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新型コロナウイルスの「明」と「暗」

2020/3/25
投資情報部 榮 聡

米国株式市場で新型コロナウイルスの影響を受けて需要拡大が期待されて買われている銘柄、反対に打撃を受けて株価が急落している銘柄をまとめました。感染拡大が深刻化する場合には、前者が買われ、後者が売られると期待される一方、新型コロナウイルスが主導した相場も終盤を迎えている可能性もあり、「リターン・リバーサル」の局面でもご参考としていただけるでしょう。

図表1:言及した主な銘柄

銘柄 株価(3/24) 52週高値 52週安値
ズーム ビデオ コミュニケーションズ(ZM) 135.18ドル 164.94ドル 59.94ドル
ギリアド サイエンス(GILD) 73.96ドル 85.97ドル 60.89ドル
アマゾン ドットコム(AMZN) 1940.10ドル 2185.95ドル 1626.03ドル
カーニバル(CCL) 13.68ドル 56.92ドル 7.90ドル
ボーイング(BA) 127.68ドル 398.66ドル 89.00ドル
  • ※BloombergデータをもとにSBI証券が作成

1新型コロナウイルス、米国での深刻化

新型コロナウイルスの米国での感染拡大が深刻化しています(図表2)。新型コロナウイルスは当初主にアジアの事象と捉えられ、米株式市場ではさほど深刻に考えられていませんでした。

しかし、3/5(木)にカリフォルニア州が非常事態宣言を行った辺りから米国での感染拡大への懸念が広がり、国家非常事態宣言の発令、欧州からの渡航制限などを経て米株式市場への影響が大きくなりました。

さらに、米国での感染拡大を阻止するための対策が大規模になるにつれて経済・企業業績への懸念が大きくなり、少なくとも1980年台以降では例のないスピードでの大幅な相場下落となっています。

そこで今回は、新型コロナウイルスによる人々の行動の変化を受けて需要拡大が期待されている銘柄群を「明」として2節に、打撃を被っている銘柄群を「暗」として3節にまとめました。

新型コロナウイルスの感染がさらに深刻化する場合には、「明」の銘柄が買われ、「暗」の銘柄が売られることが想定されます。一方、S&P500指数は2/19(水)の高値から3/23(月)まで34%も下落、予想PERは13倍台に低下して、新型コロナウイルスによる経済の落ち込みに関する織り込みはかなり進んだとみられます。

3/20(金)と3/23(月)には、これまで相対的に堅調であった食品や食品小売の銘柄が下落して、クルーズの銘柄が上昇するなど、「リターン・リバーサル(買われていた銘柄が売られ、売られていた銘柄が買われる)」の気配もみられます。

新型コロナウイルスが収束する、あるいは、経済対策の実施によって影響が和らぐ場合には、「暗」の銘柄が物色される場面もあると期待できるでしょう。

以下には、新型コロナウイルスに関する米国での主な動きをまとめています。

感染拡大を止めるための主な措置

  • 米国の新型コロナウイルス感染者数の約半数を占めるニューヨーク州では3/7(土)に非常事態が宣言され、3/22(日)からは生活に不可欠な業種以外の企業にすべての従業員の在宅勤務が義務づけられ、住民は不要不急の外出を控えるよう求められています。
  • カリフォルニア州は3/5(木)に非常事態宣言を出し、IT企業が多く集まるシリコンバレーでは3/17(火)から4/7(火)まで「必要不可欠な場合以外の外出禁止と自宅待機」を法的拘束力のある行政命令として出しています。
  • 連邦レベルでは3/13(金)にトランプ大統領が「国家非常事態宣言」を発令、上記の州以外にも、ニュージャージー州やイリノイ州などでも生活に不可欠な買い物など以外の外出を禁じるなど、移動制限は全米に広がりつつあります。

米国当局の対策

  • 経済活動の停止が持続的なGDPの低下に陥ることを回避すべく、共和党は総額2兆ドルにおよぶ経済対策を打ち出しています。大人1人当たり1,200ドルの現金給付(年間所得が7.5万ドルを超える人を除く)、航空会社や宿泊業などの支援に2,000億ドル、中小企業に3,000億ドルを金融支援することなどが柱となっています。これに対して民主党は大企業への支援に反対、家計への現金給付を1,500ドルに引き上げた2.5兆ドルの対案を3/23(月)に提出しています。
  • FRB(米連邦準備制度理事会)は、3/3(火)に0.5%ポイント、3/15(日)に1.0%ポイントの政策金利の引き下げを行い、3/15(日)に7,000億ドルの国債と住宅ローン担保証券(MBS)の購入を決め、さらに3/23(月)には同購入を無制限とする緊急措置を発表しています。また、クレジット市場の安定化のため、社債を購入できるスキームに踏み出す意向を示しています。

経済活動へのインパクト

  • セントルイス連銀のブラード総裁は3/22(日)、新型コロナウイルス対応による休業などで4-6月期の失業率は30%に急増、実質GDPは前期比50%減と、未曽有の落ち込みが見込まれるとしました。強力な財政政策の必要性を説くために誇張が入っているとみられますが、ショッキングな数字です。
  • 民間のエコノミストでは、米国の4-6月期実質GDPについて、3/20(金)にゴールドマンサックス社が前期比年率24%減、3/18(水)にJPモルガン・チェース社が同14%減の予想を公表しています。

図表2:米国の新型コロナウイルス感染者数累計

  • 注:8日、9日、15日、16日、21日、22日には報告がないため、データは非連続となっています。
  • ※WHOのデータをもとにSBI証券が作成

2新型コロナウイルスの「明」

新型コロナウイルスの感染拡大により、買われた銘柄と売られた銘柄を確認するため、S&P500指数の採用銘柄(「エネルギー」セクターの銘柄を除く)について3/20(金)までの過去1ヵ月の株価騰落率上位15銘柄(図表3)と下位15銘柄(図表4)をリストアップしています。リストに抽出された銘柄を中心に、市場で需要拡大が注目されている銘柄を加えて以下にご紹介いたします。

テレワーク(在宅勤務)関連

ズーム ビデオ コミュニケーションズ(ZM) ・・・ テレワークの拡大により同社の「ビデオ会議」サービスの利用が増えています。基本的な機能を無料で試して、上位の機能が必要になった場合に有料プランに移行できるため、導入のハードルが低いことが有効に作用しているとみられます。同社は2011年にシスコシステムズのエンジニアが創業、 企業向けにクラウドプラットフォームを使用した「ビデオ会議」、「音声会議」、「コラボレーション(共同で作業できる場を提供する)」、「チャット」、「ウェブセミナー」などのサービスを提供しており、19年4月に新規上場した会社です。

マイクロソフト(MSFT) ・・・同社のグループチャットソフトウェア「Microsoft Teams」がテレワークの拡大で利用が広がっています。3/19(木)のリリースでは、同ソフトウェアのユーザー数が過去7日間で1,200万人増加し、1日当たりのユーザー数が4,400万人以上になったとしています。

新型コロナウイルスのワクチン・治療薬開発と感染予防

ギリアド サイエンス(GILD) ・・・エボラ出血熱の治療薬として治験が進められている「レムデシビル」について、世界保健機関(WHO)高官がCOVID-19の治療薬として有望と発言して注目を集めています。同薬は、富士フィルムの「アビガン」、アッヴィの「カレトラ」などとともに治療薬候補の一つとして臨床試験が進められています。同社はHIV治療薬とC型肝炎治療薬が主力で、いずれもウイルス性の病気に対応する薬であることから、素質としても期待されやすい企業と考えられます。

リジェネロン ファーマシューティカルズ(REGN) ・・・同社は人間に似た免疫系を持つように遺伝子操作したマウスを作製し、これにウイルスに暴露させることでヒト抗体をつくり、ワクチンおよび治療薬として使える静注薬剤を開発する技術をもちます。米保健福祉省と既存の契約を拡大して、COVID-19に対する新たな抗体医薬の開発を行うことを2/4(火)に発表しています。3/16(月)にCOVID-19向け候補薬の臨床試験開始を発表しています。

モデルナ(MRNA) ・・・2010年創業のバイオ企業で、COVID-19のワクチンを開発しています。このワクチンはメッセンジャーRNAを使って、有害な影響を及ぼすことなくCOVID-19がヒト細胞に結合する際に用いる「スパイクたんぱく質」を生成するものです。マウス実験による有効性を確認した後、3/16(月)にヒトへの臨床試験が開始されています。開発には12〜18ヵ月かかる見込みです。

クロロックス(CLX) ・・・除菌ジェル、除菌シート、除菌スプレーなどへの需要が拡大しています。除菌シートやトイレ用漂白剤など8割以上の製品が米国内で1〜2位のシェアを誇り、日用品メーカーの中でも新型コロナウイルスで需要が拡大している製品の比率が高いことから物色されているようです。

巣ごもり消費で注目される銘柄

アマゾン ドットコム(AMZN) ・・・新型コロナウイルスの影響で、ショッピングセンターへ行くのを控えることや、スーパーでの買い物の頻度を落とすことが想定され、インターネット通販に対する需要が拡大すると期待されます。3/16(月)にeコマースの需要拡大に伴って10万人の追加雇用を発表しています。

ネットフリックス(NFLX) ・・・インターネットTVの世界最大手です。新型コロナウイルスで消費者が「巣ごもり消費」する場合に、最も恩恵が大きい企業の一つと言えそうです。定額見放題のサービスのため、既存加入者が視聴頻度をあげても売上は変化しませんが、新規加入者数にはポジティブな影響が出ると期待されます。

加工食品メーカーは、一部の州でのレストランの閉鎖、自宅待機要請、買いだめの動きなどを受けて需要が拡大しています。また、食品を中心に販売する小売のクローガー(KR)ウォルマート インク(WMT)コストコ ホールセール(COST)も相対的に下げが小さくなっています。

ホーメル フーズ(HRL) ・・・ハム、ソーセージ、ベーコン等の加工冷蔵食品が主力の食品大手です。缶入りランチョンミートの「SPAM」やピーナッツバターの「SKIPPY」が有名です。

ゼネラルミルズ(GIS) ・・・シリアル食品、スナック類、インスタント・冷凍食品、高級アイスクリームを製造する大手食品メーカーです。

キャンベルスープ(CPB) ・・・スープ、パスタソース、スナック菓子、健康飲料などを展開する加工食品メーカーです。19年7月期の売上構成比は食事・飲料が53%、スナックが47%を占めます。

図表3:過去1ヵ月の株価騰落率上位(S&P500指数採用銘柄対象)

コード 銘柄 株価騰落
(1ヵ月)
(%)
株価
(3/20)
(ドル)
予想
PER
(倍)
REGN リジェネロン・ファーマシューティカルズ 8.8 438.45 15.6
CLX クロロックス 7.8 177.40 28.3
GILD ギリアド・サイエンシズ 5.1 73.26 11.5
KR クローガー 4.8 31.77 13.4
CTXS シトリックス・システムズ 2.8 119.33 22.1
HRL ホーメルフーズ 0.8 45.12 25.9
GIS ゼネラル・ミルズ -1.0 53.37 15.5
WMT ウォルマート -3.9 113.97 22.1
CPB キャンベルスープ -5.5 45.30 17.4
SJM JMスマッカー -6.0 104.17 12.7
TIF ティファニー -6.6 125.44 26.4
MKTX マーケットアクセス・ホールディングス -8.7 310.63 50.7
UPS ユナイテッド・パーセル・サービス(UPS) -9.2 93.46 12.0
WBA ウォルグリーン・ブーツ・アライアンス -9.8 46.42 7.9
COST コストコホールセール -9.8 290.42 33.4
  • ※BloombergデータをもとにSBI証券が作成

3新型コロナウイルスの「暗」

クルーズライン

世界の主要国がお互いに入国制限を課してサービスが利用しにくい状況があります。また、カーニバル傘下の「ダイヤモンド・プリンセス」で新型コロナウイルスの集団感染が起きたことから、レジャーとして避けられやすいことが株価の大幅な値下がりにつながっているとみられます。

ただ、クルーズは各種レジャーの中で成長分野とみられており、難局を乗り切ることができれば成長軌道に戻ると期待されます。危機前に予想された業績予想に対してPERは一桁台の前半まで落ち込んでいます。業界は過去20年に合従連衡が進み、以下の3社で世界シェアの8割を占めています。

カーニバル(CCL) ・・・世界最大のクルーズ会社で、世界の主要観光地で100隻超の客船を運航しています。日本近海で新型コロナウイルスの集団感染が起きた「ダイヤモンド・プリンセス」は同社の傘下にあります。子会社のプリンセス・クルーズは保有する18隻の運航を5月10日まで停止することを発表しています。

ロイヤル カリビアン クルーズ(RCL) ・・・世界2位のクルーズ会社です。カジュアルな「ロイヤル・カリビアン」、プレミアムな「セレブリティーズ」などのブランドで、19年末に61隻を運航しています。

ノルウェージャン クルーズ ライン(NCLH) ・・・北欧、アラスカ、カリブ海などでクルーズ船を運航している会社です。19年末に27隻を運航しています。

航空関連

世界の主要国でお互いに入国制限を課していることから、航空需要が激減しています。もともと航空産業は財務体質が弱い会社が多く、今回のような需要の急減に際して経営危機に陥る可能性が高いと考えられます。このため米政府は金融支援を行うことを打ち出しています。

ボーイング(BA) ・・・昨年から墜落事故を起こした「737MAX」の運航停止が続き、同機種の生産が停止していることで収益が低下しているところに今回の問題が追い打ちをかけ、資金繰りに対する懸念が出るまでになっています。このような状況を受けて同社は3/17(火)にサプライチェーンを構成する企業を中心に600億ドルの支援を米国政府に要請しています。航空機産業は米国が最も競争力が高い産業の一つで経済全体への影響も大きいため、政府は支援の意向を示しています。

デルタ エアーラインズ(DAL) ・・・米国最大の航空会社で、19年12月期の営業利益率が14.1%と比較的高い会社です。3/10(火)のリリースで、新型コロナウイルスによる需要減少を受けて、国内便は10〜15%、海外便は20〜25%を削減するとしています。また、20年3月末の手元流動性は50億ドル以上、抵当権が設定されていない資産が航空機を中心に約200億ドルあるとしています。

ユナイテッド エアラインズ(UAL) ・・・世界有数の航空持株会社で、19年12月期の営業利益率は10.7%と比較的低めの会社です。3/17(火)のリリースで4月の便数を60%削減(国内便を42%削減、海外便を85%削減)するとし、さらに3/20(金)に海外便の削減を95%にするとしています。

図表4:過去1ヵ月の株価騰落率下位(S&P500指数採用銘柄対象)

コード 銘柄 株価騰落
(1ヵ月)
(%)
株価
(3/20)
(ドル)
予想
PER
(倍)
NCLHノルウェージャンクルーズライン・ホールディングス -81.4 8.72 3.1
RCLロイヤル・カリビアン・クルーズ -77.6 23.81 4.3
ADSアライアンス・データ・システムズ -73.0 27.55 19.5
LNCリンカーン・ナショナル -71.5 17.06 9.8
BAボーイング -71.2 95.01 3.6
CCLカーニバル -71.2 12.00 2.3
MGMMGMリゾーツ・インターナショナル -71.0 9.11 0.6
UALユナイテッド・エアラインズ・ホールディングス -68.6 24.50 4.1
DRIダーデン・レストランツ -67.8 39.00 3.3
DFSディスカバー・ファイナンシャル・サービシズ -66.5 25.25 8.9
UNMユナム・グループ -64.8 10.56 5.7
KSSコールズ -64.4 15.85 4.3
CPRIカプリ・ホールディングス -64.3 9.87 4.4
ALKアラスカ・エア・グループ -64.0 23.56 4.9
DALデルタ航空 -63.1 21.35 3.1
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  • ※本ページでご紹介する個別銘柄及び各情報は、投資の勧誘や個別銘柄の売買を推奨するものではありません。

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