マーケット > レポート > 広瀬の外国株式・海外ETFデビュー講座 > GAFAMの決算のまとめ
GAFAMの決算のまとめ
GAFAMの決算のまとめ
2024/2/7
■GAFAMの決算が出揃った
GAFAMとはアルファベット(ティッカーシンボル:GOOG)、アップル(ティッカーシンボル:AAPL)、メタ・プラットフォームズ(ティッカーシンボル:META)、アマゾン(ティッカーシンボル:AMZN)、マイクロソフト(ティッカーシンボル:MSFT)の略です。
GAFAMの決算が出揃いました。全体的に好調な米国経済を背景に各社の売上高成長率はやや上向いています。
投資家の関心事はAIに対する各社の取り組みです。マイクロソフトがとりわけ上手く立ち回っています。メタはAIを外に出さず、もっぱら自社のサービス強化、体質改善に投入することで強靭な組織にすることを狙っています。
■アルファベット
アルファベットの第4四半期決算はEPSが予想$1.59に対し結果$1.64、売上高が予想852.8億ドルに対し結果863.1億ドルでした。売上高成長率は前年同期比+13.5%でした。
グーグルサーチ&アザー売上高は前年同期比+12.7%の480億ドルでした。グーグルアドバタイジング売上高は前年同期比+11%の655億ドルでした。この数字が(少し予想を下回ったのでは?)という指摘が投資家から出て、アルファベットの決算は「良い決算」だったにもかかわらず決算発表後の株価は冴えませんでした。
YouTube広告売上高は前年同期比+16.5%の92億ドルでした。
グーグルクラウド売上高は前年同期比+26%の92億ドルでした。営業利益は8.64億ドルでした。
アルファベットはアザー・ベッツなどの本業に関係ないビジネスへの追加投資を絞り込み、営業費用を抑制する努力を今後も続けます。それは今後も散発的な人員解雇のニュースが出ることを予期したほうがいいという事だと思います。
アルファベットは早くからAIへの取り組みを開始していたのですが、その成果と言う点ではやや出遅れている印象があります。いま「ジェミニ」というサービス名称の下に様々なAI絡みのサービスを統合しようとしています。同社の場合、アンドロイドやグーグル検索など、様々なタッチポイントを経由し消費者との接点が多いので、AIを上手く生かせば使い出のあるサービスを提供できるだろうと言われています。でも未だそこへは至っていません。
■アップル
アップルの第1四半期(12月期)決算はEPSが予想$2.10に対し結果$2.18、売上高が予想1179.9億ドルに対し結果1196億ドル、売上高成長率は前年同期比+2.1%でした。
iPhone売上高は予想679億ドルに対し結果697億ドルでした。去年は658億ドルでした。
サービス売上高は予想225億ドルに対し結果232億ドルでした。去年は208億ドルでした。このサービス売上高が僅かにアナリストのコンセンサスより小さかったので決算発表後の株価はいまひとつでした。
中国売上高は208億ドルでした。去年は239.5億ドルでした。中国経済の低迷がアップルの業績にも影を落としました。
■メタ・プラットフォームズ
メタ・プラットフォームズの第4四半期決算はEPSが予想$4.82に対し結果$5.33、売上高が予想391億ドルに対し結果401.1億ドル、売上高成長率は前年同期比+24.7%でした。
フェイスブックDAUは前年同期比+6%の21.1億人でした。
広告インプレッションは前年同期比+21%でした。広告平均単価は+2%でした。
第1四半期売上高は予想339.3億ドルに対し新ガイダンス345〜370億ドルが提示されました。
メタは社員をより技術面で高度なスキルをもった人材へ入れ替えて行き、AI時代にマッチした強靭な組織にし、AIを同社のメインのビジネスであるデジタル広告の効果をUPすることで顧客企業の満足を伸ばすことで増益に結び付けることを目指しています。
メタは配当を払い始めます。四半期毎に50¢です。最初のレコード・デーは2月22日、ペイアブル・デーは3月26日です。
メタは自社株買戻しプログラムを500億ドル増額します。
2024年度の設備投資額は20億ドル積み増し、300〜370億ドルとします。ガイダンスのレンジが広がった理由は半導体の供給不足が引き起こす値上がりリスクを含めたからです。
■アマゾン
アマゾンの第4四半期決算はEPSが予想80¢に対し結果$1.00、売上高が予想1659.6億ドルに対し結果1699.6億ドル、売上高成長率は前年同期比+13.9%でした。
第4四半期の営業利益は132億ドルでした。ガイダンスは70〜110億ドルでした。
AWS売上高は前年同期比+13.2%の242億ドルでした。
広告サービス売上高は前年同期比+26%の146.5億ドルでした。
第1四半期の売上高は予想1420.1億ドルに対し新ガイダンス1380〜1435億ドルが提示されました。営業利益ガイダンスは80〜120億ドルが提示されました。
アマゾンは新型コロナ後、極めて高水準の設備投資を行ってきました。その少なからぬ部分はロジスティクスでした。いまその投資から得られる効率の向上の恩恵を受け始めています。データセンターへの投資も引き続き行って行きます。
■マイクロソフト
マイクロソフトの第2四半期(12月期)決算はEPSが予想$2.77に対し結果$2.93、売上高が予想611.4億ドルに対し結果620.2億ドル、売上高成長率は前年同期比+17.6%でした。
アジュール売上高は前年同期比+30%でした。ガイダンスは+26〜27%でした。これはアマゾンAWS、アルファベットのグーグルクラウドのパフォーマンスを凌駕しています。アジュール好調の理由はウェブサイト構築運営のプラットフォーム「ギットハブ」にAI「コパイロット」を実装したことでソフトウェア・エンジニアがコードを書く手間が大幅に省略され、「この際、他社でのプロジェクトもアジュールに移そう!」という顧客の引っ越し需要を喚起したためです。
この例に見られるようにマイクロソフトはAIの実装で部門間での「エンドラン」的な連携プレーがとても上手く行きはじめています。
プロダクティビティ&ビジネスプロセス売上高は192億ドルでした。ガイダンスは188〜191億ドルでした。オフィス・コマーシャル売上高は前年同期比+15%でした。オフィス365売上高は前年同期比+17%でした。オフィス・コンシューマー売上高は前年同期比+5%でした。リンクトイン売上高は前年同期比+9%でした。ダイナミクス売上高は前年同期比+21%でした。ダイナミックス365売上高は前年同期比+27%でした。
インテリジェントクラウド売上高は259億ドルでした。ガイダンスは251〜254億ドルでした。
モア・パーソナル・コンピューティング売上高は169億ドルでした。ガイダンスは165〜169億ドルでした。
著者
広瀬 隆雄(ひろせたかお)
コンテクスチュアル・インベストメンツLLC マネージング・ディレクター
グローバル投資に精通している米国の投資顧問会社コンテクスチュアル・インベストメンツLLCでマネージング・ディレクターとして活躍中。
1982年 慶応大学法学部政治学科卒業。 三洋証券、SGウォーバーグ証券(現UBS証券)を経て、2003年からハンブレクト&クィスト証券(現JPモルガン証券)に在籍。