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2024年の米国株の予想
2024年の米国株の予想
2023/12/20
2024年の米国株式は+12.8%上昇を見込んでいます。その根拠は第二次世界大戦後、大統領選挙の年で、現職の大統領が再選をねらって立候補した年の平均パフォーマンスが+12.8%だからです。
ただ選挙はどう転ぶかわかりません。バイデン大統領が負けるシナリオもありうると思います。
現職の大統領が負けるシナリオでは、年初から相場がどんどん下がると言われています。従って1・2月の相場が軟調だった場合、相場観を速やかに修正するほうが良いでしょう。
次に経済に目を転じると足下の米国景気はしっかりしています。
2019年11月頃中国で発生した新型コロナがアメリカに渡り、株式市場が−35%下げたのは2020年2月から3月にかけてです。あのときは経済が瞬間的に停止してしまいました。そこで連邦準備制度理事会は政策金利をゼロにする、量的緩和政策を打ち出すなどして経済の心臓発作を食い止めました。
経済再開後はサプライチェーンにボトルネックが生じ、インフレを誘発しました。それが賃金にも飛び火して米国の消費者物価は2022年夏には一時前年比+9%にまで高騰しました。
そこでFRBは断固とした金融引締めを行いインフレの息の根を止めたのです。このようにコロナの後始末にはまるまる4年近い歳月を必要としました。その間、経済データは異常値を示していました。FRBの采配も普段とは違う異例の措置が次々に繰り出されました。
そのようなドタバタが全て終わり、米国経済はいま久しぶりにノーマルな状態に戻っているのです。
消費者物価指数は前年同期比+3.1%まで下がってきました。一方、失業率は3.7%と極めて低く、景気の底堅さを物語っています。米国の政策金利であるフェデラルファンズ・レートは5.25〜5.50%で、将来、景気が悪くなった際は利下げ余地が十分にあります。株式市場のPERは19倍で、我慢できるリーズナブルなバリュエーションです。10年債利回りはどんどん下がってきており、4%を割り込みました。
12月13日の連邦公開市場委員会(FOMC)の記者会見では市場参加者のフォーカスが利下げに移ったことを感じさせました。経済予想サマリーではFRBメンバーは2024年中に3回の利下げを想定しています。経済がそれほど弱くならなくても、インフレがざっくりと下がれば、実質金利は高くなるので利下げ余地は生じるという議論です。これは株式バリュエーションにとって支援的な材料であり2024年の米国株に期待できるひとつの大きな要因です。
つまり我々の現在の立ち位置は理想に近い良好な状態なのです。
その反面、年初からナスダック総合指数は+42%、S&P500指数は+23%、ダウ工業株価平均指数は+13%上昇しており、そろそろ調整が入ってもおかしくない水準です。
こういうときは強気な中にも節度を持った投資態度が必要です。
著者
広瀬 隆雄(ひろせたかお)
コンテクスチュアル・インベストメンツLLC マネージング・ディレクター
グローバル投資に精通している米国の投資顧問会社コンテクスチュアル・インベストメンツLLCでマネージング・ディレクターとして活躍中。
1982年 慶応大学法学部政治学科卒業。 三洋証券、SGウォーバーグ証券(現UBS証券)を経て、2003年からハンブレクト&クィスト証券(現JPモルガン証券)に在籍。