米中摩擦の再燃で投資環境は一変、全般市場は調整局面にあります。しかし、個別に内容の良い銘柄は、こういうときこそ「仕込み時」を迎えるのではないでしょうか。そこで、1-3月期の決算が好調であった銘柄で、かつ、利益成長率が高い銘柄群をスクリーニングで抽出、注目銘柄としてご紹介いたします。
図表1:注目銘柄
銘柄 | 株価(5/14) | 52週高値 | 52週安値 |
---|---|---|---|
マーチン マリエッタ マテリアルズ(MLM) | 215.68ドル | 232.89ドル | 150.75ドル |
エスティ ローダー A(EL) | 167.00ドル | 180.20ドル | 121.47ドル |
ロッキード マーチン(LMT) | 336.17ドル | 351.35ドル | 241.18ドル |
モンスター ビバレッジ(MNST) | 62.35ドル | 66.38ドル | 47.61ドル |
チポトレ メキシカン グリル(CMG) | 703.18ドル | 721.42ドル | 383.20ドル |
- ※BloombergデータをもとにSBI証券が作成
S&P500指数採用企業の1-3月期決算は5/10(金)までに500社中450社が発表済みで、売上は前年同期比5.3%増、EPSは同0.5%減となっています(FactSetの集計で発表済みの決算と未発表分の予想を混合したもの)。
今回決算のポイントは、以下と考えられます。
【1】冴えない決算だが、発表前の予想からは上方修正で着地。
【2】様々な悪材料が重なって基調から下振れており、今後は回復見込み。
【3】通年の予想EPSには下げ止まりの兆しが見られる。
【1】については、決算発表前の4/5(金)にEPSは前年同期比4.2%減が予想されていたため、そこから3.7%ポイントの上方修正で着地しそうだということになります。冴えない決算ではありますが、市場にネガティブには作用しなかったと見られます。
【2】については、10-12月期のEPS増加率は17.1%でしたので急減速したことになります。
この要因として[1]減税による押し上げの剥落、[2]世界景気の鈍化、[3]ドル高による売上・利益の押し下げ、[4]前年同期の半導体産業が超繁忙期にあったこと、原油価格が高かったことの反動、などが考えられます。
景気の鈍化はEPSの伸びが減速した要因の一つですが、これ以外にも様々な一時的悪材料が重なって基調から下振れた利益と見られます。このため、四半期の利益は4-6月期から回復の見込みと予想されています(図表2)。
[3]、[4]の影響については、4-6月期から徐々に緩和に向かうことが見込まれます。一方、米中貿易摩擦が再燃するまでは[2]の要因についても下半期に向けて改善の見通しが織り込まれている可能性があります。これについては、再びデータで確認していく必要がでてきたと言えるでしょう。
なお、FactSet社が「内需系企業」と「外需系企業」の業績を集計したデータでは、「内需系企業」のEPSは前年同期比6.2%増となったのに対して「外需系企業」は同12.8%減となっています(図表3)。世界景気の減速とドル高の影響が業績低迷の主因となっていることがうかがえます。
【3】については、19年12月期の予想EPSも昨年10月以来一貫して下方修正が続いていましたが、ここ1ヵ月は168ポイント台で横ばい圏を維持しており、下げ止まる兆しが見られます。
図表2:S&P500指数の四半期EPSは回復基調と見込まれている
- ※FactSet社の公表資料をもとにSBI証券が作成
図表3:外需系企業と内需系企業の業績格差が歴然
- ※BloombergデータをもとにSBI証券が作成
1-3月期決算を受けての注目銘柄は、筆者が個別に決算をチェックした主要企業については、「アメリカNOW! 今週の5銘柄」の5/7(火)掲載分、5/13(月)掲載分でご紹介しています。
アマゾン ドットコム(AMZN)、マイクロソフト(MSFT)、ビザ A(V)、マクドナルド(MCD)、コカ-コーラ(KO)、ブッキング ホールディングス(BKNG)、メルク(MRK)になります。
5/5(日)にトランプ大統領が対中関税引き上げの意向を発表、実際に関税が引き上げられ、それまで想定されていた投資環境は一変しました。しかし、これらの銘柄は貿易摩擦の影響が比較的小さく、相場全体が調整する中で押し目買いを検討してよい銘柄群と考えられます。
また、本レポートではS&P500指数採用企業を対象に、1-3月期の好決算とともに利益成長率が高い銘柄を、以下の条件でスクリーニングしました。
(1)直近四半期決算の売上が前年同期比3%増以上、EPSが同10%以上
(2)直近四半期決算の売上が市場予想比プラス3%以上、EPSが同プラス10%以上
(3)予想EPSの修正率(過去3ヵ月)がプラス
(4)今期・来期の予想EPSの増加率が10%以上
これらの条件を満たす銘柄を図表4にリストアップしています。貿易摩擦が激化する可能性がある中、これを避けるためにも注目できる銘柄群と言えるのではないでしょうか。これら銘柄を次節でご紹介いたします。
図表4:1-3月期の好決算銘柄(S&P50指数構成銘柄が対象)
銘柄(コード) |
株価 |
予想 |
今期EPS |
来期EPS |
今期EPS |
目標株価 |
目標株価 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
マーチン マリエッタ マテリアルズ(MLM) |
215.87 |
23.5 |
21.0 |
16.5 |
1.8 |
235.9 |
9.3 |
エスティ ローダー A(EL) |
164.35 |
31.6 |
15.4 |
10.9 |
3.3 |
178.5 |
8.6 |
ロッキード マーチン(LMT) |
341.35 |
16.8 |
15.5 |
19.7 |
6.4 |
366.7 |
7.4 |
モンスター ビバレッジ(MNST) |
63.00 |
30.4 |
15.4 |
11.5 |
3.8 |
66.8 |
6.0 |
チポトレ メキシカン グリル(CMG) |
705.44 |
54.1 |
44.0 |
28.6 |
6.3 |
683.9 |
-3.1 |
- ※BloombergデータをもとにSBI証券が作成
業種: 建設資材 | |||||
---|---|---|---|---|---|
決算期 |
売上高(百万ドル) |
(前年比) |
純利益(百万ドル) |
(前年比) |
EPS(ドル) |
18.12 |
4,244 |
7% |
449 |
1% |
7.11 |
19.12予 |
4,506 |
6% |
576 |
28% |
9.20 |
20.12予 |
4,770 |
6% |
666 |
16% |
10.72 |
株価(5/13): 212.49ドル |
予想PER(19.12期): 23.0倍 |
||||
【建設骨材大手でインフラ投資拡大なら恩恵】
|
業種: トイレタリー用品 | |||||
---|---|---|---|---|---|
決算期 |
売上高(百万ドル) |
(前年比) |
純利益(百万ドル) |
(前年比) |
EPS(ドル) |
18.6 |
13,691 |
16% |
1,695 |
23% |
4.51 |
19.6予 |
14,764 |
8% |
1,922 |
13% |
5.21 |
20.6予 |
15,769 |
7% |
2,102 |
9% |
5.77 |
株価(5/13): 165.10ドル |
予想PER(20.6期): 28.6倍 |
||||
【スキンケアとアジアで成長】
|
業種: 航空宇宙&防衛 | |||||
---|---|---|---|---|---|
決算期 |
売上高(百万ドル) |
(前年比) |
純利益(百万ドル) |
(前年比) |
EPS(ドル) |
18.12 |
53,762 |
8% |
5,205.0 |
37% |
18.14 |
19.12予 |
57,621 |
7% |
5,788.3 |
11% |
20.31 |
20.12予 |
60,992 |
6% |
6,847.2 |
18% |
24.31 |
株価(5/13): 335.37ドル |
予想PER(19.12期): 16.5倍 |
||||
【戦闘機、ミサイルが好調で業績見通しを引き上げ】
|
業種: 飲料 | |||||
---|---|---|---|---|---|
決算期 |
売上高(百万ドル) |
(前年比) |
純利益(百万ドル) |
(前年比) |
EPS(ドル) |
18.12 |
3,807 |
13% |
1,013 |
31% |
1.80 |
19.12予 |
4,210 |
11% |
1,131 |
12% |
2.07 |
20.12予 |
4,610 |
10% |
1,232 |
9% |
2.31 |
株価(5/13): 62.34ドル |
予想PER(19.12期): 30.1倍 |
||||
【コカ-コーラのエナジードリンクパートナーとして成長が期待される】
|
業種: レストラン&バー | |||||
---|---|---|---|---|---|
決算期 |
売上高(百万ドル) |
(前年比) |
純利益(百万ドル) |
(前年比) |
EPS(ドル) |
18.12 |
4,865 |
9% |
253 |
42% |
9.06 |
19.12予 |
5,420 |
11% |
363 |
43% |
13.05 |
20.12予 |
6,032 |
11% |
463 |
28% |
16.78 |
株価(5/13): 687.27ドル |
予想PER(19.12期): 52.7倍 |
||||
【不祥事からの業績回復が続く見通し】
|
- ※本ページでご紹介する個別銘柄及び各情報は、投資の勧誘や個別銘柄の売買を推奨するものではありません。