マーケット > レポート > 広瀬の外国株式・海外ETFデビュー講座 > 米国の個人消費の動向
米国の個人消費の動向
米国の個人消費の動向
2024/1/18
好調な個人消費に支えられた米国経済
米国のGDPに占める個人消費の割合は約66%です。したがって個人消費は米国経済を大きく左右します。
個人消費にはモノの消費とサービスの消費が含まれています。
新型コロナ後、経済が再開して以来、下のチャートに見るように好調な個人消費が米国経済を牽引してきました。
個人消費の伸びは近年のトレンドラインをやや上回っています。
投資家としては、この好調な個人消費の持続性が気になります。
新型コロナの時、家計の立て直しが図られた
米国の家計のバランスシートは新型コロナを契機として改善しました。あのときは皆自宅待機していたので買い物が出来ませんでした。健康の不安に備えて国民が貯金を増やす一方、それまでに溜まっていたレカ債務残高を圧縮する人が多かったです。加えて米国政府から国民ひとりひとりに見舞金が出ました。それらにより家計のバランスシートは急改善を見たのです。
その後、経済再開を契機として再びクレカ債務残高は伸び始めました。いまは長期のトレンドラインに戻ったと言えるでしょう。
借り手は四苦八苦している?
クレカ債務残高が増えたことで消費者はやりくりがきつくなっているのでしょうか? いまクレカ債務の延滞率を見ると、だいぶ上昇してきています。
雇用市場がしっかりしているうちは借金の返済に困る消費者は少ないです。でも会社から解雇されたら借金の返済が出来なくなります。その点、いま失業率は極めて低い水準にあります。
つまり今は雇用市場が強いので余り心配する必要は無いけれど、今後、失業率が増え始めるとクレカ債務の焦げ付きにも注意しないといけないということです。
著者
広瀬 隆雄(ひろせたかお)
コンテクスチュアル・インベストメンツLLC マネージング・ディレクター
グローバル投資に精通している米国の投資顧問会社コンテクスチュアル・インベストメンツLLCでマネージング・ディレクターとして活躍中。
1982年 慶応大学法学部政治学科卒業。 三洋証券、SGウォーバーグ証券(現UBS証券)を経て、2003年からハンブレクト&クィスト証券(現JPモルガン証券)に在籍。