今回は株価10倍銘柄、いわゆる「テンバガー(Ten-Bagger)」について考えてみました。過去5年間の株価騰落率を調べたところ、当社取扱の1,300社で2銘柄が該当しました(銘柄は本文をご参照ください)。さらに、今後の株価10倍銘柄を求めて、長期安定的に株価が上昇している銘柄から注目できるものをピックアップ、株価上昇の背景を確認して今後に期待できそうなものを探っています。
図表1:注目銘柄リスト
銘柄 | 株価 (12/6) | 52週高値 | 52週安値 |
---|---|---|---|
エヌビディア(NVDA) | 93.39ドル | 95.24ドル | 24.75ドル |
ドミノ ピザ(DPZ) | 169.09ドル | 172.62ドル | 101.01ドル |
アルタ サロン コスメ & フレグランス(ULTA) | 254.22ドル | 278.62ドル | 146.77ドル |
ケマーズ(CC) | 26.05ドル | 26.00ドル | 3.06ドル |
エリー メイ(ELLI) | 83.78ドル | 109.98ドル | 57.88ドル |
- ※BloombergデータをもとにSBI証券が作成
過去5年、3年、年初来の株価動向から注目できる銘柄は? |
株価が10倍になった銘柄のことを英語で「テンバガー(Ten-Bagger)」と呼びます。70〜80年代に活躍した伝説のファンド・マネージャー、ピーター・リンチ氏が使って広まったと言われています。野球のベースのことを口語で「Bag」と言うことがあり、元をたどると「10塁打」という意味だったようです。
株式投資をしている方にとって10倍株に出会うのは夢ですし、キャリアの長い方は既に何度も巡りあったという方もいらっしゃるかもしれません。今回は米国株でそのような可能性のある銘柄を探してみました。
まず、過去5年間で株価10倍株があったかどうかを調べてみました。当社取り扱いの米国株1,300社で検証したところ、過去5年間(11年末から16年12月2日までの約4年11ヵ月)で、14.2倍のエリーメイ(ELLI)と11.8倍のネットフリックス(NFLX)の2銘柄が該当しました。
エリーメイ(ELLI)は住宅ローンの組成や審査事務作業を効率化できるソフトウェアを提供している企業で、ネットフリックス(NFLX)はインターネットで映画・ドラマなどの映像コンテンツをオンデマンドで配信する事業をグローバルに展開しています。
既に株価が10倍になっていますが、両社ともまだまだ成長は継続しているため、引き続き注目できるでしょう。ネットフリックスは有名ですがエリーメイは知られていないと思われるため、今回注目銘柄としてもご紹介しています。
では、今後株価が10倍になる銘柄を探すにはどうしたらよいでしょうか?
たまたま調べた銘柄の事業内容が凄かったという幸運な場合を除くと、
(1)長期で安定して株価が上昇基調にある銘柄を見つけて、
(2)その上昇トレンドの背景を探り、それが今後も続きそうか検討してみる、
というのが最もオーソドックスな方法でしょう。
そこで、過去5年の株価騰落率上位20社を図表2にリストアップしています。また、同様に過去3年、年初来の株価騰落率ランキングから、過去5年のリストに入っていないもので、株価が安定的に上昇していると判断した銘柄も加えています。
赤字でハイライトしたものが、株価動向から注目できると筆者が判断した銘柄です。これら銘柄の事業内容と株価上昇の背景と考えられる要因を図表3に示しています。これらの銘柄は、個々の事業内容にあたって調べてみる価値のある会社と思われます。
尚、図表3にピックアップしなかった銘柄には、ここ1年余り株価トレンドが不調の医薬品セクターの銘柄が多く含まれます。世界的な医薬品価格抑制の動きが影響していると見られますが、マクロ要因をはねのけるような強いトレンドを持っている企業もあると見られ、中身をチェックする価値は大いにあると考えられます。これは、また、次の機会にしたいと思います。
今回はピックアップした銘柄から注目銘柄として、人工知能(AI)関連の大本命と目されているエヌビディア(NVDA)、グローバル市場で着実な成長を遂げているドミノピザ(DPZ)、米国小売セクターの代表的な成長企業と目されているアルタ サロン コスメ & フレグランス(ULTA)、 15年7月にデュポンから分離した化学メーカーで規制対象物質となった「代替フロン」の代替が成長要因となるケマーズ(CC)、過去5年で「テンバガー」となり、当社取り扱い米国株で最も上昇率が大きかったエリー メイ(ELLI)をご紹介いたします。
図表2:株価騰落率の上位(5年、3年、年初来)
- 注:16年末は12/2です。過去5年は11年末〜16/12/2、過去3年は13年末〜16/12/2、年初来は15年末〜16/12/2によります。NXPセミコンダクターズは、買収提案があったため、ハイライトから除いています。上記の株価騰落率等のデータは過去の実績であり、将来の運用成果を保証または示唆するものではありません。
- ※BloombergデータをもとにSBI証券が作成
図表3:株価好調企業の事業内容と株価上昇要因
- ※各種資料をもとにSBI証券が作成
注目銘柄のご紹介 |
業種:半導体 |
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決算期 |
売上高(億ドル) |
(前年比) |
純利益(億ドル) |
(前年比) |
EPS(ドル) |
17.1予 |
68.1 |
36% |
17.1 |
119% |
2.82 |
18.1予 |
77.8 |
14% |
18.0 |
5% |
3.08 |
株価(12/6): 93.39ドル |
予想PER(18.1期): 30.3倍 |
||||
|
業種:レストラン |
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---|---|---|---|---|---|
決算期 |
売上高(億ドル) |
(前年比) |
純利益(億ドル) |
(前年比) |
EPS(ドル) |
16.12予 |
24.4 |
10% |
2.12 |
8% |
4.25 |
17.12予 |
26.7 |
10% |
2.48 |
17% |
5.15 |
株価(12/6): 169.09ドル |
予想PER(17.12期): 32.8倍 |
||||
|
業種:小売 |
|||||
---|---|---|---|---|---|
決算期 |
売上高(億ドル) |
(前年比) |
純利益(億ドル) |
(前年比) |
EPS(ドル) |
17.1予 |
48.1 |
23% |
4.03 |
25% |
6.41 |
18.1予 |
57.0 |
18% |
4.97 |
23% |
7.99 |
株価(12/6): 254.22ドル |
予想PER(18.1期): 31.8 |
||||
|
業種:化学 |
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---|---|---|---|---|---|
決算期 |
売上高(億ドル) |
(前年比) |
純利益(億ドル) |
(前年比) |
EPS(ドル) |
16.12予 |
53.4 |
-7% |
2.21 |
52% |
1.21 |
17.12予 |
53.6 |
0% |
3.46 |
57% |
1.81 |
株価(12/6): 26.05ドル |
予想PER(17.12期): 14.4倍 |
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|
業種:ソフトウェア |
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決算期 |
売上高(百万ドル) |
(前年比) |
純利益(百万ドル) |
(前年比) |
EPS(ドル) |
16.12予 |
354 |
39% |
72.1 |
219% |
2.19 |
17.12予 |
436 |
23% |
86.7 |
20% |
2.39 |
株価(12/6): 83.78ドル |
予想PER(17.12期): 35.1倍 |
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- ※会社資料、BloombergデータをもとにSBI証券が作成
- ※本ページでご紹介する個別銘柄及び各情報は、投資の勧誘や個別銘柄の売買を推奨するものではありません。