさず賃金上昇が一段落するのが目前であることを示唆しています。

いまハリウッドや自動車産業や液化天然ガスの工場の労働者などが相次いでストライキを敢行しているのですが、このような相次ぐストは好景気の最終局面で見られやすい現象です。

足下の景気がとても強いので、景気が強い局面でパフォーマンスが劣後しやすい日用品、製薬、薬局、公益などのセクターは投資家から敬遠されています。

今後は景気の暗転が予想されるのでそれらのアンダーパフォームしているセクターの相対パフォーマンスが良くなることが予想されます。

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著者

広瀬 隆雄(ひろせたかお)

コンテクスチュアル・インベストメンツLLC マネージング・ディレクター

グローバル投資に精通している米国の投資顧問会社コンテクスチュアル・インベストメンツLLCでマネージング・ディレクターとして活躍中。
1982年 慶応大学法学部政治学科卒業。 三洋証券、SGウォーバーグ証券(現UBS証券)を経て、2003年からハンブレクト&クィスト証券(現JPモルガン証券)に在籍。

広瀬 隆雄

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