|
7〜9月期決算は10月中に「大勢」が判明
|
米国株式市場で、2014年7〜9月期の決算発表が始まりました。米主要企業で構成される株価指数「S&P500」採用銘柄のうち、全体の約87%(社数ベース・時価総額ベースでは94%)が、7〜9月期をひとつの四半期としていますので、主力企業はほとんどこの時期に決算発表を行うと考えてよさそうです。
図1は、「S&P500」に採用され、7〜9月期決算を発表する企業の決算スケジュールを週別に集計したものです。10月中には社数ベースで79%、時価総額ベースでは87%の企業が決算発表を終了します。特に10月20日(月)〜24日(金)の週は、社数ベースでも、時価総額ベースでも、決算発表が最大の「集中週」であり、投資家は決算発表から目を離せない日々が続くことになります。
図1:米決算発表(14年7〜9月期)発表週別構成比(%)
- ※BloombergデータをもとにSBI証券が作成。
|
売上・純利益を市場コンセンサスと比較
|
米国企業の決算発表では、どんな点に注意すべきでしょうか。特に重要な点は以下の通りです。
(1)四半期の売上高、純利益・一株利益(特別項目を除くベース)などが、市場予想や会社ガイダンスを上回っているか否か。
(2)今後の売上高、純利益・一株利益(同上)ガイダンスが市場予想を上回っているか。
米株式市場の決算ニュース等では、上記の2点を中心に解説されることが多くなっています。市場コンセンサスに比べて強いか否かが注目されるという点では日本市場と同じですが、一株利益やそれを計算するベースとなる純利益の強弱が話題の中心になりやすくなっているのが特徴です。さらに、この純利益は、減損やリストラ費用などの一時費用を除いた実質ベースが公表され、投資判断の材料にされています。
企業にとり、売上高が増えているか否かは、本業の業績トレンドを分析する上で非常に重要とみられますが、日本などでは、それ以上に利益の推移が注目されているようにみられます。しかし米国では、売上高の増減も決算発表の中心的な話題として取り扱われており、注目は怠れません。
表1は、S&P500採用企業の時価総額上位企業及び投資家の関心の強い主力企業の決算発表予定日、市場の業績予想を表にしたものです。このうち、グーグルやアップルの決算などは、市場全般にも大きな影響を与えることがありますので、すでにこれらの銘柄を保有している投資家でない方でも「重要日程」として、注目されると良いと思います。
表1:主力企業の決算発表予定日と業績予想
ティッカー |
社名 |
発表日 |
増収率 |
純利益 |
増益率 |
JNJ |
ジョンソン & ジョンソン |
10/14 |
4.4% |
4,110 |
37.8% |
WFC |
ウェルズ ファーゴ |
10/14 |
3.1% |
5,434 |
-4.4% |
JPM |
JPモルガン チェース |
10/14 |
5.2% |
5,453 |
※5,833.4 |
BAC |
バンク オブ アメリカ |
10/15 |
-1.0% |
3,712 |
48.7% |
GOOG |
グーグル C |
10/16 |
-11.3% |
4,493 |
52.0% |
GE |
ゼネラル エレクトリック |
10/17 |
4.6% |
3,809 |
16.7% |
AAPL |
アップル |
10/20 |
6.0% |
7,795 |
3.8% |
IBM |
IBM |
10/20 |
-1.3% |
4,302 |
6.4% |
VZ |
ベライゾン コミュニケーションズ |
10/21 |
4.2% |
3,846 |
-31.1% |
KO |
コカ-コーラ |
10/21 |
1.0% |
2,341 |
-4.3% |
T |
AT&T |
10/22 |
4.0% |
3,389 |
-13.2% |
MSFT |
マイクロソフト |
10/23 |
18.7% |
4,278 |
-18.4% |
PG |
プロクター & ギャンブル |
10/24 |
-1.6% |
3,104 |
1.5% |
TWTR |
ツイッター |
10/27 |
107.5% |
7 |
※71.1 |
FB |
フェイスブック A |
10/28 |
54.1% |
1,070 |
151.7% |
PFE |
ファイザー |
10/28 |
-2.9% |
3,559 |
37.5% |
XOM |
エクソン モービル |
10/31 |
8.0% |
7,716 |
-4.4% |
BRKB |
バークシャー ハサウェイ B |
10/31 |
10.4% |
5,544 |
7.6% |
CVX |
シェブロン |
10/31 |
6.4% |
5,111 |
2.3% |
- ※BloombergデータをもとにSBI証券が作成。増収率(前年比・%)、純利益(百万ドル)、増益率(純利益の前年比増減率・%)
- ※ともに2014年7〜9月期の市場コンセンサス(予想)。なお、※は前年比改善額(百万ドル)
|
市場はどんな企業の成長を予想しているのか?
|
2014年7〜9月期の決算発表では、どんな企業が注目されるのでしょうか。最後にご参考となるひとつの見方をご紹介します。表2にご紹介したのは、年間の予想一株利益(EPS)[市場コンセンサス)]の4週前変化率が高い「主力企業」です。すなわち、S&P500採用企業の時価総額上位100社の予想EPSについて、アナリストによる4週前の予想から大きく上昇している銘柄(アナリストの評価が過去4週間で大きく上昇した銘柄)を掲載しています。
例えばEコマース大手アマゾン(AMZN)もその1社です。同社の2014年・実質予想EPS(一株利益)は2.70ドルですが、これは4週間前に比べ、11.5%上昇していることを示しています。表2にあるように、市場ではこの他に、ボーイングやインテルの見通しも引き上げています。さて、実際の決算発表はどうなるでしょうか。
表2:主力企業で予想EPS(一株利益)の上昇率(4週)が上位の企業
- ※BloombergデータをもとにSBI証券が作成。「S&P500」採用銘柄の時価総額上位100
- ※銘柄で、予想EPSの4週前増加率が大きい順に掲載。表中の「EPS」はBloombergベースの市場コンセンサス予想。
- ※上記実績は過去のものであり、将来の運用成果等を保証するものではありません。
- ※本ページでご紹介する個別銘柄及び各情報は、投資の勧誘や個別銘柄の売買を推奨するものではありません。
特集レポート一覧へ戻る