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米国株は買い場を提供している
米国株は買い場を提供している
2024/4/23
4月に入って4月19日(金)の大引けまでの間に米国を代表する株価指数であるS&P500指数は−5.46%下落しました。
その主な原因は中東における地政学リスクです。4月1日にイランのイスラム革命防衛隊コッズ軍のモハンマド・レザ・ザヘディ将軍がシリアのダマスカスにあるイラン領事館に対するミサイル攻撃で死亡したことは「大使館などを標的にしてはいけない」という国際外交上のエチケットを無視する野蛮な行為で、イランを激怒させました。
それに対する報復として4月13日、イランはイスラエルに対し沢山のドローン、弾道ミサイル、巡行ミサイルを放ち、反撃しました。そしてそれに対してイスラエルはイスファハーンにあるイランの軍事施設に対して報復攻撃をしました。これらの攻撃はいずれも殆どダメージを与えませんでしたが、緊張が高まっている事実には変わりはありません。
それに加えて米国連邦準備制度理事会(FRB)の高官は最近の強い経済統計を見て利下げのタイミングに関して「もっと後になるだろう」という発言をしており、金利面での援護射撃も無いことが明らかになりました。
企業業績に目を転じると2024年第1四半期の決算発表シーズンが始まっており、いまのところ特に異変は感じられません。
これまでにS&P500指数採用銘柄の14%が決算発表を済ませ、そのうちの74%がEPS面でコンセンサス予想を上回りました。これは過去10年間の平均と一致しています。なお今後の業績見通しに関しては二つの大型製薬会社が相次いでM&Aを発表、暖簾代償却コストなどの要因でそれら企業の今後の予想利益が下がりました。これは買収に絡む一時的な要因なので無視すべきだと思います。
S&P500指数のコンセンサスEPS予想は去年から今年にかけてが+10%、今年から来年にかけてが13.9%成長となっており全体としては業績は良い感じで伸びると予想されています。
向こう12か月の予想EPSに基づくとS&P500指数は19.9倍の株価収益率(PER)で取引されており、これも経済好調、企業業績好調な局面での米国株のバリュエーションとしては無理のない水準です。
以上のようなことを考え合わせると、地政学リスクに過剰反応している今のマーケットは買い場であると考えます。
著者
広瀬 隆雄(ひろせたかお)
コンテクスチュアル・インベストメンツLLC マネージング・ディレクター
グローバル投資に精通している米国の投資顧問会社コンテクスチュアル・インベストメンツLLCでマネージング・ディレクターとして活躍中。
1982年 慶応大学法学部政治学科卒業。 三洋証券、SGウォーバーグ証券(現UBS証券)を経て、2003年からハンブレクト&クィスト証券(現JPモルガン証券)に在籍。