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いよいよ6月の利下げが現実味を帯びてきた
いよいよ6月の利下げが現実味を帯びてきた
2024/3/12
雇用統計
3月8日に発表された2月の非農業部門雇用者数は予想20万人に対し結果27.5万人と一見すれば強い数字でした。しかし過去2カ月間の数字が16.7万人下方修正されたので均してみると雇用はやや鈍化したと言えます。1月の平均時給は5¢の上昇にとどまり最近では最も低い伸びでした。
これを受けてドルは弱含んでいます。
6月の連邦公開市場委員会(FOMC)で米国の政策金利であるフェデラルファンズ・レートが引き下げられる可能性が出てきたのです。
■消費者物価指数
3月12日には2月の消費者物価指数が発表されます。コンセンサス予想は3.1%です。
このところインフレ鎮静化の足取りは一進一退の様相を呈しています。これからサマー・ドライビング・シーズンに入るのでガソリン価格が上昇するシナリオも想定しないといけません。
つまり消費者物価指数を2%へ持ってゆくことは容易ではないのです。その反面、上で見たようにようやく雇用市場の過熱感が取れ、賃金上昇幅が小さくなってきたので、少なくとも手の付けられないインフレ・スパイラルのリスクは遠ざかったと考えて良いでしょう。
消費者の懐事情
米国の消費者は新型コロナが発生したとき家に籠り家計の修復に努めました。その後、経済再開とともに消費者の財布の紐は緩くなり消費が好調でした。いま賃金上昇ペースが鈍化する中で消費者はクレジットカードのリボ債務を増やすことで家計の辻褄を合わせています。
クレカ債務の延滞比率は未だ低い水準ですがだんだん増加傾向にあります。
今後は延滞比率の一層の上昇に注意を払う必要があると思います。
長期金利
米国の長期金利は上昇基調だったのですが、今後の経済成長の鈍化を織り込むカタチで最近は利回りが低下の兆しを見せています。
■株式市場への含蓄
以上をまとめると雇用市場はやや鈍化しており物価は一進一退の状況で消費者の懐具合はゆっくりと悪化しており、ある時点でそれは景気の減速につながりFRBが利下げする余地があるということです。
言うまでも無く利下げは株式市場の参加者から歓迎されると思います。
著者
広瀬 隆雄(ひろせたかお)
コンテクスチュアル・インベストメンツLLC マネージング・ディレクター
グローバル投資に精通している米国の投資顧問会社コンテクスチュアル・インベストメンツLLCでマネージング・ディレクターとして活躍中。
1982年 慶応大学法学部政治学科卒業。 三洋証券、SGウォーバーグ証券(現UBS証券)を経て、2003年からハンブレクト&クィスト証券(現JPモルガン証券)に在籍。