2/8(水)に外国株式特集レポート「半導体の大相場がくる!?」を掲載しましたが、業界の先行きを占う上で重要と考えられる半導体製造装置の世界最大手アプライドマテリアルズ(AMAT)が16年11月-17年1月期決算を発表していますので、概要をご報告いたします。
◯アプライドマテリアルズの決算(2/15(水)引け後発表)
11-1月期実績の売上、EPSはほぼ市場予想に沿うものでしたが、同期の受注高は市場予想の21%上、2-4月期ガイダンスは売上(レンジ中央値)が同じく8%上、EPS(レンジ中央値)が同じく21%上と先行きの指標はいずれも市場予想を大きく上回って好調です。半導体業界のモメンタムは依然として加速しつつあると考えられ、引き続き注目できるでしょう。
【11-1月期実績】
・売上高 32.8億ドル(前年同期比45%増) 市場予想 32.6億ドル
・EPS 0.67ドル(同2.6倍) 市場予想 0.66ドル
・受注高 42.4億ドル(同86%増) 市場予想 35億ドル
【2-4月期ガイダンス】
・売上高 34.5-36.0億ドル(前年同期比41-47%増) 市場予想 32.6億ドル
・EPS 0.72-0.80ドル(同2.5-2.8倍) 市場予想 0.63ドル
決算リリースでCEOは、「第1四半期における利益と受注高の新記録を達成し、2017年はアプライドマテリアルズにとってすばらしい年になりそうだ。産業の変節点に集中して技術革新を提供する戦略が好結果をもたらしており、今後の持続的な成長に自信を深めている。」としています。決算説明会では、同社の好業績の背景として「5つの複数年にわたる変節点(inflections)」をあげています。
1. ファウンドリーおよびロジック半導体分野での10ナノメートル、7ナノメートル技術採用に伴う投資で、その背景には、携帯機器、4Kビデオ、人工知能、自動運転車向けの需要増がある。
2. 3次元NANDの立ち上り。NANDメモリのビッド需要は16年に45%増加したが、17年も同様の増加が見込まれる。
3. 半導体の微細化の一つの手法で、同社が得意とする「パターニング」の高成長。
4. ディスプレイの分野では、60インチ以上の大型テレビの市場が拡大しているほか、次世代ディスプレイのリーダーシップを巡る競争を背景に有機EL製造装置への需要が広がっている。
5. 中国における半導体産業への投資増加。
2/15(水)の株価は決算発表前の通常取引で0.7%上昇、発表後の時間外で0.5%上昇していますが、意外に大きな反応にはなっていません。17年10月期予想EPS(2.44ドル)を基準とする予想PERは14.6倍で、買い余地があるのではないでしょうか。
◯前回レポートで取り上げた注目銘柄
2/8掲載の外国株特集レポート「半導体の大相場がくる!?」で取り上げた注目銘柄リストです。
アプライド マテリアルズ(AMAT)・・・世界最大の半導体製造装置メーカーで、半導体、フラットパネルディスプレイ向けを手がけます。半導体市場の売上回復に加え中国の国策による半導体産業立ち上げからも恩恵を受けるため、売上拡大の確度が高いと考えられます。
テキサス インスツルメンツ(TXN)・・・アナログ半導体で世界シェア1位のほか、マイコン、コネクティビティ半導体も手がけるため「IoT(モノのインターネット)」との関連が深く、中期的な成長が期待されます。
ブロードコム(AVGO)・・・有線通信用半導体(セットトップボックス、ケーブルモデム向けなど)、無線通信用半導体(モデム、Bluetoothなどコネクティビティ、Wi-Fi向けなど)が主力事業です。通信分野の成長性は相対的に高く、業界平均を上回る成長が期待されます。
エヌビディア(NVDA)・・・画像処理に使われるグラフィック・プロセッサ(GPU)を得意とする半導体メーカーで、GPUの人工知能分野への応用が注目されています。
アドバンスト マイクロ デバイシズ(AMD)・・・PC、サーバー向けのインテル互換CPU、グラフィック・プロセッサ(GPU)、ゲームコンソール(プレイステーションとXbox)向けのシステムオンチップなどを手掛ける半導体メーカーで、CPUの新製品「ZEN」への期待が高まっています。
ヴァンエック ベクトル 半導体 ETF(SMH)・・・「マーケット・ベクトル米国上場半導体25インデックス」への連動を目指すETF(上場投資信託)です。
- ※本ページでご紹介する個別銘柄及び各情報は、投資の勧誘や個別銘柄の売買を推奨するものではありません。