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良い決算を買う
良い決算を買う
2024/5/10
私は折に触れて「良い決算」を出している銘柄を買うことの重要性を説いてきました。
「良い決算」とは;
EPSで事前コンセンサス予想を上回る
売上高で事前コンセンサス予想を上回る
ガイダンスが事前コンセンサス予想を上回る
という三拍子揃った決算を指します。
EPSは1株当たり利益を指します。ガイダンスとは会社側、もっと突き詰めて言えば財務部長が考える、次の四半期、並びに今年通年のEPSと売上高の予想を指します。
米国の上場企業は1年間に4回決算を発表します。言い直せば3ヶ月に1回、決算発表があるわけです。今米国を代表する株価指数であるS&P500指数に採用されている銘柄のうちEPSで予想をクリアする企業が77%、売上高で予想をクリアする企業が60%ですからガイダンスも含めると全ての面で予想をクリアする企業の比率は50%を下回ると考えるのが自然です。
さらに1年に4回、それを繰り返さないといけません。すると1年を通じて一度も株主を落胆させない、しっかりとした企業というのは数が限られてくるわけです。
なお決算発表でEPSをコンセンサス予想と比較する場合は必ずオペレーティングEPSを使用してください。それは決算リリースで最初に目に飛び込んでくるリポーテッドEPSとは違います。
オペレーティングEPSとは一時的な特別損益や非継続事業の影響を除外し、本業の収益力を表す数字を指します。会社によっては決算リリースの中でちゃんとオペレーティングEPSを開示している親切なところもありますが、それが開示されてない場合、手計算でそれを求める必要が出ます。
個人投資家がそれを計算する場合はまずリポーテッド(会計原則ベース)の純利益を確認し、次に損益計算書(P&L)からリストラ費用、減損損失、その他の一時要因を取り除き、それを発行済み株式数で割算すれば求めることが出来ます。
幸い最近は個人投資家のSNSでの発信でもちゃんとオペレーティングEPSを使って決算記事を書く発信者が増えています。最初のうちはハードルが高くても、そのような人たちのコメントを読むことによってだんだん自分でもオペレーティングEPSを見抜く目が肥えてくるわけです。
良い決算を出したにもかかわらずその後売られた場合、慌てず、しばらく様子を見ることをおすすめします。十中八九元に戻ってくるでしょう。そして長期では一段高する場合が多いです。
逆に悪い決算を出した株は処分すべきと思います。なぜなら悪い決算はクセになるからです。これをどのくらいきちんと励行できるかであなたのポートフォリオのパフォーマンスは決まってきます。
著者
広瀬 隆雄(ひろせたかお)
コンテクスチュアル・インベストメンツLLC マネージング・ディレクター
グローバル投資に精通している米国の投資顧問会社コンテクスチュアル・インベストメンツLLCでマネージング・ディレクターとして活躍中。
1982年 慶応大学法学部政治学科卒業。 三洋証券、SGウォーバーグ証券(現UBS証券)を経て、2003年からハンブレクト&クィスト証券(現JPモルガン証券)に在籍。