先週ズームビデオコミュニケーションズが驚くような好決算を発表し、テレワークは市場が想定する以上に広がっている可能性が示されたと言えそうです。同社を含むテレワーク関連銘柄の四半期業績動向をチェックのうえ、注目銘柄をご紹介いたします。
図表1:注目銘柄
銘柄 | 株価(9/8) | 52週高値 | 52週安値 |
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ズーム ビデオ コミュニケーションズ(ZM) | 350.88ドル | 478.00ドル | 60.97ドル |
ドキュサイン(DOCU) | 205.63ドル | 290.23ドル | 55.55ドル |
クラウド ストライク ホールディングス A(CRWD) | 125.63ドル | 153.10ドル | 31.95ドル |
オクタ A(OKTA) | 197.13ドル | 231.29ドル | 88.66ドル |
リングセントラル A(RNG) | 260.29ドル | 317.84ドル | 120.03ドル |
- ※BloombergデータをもとにSBI証券が作成
先週発表されたズームビデオコミュニケーションズの5-7月期決算は、売上が664百万ドルで前年同期比4.6倍に増加、500百万ドルの市場予想を30%以上上回る驚きの好決算でした。
決算発表を受けて9/1(火)の株価は前日比41%も上昇、その後は利益確定売りに押される展開となりましたが、「テレワーク」が一過性ではなく、市場が想定する以上に広がりつつあることが示されたと言えるでしょう。
米国株式市場では、大手IT銘柄への利食い売りがかさんでテレワーク関連の株価も急落となるものが増えていますが、株価上昇の過熱感が解消された局面では再び物色が回ってくると考えられます。
そこで今回は、ズームビデオコミュニケーションズを含むテレワーク関連銘柄の四半期決算の動向を売上の前年同期比伸び率の推移でチェックしてみました(図表2)。
テレワークとの関連性が高い銘柄は、テレワークが広がった4-6月期または5-7月期の売上伸び率が、その前の四半期に比べて高まっていると想定されます。しかし、これを満たしたのは、ズームビデオコミュニケーションズとドキュサインだけでした。
テレワークで伸びが高まる部分はあっても、名目GDPが前四半期比(前期比年率ではありません)9.6%も落ち込むような経済環境では、従来からの事業に落ち込む部分もあり、全体として伸び率を高めるというのはなかなか難しかったようです。
ただ、S&P500指数の採用企業合計では、4-6月期は前年同期比9.3%の減収となっているため(FactSet社の集計)、相対的には非常に好調な企業が多いとは言えるでしょう。引き続き注目できる投資テーマとみられます。
第2節でズームビデオコミュニケーションズを、第3節では今回の検証から関連性が高いとみられる銘柄の業績動向をご紹介いたします。
図表2:「テレワーク関連銘柄」の四半期売上伸び率推移(前年同期比、%)
19年10-12月期 |
20年1-3月期 |
20年4-6月期 |
|
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ズーム ビデオ コミュニケーションズ(ZM) |
78 |
169 |
355 |
ドキュサイン(DOCU) |
38 |
39 |
45 |
クラウド ストライク ホールディングス A(CRWD) |
89 |
85 |
84 |
オクタ A(OKTA) |
45 |
46 |
43 |
ドロップボックス A(DBX) |
19 |
18 |
16 |
リングセントラル A(RNG) |
34 |
33 |
29 |
アトラシアン(TEAM) |
37 |
33 |
29 |
フォーティネット(FTNT) |
21 |
22 |
18 |
トゥイリオ A(TWLO) |
62 |
57 |
46 |
シトリックス システムズ(CTXS) |
1 |
20 |
7 |
ピンアイデンティティ(PING) |
15 |
22 |
-6 |
- ※BloombergデータをもとにSBI証券が作成
市場: NASDAQ | |||||
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決算期 | 売上高(百万ドル) | (前年比) | 純利益(百万ドル) | (前年比) | EPS(ドル) |
20.1 | 623 | 88% | 22 | 黒字転換 | 0.09 |
21.1予 | 2,342 | 276% | 702 | 3126% | 2.24 |
22.1予 | 3,078 | 31% | 761 | 8% | 2.32 |
株価(9/8): 350.88ドル | 予想PER(21.1期): 156.6倍 | ||||
【テレワークの広がりで顧客ベースが急拡大】
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図表3:ズームビデオコミュニケーションズの顧客数
- ※注:年間売上10万ドル以上の顧客は過去12ヵ月の売上によります。
- ※BloombergデータをもとにSBI証券が作成
図表4:ズームビデオコミュニケーションズの四半期売上実績と市場予想
- ※BloombergデータをもとにSBI証券が作成
市場: NASDAQ | |||||
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決算期 | 売上高(百万ドル) | (前年比) | 純利益(百万ドル) | (前年比) | EPS(ドル) |
20.1 | 974 | 39% | -208 | 赤字縮小 | -1.18 |
21.1予 | 1,384 | 42% | 117 | 黒字転換 | 0.58 |
22.1予 | 1,813 | 31% | 193 | 65% | 0.93 |
株価(9/8): 216.26ドル | 予想PER(21.1期): 372.9倍 | ||||
【テレワークで電子署名サービスのニーズが高まる】
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市場: NASDAQ | |||||
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決算期 | 売上高(百万ドル) | (前年比) | 純利益(百万ドル) | (前年比) | EPS(ドル) |
20.1 | 481 | 93% | -143.0 | 赤字拡大 | -0.97 |
21.1予 | 823 | 71% | 14.5 | 黒字転換 | 0.08 |
22.1予 | 1,119 | 36% | 59.3 | 310% | 0.29 |
株価(9/8): 125.63ドル | 予想PER(21.1期): 1,570.4倍 | ||||
【エンドポイント保護に重点を置くサーバセキュリティ企業】
|
市場: NASDAQ | |||||
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決算期 | 売上高(百万ドル) | (前年比) | 純利益(百万ドル) | (前年比) | EPS(ドル) |
20.1 | 586 | 47% | -195 | 赤字拡大 | -1.66 |
21.1予 | 803 | 37% | -2 | 赤字縮小 | -0.01 |
22.1予 | 1,044 | 30% | 15 | 黒字転換 | 0.13 |
株価(9/8): 197.13ドル | 予想PER(21.1期): - 倍 | ||||
【企業向けにID管理のクラウドサービスを提供】
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市場: ニューヨーク | |||||
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決算期 | 売上高(百万ドル) | (前年比) | 純利益(百万ドル) | (前年比) | EPS(ドル) |
19.12 | 903 | 34% | -38.2 | 赤字拡大 | -0.46 |
20.12予 | 1,140 | 26% | 87.0 | 黒字転換 | 0.93 |
21.12予 | 1,406 | 23% | 109.9 | 26% | 1.13 |
株価(9/8): 260.29ドル | 予想PER(20.12期): 279.9倍 | ||||
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- ※本ページでご紹介する個別銘柄及び各情報は、投資の勧誘や個別銘柄の売買を推奨するものではありません。