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米4-6月期決算で注目!世界シェアトップの中型5銘柄!!

2016/08/10
投資調査部 榮 聡

今回は米上場企業の中から4-6月期決算の好調で注目できる中型銘柄をご紹介いたします。全銘柄とも各分野の世界シェアトップに位置し、中長期でも成長が期待される企業群として注目できるでしょう。

図表1:注目銘柄リスト

銘柄 企業概要 株価 (8/8) 52週高値 52週安値
エドワーズライフサイエンス(EW) 人工心臓弁の世界トップ 112.40ドル 117.46ドル 62.53ドル
ザイリンクス(XLNX) プログラム可能な半導体で世界トップ 51.57ドル 51.57ドル 38.70ドル
インテューイティブ サージカル(ISRG) 手術支援ロボットで世界トップ 692.84ドル 720.01ドル 447.00ドル
ウォーターズ(WAT) 液体クロマトグラフィーで世界トップ 157.39ドル 161.22ドル 112.00ドル
LKQ(LKQ) 自動車部品卸(中古)の世界最大手 34.92ドル 35.29ドル 23.95ドル
  • ※BloombergデータをもとにSBI証券が作成
1

決算好調の中型銘柄を抽出

米国株式市場はNYダウ、ナスダック指数、S&P500指数とも最高値圏にありますが、適度な高値警戒もあって(例えば、ゴールドマンサックスは株式に弱気)、市場が過度の楽観に傾いているというわけではなく、意外に安定しているようです。個別株への投資には良い投資環境にあると言えそうです。

米国企業の4-6月期決算は8/5(金)時点でS&P500指数採用銘柄のうち433社が発表を終え、終盤に差し掛かっています。今回の決算発表が始まって以来、主力銘柄については以下のレポートで注目銘柄をご紹介してきました。

8/3特集レポート「年後半の主役を期待!フェイスブック、グーグル、アマゾン!?」

7/27特集レポート「底入れが見えてきた米4-6月期決算!注目銘柄はコレ!?」

今回はこれらの超大型および大型銘柄を除いたS&P500指数の中型銘柄から、業績好調で注目できる銘柄を探ってみました。以下の条件でスクリーニングを行っています。

【スクリーニング条件】
(1)S&P500指数採用銘柄で時価総額が300億ドル以下(8/5時点で347銘柄が該当)。
(2)4-6月期決算で売上が前年同期比3%増以上、EPSが同10%増以上で、売上・EPSとも市場予想を上回った。
(3)今期・来期ともEPSの増加が予想されている。
(4)過去3ヵ月のEPS修正率がプラス。

この条件で抽出された銘柄を、過去3ヵ月のEPS修正率が高い順に15銘柄をリストアップしています(図表2)。

ここから業績動向とともに事業内容等を総合的に勘案して、赤字でハイライトした5銘柄を選んでご紹介いたします。結果的に全ての銘柄が各分野で世界トップシェアを有する企業となりました。グローバルに注目が集まりやすい、米国を代表する中型銘柄であると言えるでしょう。

尚、リスト筆頭のニューモントマイニングは7/27掲載のレポートでご紹介していますので、そちらをご参照ください。

図表2:4-6月期決算が好調な中型銘柄群

銘柄名

予想
PER
(倍)

予想
EPS
(今期)

予想
EPS
(来期)

4-6月期
売上高
増加率

4-6月期
EPS
増加率

4-6月期
売上高
乖離率

4-6月期
EPS
乖離率

ニューモント マイニング(NEM)

6.8%

69.2%

6.7%

52.7%

38.7

74.7

10.0

エドワーズライフサイエンス(EW)

23.1%

34.5%

5.0%

8.8%

4.4

25.7

18.2

センティーン(CNC)

97.9%

51.6%

0.8%

1.5%

4.0

43.9

12.0

ザイリンクス(XLNX)

4.7%

11.4%

0.7%

10.1%

3.3

8.4

7.2

インテューイティブ サージカル(ISRG)

14.3%

23.0%

4.6%

12.8%

3.2

10.2

14.3

ウォーターズ(WAT)

8.5%

19.7%

2.5%

9.2%

3.2

11.3

8.7

LKQ(LKQ)

33.3%

41.0%

1.6%

14.4%

3.1

29.2

14.2

エキファックス(EFX)

19.6%

24.4%

1.1%

5.3%

3.0

19.2

11.1

マスコ コーポレーション(MAS)

3.7%

21.1%

0.2%

8.0%

3.0

31.3

22.6

イートレード ファイナンシャル(ETFC)

6.5%

73.2%

0.8%

26.5%

2.9

44.7

3.0

ラムリサーチ(LRCX)

4.4%

20.0%

1.0%

9.4%

2.6

9.7

6.4

ホロジック(HOLX)

3.4%

18.6%

2.0%

7.0%

2.0

16.1

9.6

パルト グループ(PHM)

40.6%

60.9%

9.2%

14.6%

1.9

28.0

30.7

シティズンズ ファイナンシャル グループ(CFG)

6.5%

15.0%

1.2%

5.8%

1.8

14.3

11.4

シトリックス システムズ(CTXS)

5.8%

20.0%

3.2%

5.1%

1.5

16.5

8.4

  • 注:データは8/5時点です。
  • ※BloombergデータをもとにSBI証券が作成
2

注目銘柄のご紹介

業種:医療機器

決算期

売上高(億ドル)

(前年比)

純利益(億ドル)

(前年比)

EPS(ドル)

16.12予

30.0

20%

6.25

25%

2.88

17.12予

33.5

12%

7.35

17%

3.40

株価(8/8):112.40ドル

予想PER(16.12期): 39.0倍

  • 世界的な心疾患治療用医療機器メーカーです。1961年に世界で初めて心臓弁膜症治療に使用される人工心臓弁の製品化に成功し、同分野で世界首位です。また、カテーテルを挿入して人工弁を留置する技術を世界に先駆けて開発、07年に欧州で、11年に米国で、13年には日本での製造販売承認を得ています。
  • 4-6月期決算は、売上が23%増、税前利益が19%増と好調です。製品別には、THVT(経カテーテル心臓弁術)に使用される製品(売上構成55%)が49%増、開胸による心臓弁手術に使用される製品(同26%)が3%減、血行動態モニタリング製品など(同19%)が8%増でした。上半期の好調を受けて、通期ガイダンスは売上で27-30億ドルのレンジの上限に近いほう、EPSは2.78-2.88ドルに引き上げられました。
  • 同社CEOは決算リリースで「手術実績が積み上がってきたことで、患者や医師がTAVR(経カテーテル的大動脈弁置換術)をますます選好するようになり、カテーテル製品の長期見通しについてかつてないほど楽観的である。」とコメントしています。尚、同社製品が実際どのように使われているかは、「新しいウィンドウで開きます。慶應義塾大学病院 心臓血管低侵襲治療センターのホームページ」に詳しく解説されています。

業種:半導体

決算期

売上高(億ドル)

(前年比)

純利益(億ドル)

(前年比)

EPS(ドル)

17.3予

23.4

6%

5.92

7%

2.22

18.3予

24.8

6%

6.33

7%

2.38

株価(8/8):51.57ドル

予想PER(17.3期): 23.2倍

  • 手術支援ロボットメーカーで、外科手術システムの「ダ・ヴィンチ」で知られます。元々戦場での遠隔手術を視野に陸軍の支援で開発されたシステムで、その後民間転用されて「ダ・ヴィンチ」として99年に上市、15年までに3,597台が全世界の病院に設置されています。医師は数ヵ所の小さな切開部から、繊細で複雑な低侵襲手術を実施することができます。
  • 4-6月期決算は、売上が前年同期比5%増、営業利益が同4%増、EPSが同11%増と堅調です。設計線幅が20ナノメートル、16ナノメートルの製品が好調で、同社の定義による「先端製品」(売上構成比42%)は60%増加しています。「コア製品」は16%減となっています。産業分野別には、売上の4割弱を占める通信およびデータセンター向けが22%増となって売上を牽引しています。
  • 市場全般に半導体銘柄への物色が続いており、同社は質の高い会社で業績堅調でもあり、その流れに乗ることが期待できるでしょう。

業種:医療機器

決算期

売上高(億ドル)

(前年比)

純利益(億ドル)

(前年比)

EPS(ドル)

16.12予

26.4

11%

8.23

38%

21.25

17.12予

29.1

10%

9.07

10%

24.29

株価(8/8):692.84ドル

予想PER(16.12期): 32.6倍

  • 手術ロボットメーカーで、外科手術システムの「ダ・ヴィンチ」で知られます。元々戦場での遠隔手術を視野に陸軍の支援で開発されたシステムで、その後民間転用されて「ダ・ヴィンチ」として99年に上市、15年までに3,597台が全世界の病院に設置されています。医師は数ヵ所の小さな切開部から、繊細で複雑な低侵襲手術を実施することができます。
  • 4-6月期決算は売上が前年同期比14%増、営業利益が同41%増と好調でした。「ダ・ヴィンチ」のシステム(売上構成比30%)が15%増、機器・アクセサリー(同51%)が14%増、サービス(同19%)が13%増とバランス良く伸びています。
  • 当社の予想PERは16年12月期ベースで33倍と高いものの、世界の手術支援ロボット市場を席巻していることが要因と考えられます。競合社が出る可能性がある日本でも、手術支援ロボットと言えば「ダ・ヴィンチ」という状況が続いています。業績の拡大に沿った株価の上昇が期待できるでしょう。

業種:精密機器

決算期

売上高(億ドル)

(前年比)

純利益(億ドル)

(前年比)

EPS(ドル)

16.12予

21.8

7%

5.18

10%

6.56

17.12予

22.9

5%

5.56

7%

7.13

株価(8/8):157.39ドル

予想PER(16.12期): 24.0倍

  • 分析器の大手で、超高速高分離液体クロマトグラフィー、高速液体クロマトグラフィー、質量分析システム、熱分析装置、およびレオメトリー装置などの設計、製造、販売、およびサービスを行います。主力の液体クロマトグラフィーでは世界トップです。同社製品は製薬・化学・食品産業、大学・政府等研究機関などで使用され、売上の約7割が米国外です。
  • 4-6月期決算は、売上が8%増、営業利益が16%増で、市場予想も上回り好調でした。製薬企業向けが12%増と伸びたほか、産業向けも7%増と堅調でした。機器売上(売上構成比は51%)が7%伸び、サービス・消耗品などの経常収入(同49%)が11%伸びています。1-3月期売上の5%増から加速しており、地域では欧米、製薬、その他産業向けとも伸びが加速しており、全般的な産業景気の改善が反映されていると見られます。
  • 質の高い企業だけにPERは低くないものの、安定成長を見込め長期投資に適した銘柄と考えられます。また、今後産業景気が回復する場合に、恩恵を受けると期待されます。

業種:自動車部品

決算期

売上高(億ドル)

(前年比)

純利益(億ドル)

(前年比)

EPS(ドル)

16.12予

91.9

28%

5.86

36%

1.83

17.12予

103.2

12%

6.46

10%

2.09

株価(8/8):34.92ドル

予想PER(16.12期): 19.1倍

  • 自動車修理部品(バンパーや機械部品)で、純正品以外のオルタナティブ部品(アフターマーケット品、純正品のリサイクル品、再生部品からなる)の供給を主力とする会社です。1998年にフロリダ、ミシガン、オハイオ、ウィスコンシンの同業者が集まって創業し、その後220件の企業買収を重ねて欧州にも展開して現在に至ります。
  • 主力の一つである衝突緩衝部品(バンパーなど)の市場では、自動車メーカーの純正品が64%を占め、残りの36%が同社が対象とする市場です。2010年から2015年にかけて純正品の市場が10%伸びたのに対して、オルタナティブ部品は33%伸び、平均よりも高い成長市場にポジションしていると言えます。4−6月期決算は買収効果もあって33%増収、41%増益と好調でした。
  • 地域的に細分化された市場で買収を行うことにより規模のメリットやシナジーを出していく事業戦略は様々な分野で優良企業を生んでおり(例えば、食品のネスレや給食の英コンパス)、同社も長期にわたり着実な成長を遂げる可能性があり注目されます。
  • ※会社資料、BloombergデータをもとにSBI証券が作成

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