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ドル円相場と株式市場
ドル円相場と株式市場
2024/3/29
これを書いている3月27日現在1ドルは151.7円で取引されており直近のドルの高値とツラ合わせの水準になっています。この水準を超えてドル高が進行するようなら、1990年まで遡らないとこれほどの円安は無かったことになります。
このことが持つ意味合いは何でしょうか?
まず日本の場合、エネルギーや原材料を輸入に頼っているので輸入品の価格が円建てで上昇し、輸入金額が見かけ上増えてしまう懸念があると思います。
日本ではGDP(国内総生産)を計算する際、「支出アプローチ」と呼ばれる計算式を使用しています。そこでは輸入は引き算の対象であり、輸入金額が増えるとGDPが押し下げられる効果につながります。
これはあくまでも見かけ上の計算であり、必ずしも経済が弱体化していることを意味しません。しかしGDPの数字そのものは弱々しく映るし、円安による輸入品価格の高騰はインフレ助長要因です。「インフレ昂進+通貨安」という組み合わせは、歴史的にはトルコやアルゼンチンなどの経済がダメな国を連想させやすいです。すると(日本も発展途上国型の「悪い通貨安」の国の仲間入りか?)と思われてしまうかもしれません。
その場合、スパイラル的な円安につながるリスクがあります。
なお日本株という観点からは円安局面では日経平均は上がりやすいので、円安は兜町では歓迎されると思います。また新NISAで今流行の全米株式とか全世界株式のような主に海外の投資先に投資している個人投資家もホクホクだと思うのです。
つまり日本株だろうが世界株だろうが、とにかく株式投資をしている人が勝ち、銀行預金をしている人はインフレがもたらす購買力の低下でじり貧になるという構図が浮かび上がってきます。
だからこそ、急激な円安局面では投資を真剣に検討しないといけないということです。
著者
広瀬 隆雄(ひろせたかお)
コンテクスチュアル・インベストメンツLLC マネージング・ディレクター
グローバル投資に精通している米国の投資顧問会社コンテクスチュアル・インベストメンツLLCでマネージング・ディレクターとして活躍中。
1982年 慶応大学法学部政治学科卒業。 三洋証券、SGウォーバーグ証券(現UBS証券)を経て、2003年からハンブレクト&クィスト証券(現JPモルガン証券)に在籍。